ストーリーカーリング

北海道銀行 北京五輪出場をかけて! カーリング女子世界選手権の見どころ

2021-04-28 午後 06:13

日本時間5月1日からカナダ・カルガリーで開催されるカーリング女子世界選手権。日本からは、2月の日本選手権で6年ぶりに優勝した北海道銀行が出場します。

参加14チームのうち、上位6チームが2022年の北京オリンピックの国別の出場権を獲得できるという重要な大会でもある今年の世界選手権。見どころや注目のライバル、そして上位6チームに入るためのポイントについて、元日本代表の市川美余さんに解説してもらいました。

日本選手権から見えた北海道銀行の「勝ちきる力」

日本選手権優勝インタビュー時の北海道銀行

 

ーー日本選手権では、北海道銀行は実に6年ぶりの優勝となりました。今年の北海道銀行は何が違うのでしょう?

 

北海道銀行は、4人のうち3人がオリンピック経験者、残る吉村紗也香選手も世界選手権に出場したことがあるという、実力のある選手がそろっています。それにもかかわらず、このところなかなか勝ちきれなかった要因のひとつが、メンタル面の問題ではないかと思います。そこが今年はとても強化されています。

誰かがミスをしても、気持ちを切り替えてそのミスを引きずらない。多少のミスがあっても、チームで決めた作戦からブレずに粘り強く試合を進める。キーになるショットのときでもプレッシャーを感じることなく、いつも通り投げるなど、いままでとの違いが感じられました。2020年から新しく加入した伊藤彩未選手もとても明るい選手なので、雰囲気を切り替えるのに良い影響があったかもしれません。

カーリングはメンタルの影響が大きいのですが、この1年でいままで抱えていた課題にしっかり取り組み、その結果、本来の実力が出せたのではないでしょうか。

北京五輪につながる世界選手権、注目のチームは!?

2017年、2018年と2年連続で優勝をしたカナダ

 

ーー今回の世界選手権はどのような大会になると思われますか?

 

今年の世界選手権は参加14チームのうち、上位6チームが決勝トーナメントに進むことになりますが、同時にその6チームは2022年北京オリンピックの国別の出場権を獲得することが出来ます。そのため、北京を見据えた大会になるのは間違いないでしょう。

本来であれば、昨年と今年の2回の世界選手権のポイントでオリンピック出場権を決めるはずだったのですが、コロナの影響により昨年の世界選手権が中止になったことで、今大会の一発勝負になりました。上位6チームに入れなかった場合は、その後のオリンピック最終予選に臨むことになりますが、この大会で出場を決めておきたいのはどのチームも同じ。例年以上にシビアな戦いになると思います。

 

ーー厳しい戦いになりそうですが、市川さんが注目するチームを教えてください。

 

日本の代表チームがロコ・ソラーレから北海道銀行になったように、日本以外でも代表チームが変わっているケースもあるので現段階で判断するのが難しいのですが、”実力”という点でいうと1位、2位はスウェーデンとカナダになると思います。そのあとに韓国、スイス、RCF(ロシアカーリング連盟)、スコットランド、そして日本が横並びで甲乙つけがたいというところですね。

ただ、カナダ、スウェーデン、スコットランド、RCF、スイスの各チームは、世界選手権の前にグランドスラムを戦っていて、その試合勘を持続したまま参戦してきます。そういったチームが勢いに乗ってくると厳しい試合展開になると思います。

 

あと、少し視点は異なりますが、視聴者の方に馴染みがあるチームでいうと韓国でしょうか。ピョンチャンオリンピックを見ていた方は覚えていると思いますが、今回も韓国チームには、あの”メガネ先輩”と呼ばれたキム ウンジョン選手がいます。韓国チームは実力もあるので、試合としても見ていて楽しめると思います。

 

2018年、ピョンチャン五輪で活躍し話題になった“メガネ先輩”こと韓国のキム ウンジョン選手

 

ーーこの大会を戦い抜く中で、北海道銀行の強みや特徴はどこにあると思われますか?

 

いままで非常に多くの海外ツアーをこなしてきているチームなので、環境の変化やアイスへの対応力、つまりアイスのクセを早く読むという点には慣れているでしょう。そこはひとつ、強みになると思います。

 

またチームの特徴としては、優勝候補のスウェーデンに似ている印象があります。リードからしっかりセットアップへ繋いでいって最後にバトンを渡すというスタイルで、いわば「コツコツ形」。爆発的なものがあるというよりも、一人ひとりが丁寧に積み重ねていく。特に派手なことはしないけれども、ミスもないというチームですね。

 

優勝候補のひとつ、スウェーデン。2018年、2019年と2年連続で準優勝している

強豪ぞろいの世界選手権、北海道銀行が6位以内に入るには

今大会のライバルと言えるRCF(ロシアカーリング連盟)

 

ーーその北海道銀行が6位以内に入るためには、どのような点がポイントになるでしょうか?

 

北海道銀行は、フロントの2人によるセットアップが非常に優秀だと思うので、そこでいかに先手を取れるかが、ひとつのポイントになると思います。あと北海道銀行のプレースタイルだと、真ん中に石を集める複雑な試合よりも、むしろ石を貯めていかないシンプルな展開になると思います。そうなると、自分たちのミスが命取りになってしまうので、本当にショット率にこだわることが重要です。してはいけないミスをしない、狙ったショットを狙ったとおりに決めていけるかどうかがポイントになると思います。

 

とは言え、やはり試合を重ねていくと疲労も溜まりますし、アイスの読みに狂いが生じるとショットがうまくいかなくなったりもします。そんな時にどうコントロールするか。そこがメンタルの問題になってきますが、そのような局面でも今回の日本選手権で見せたメンタルの強さを発揮して欲しいですね。

 

ーーライバルになりそうなのは、どのチームですか?

 

実力が拮抗しているけど落としたくない試合といえば、RCF、スコットランド戦ですね。スコットランドは、スキップのミュアヘッド選手が経験豊富で、しかも爆発的な力を発揮することがあります。この2チームは強いですが、北海道銀行が実力を出し切れば勝てる相手だと思います。6位以上に入るためにもここは落とさずにいって欲しいですね。

特に2試合目という序盤で戦うことになるスコットランド戦は大事です。この段階ではどのチームもまだアイスを読み切れていない状態ですが、先ほどお話したように、私は北海道銀行の強みのひとつはアイスを早く読む技術にあると思っています。ですからここでいち早くアイスを読み切って、白星を勝ち取って欲しいですね。


前半に負けが続くと後々メンタル的にきつくなりますので、初戦のデンマーク、2試合目のスコットランドには確実に勝利して勢いに乗っておきたいところです。

 

スコットランドのミュアヘッド選手

 

ーーそのあとの山場となると、どのあたりでしょうか?

 

スコットランド戦が終わっても、正直なところ今大会は山場続きです(笑)。スウェーデンとカナダは厳しい戦いになるかもしれませんが、中国とチェコには確実に勝利しておきたい。そして、その後にRCFとの対戦になります。

 

ーー厳しい戦いになりそうですが、北海道銀行は6位以内に入れるでしょうか。

 

もともと北海道銀行は、経験も実力もあるメンバーがそろったチームです。スウェーデンとカナダは別格としても、それ以外のチームと比べても実力は拮抗しているか、それ以上だと思います。いままでメンタル面で課題があって、なかなか最後まで勝ちきれずにいましたが、日本選手権で見せたメンタルの強さを今回も発揮できれば、6位以内は可能でしょう。

あとは、この大会に向けてコンディションを整えていくこと。本来の実力をしっかり出せれば、期待通りの結果を出せると思います。

 

ーーでは最後に、市川さんの考える「世界選手権の楽しみ方」を教えてください。

 

昨年は世界選手権が中止になってしまったので、世界を舞台にした日本の戦いを見るのは久しぶりになります。その間、北海道銀行をはじめとする日本のチームはしっかり基礎を積み、進歩してきました。今回の試合では、堅実で、しかも強い北海道銀行の戦いぶりを楽しんで見てもらえるとうれしいですね。そしてまたこの大会は、2022年の北京オリンピックに直結した大会です。北京で各チームはどのように戦うのか、そのようなところも想像しながら観戦すれば、さらに面白いと思います。

まずは、北海道銀行が6位以内に入って、日本が北京オリンピックの出場権を獲得できるよう応援しましょう!

 

市川美余(いちかわ・みよ)

長野県軽井沢町出身、1989年生まれ。

7歳からカーリングをはじめ、2005年の日本ジュニアカーリング選手権で優勝。高校卒業後の2008年に中部電力に入社し、カーリング部に所属。2011〜2014年、日本カーリング選手権4連覇。

日本カーリング界の人気を支えるも2014年に引退し、現在は解説者として活躍中。カーリングのルールを解説した『まんがでわかる カーリングの見方!!』の監修なども行う。2児の母でもある。

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