ストーリー野球

これが日本一の応援だ!センバツ「応援団賞」って知ってた?

2019-03-22 午後 0:00

3月23日に開幕する「センバツ」こと、選抜高等学校野球大会。出場32校が頂点を目指して戦う“野球大会”ですが、グラウンドの外でも各校が競っているのをご存じでしょうか?夏にはない、春のセンバツならではの戦いなのです!

 

その名は「応援団賞」。名前のとおり、審査対象は“各校の応援”で、「応援の技術」に加え「高校生らしいさわやかさ」や「礼儀正しさ」などの観点から総合的に判断し、もっとも優れた応援をした学校を表彰するというものです。審査員は日本高等学校野球連盟の方など6~7名で構成されています。

 

審査を平等にするため、初戦の応援のみを対象とし、優秀賞として5校、最優秀賞として1校が表彰されます。

 

その最優秀賞に、センバツ史上唯一、2009年・2018年の二度にわたって輝いた高校があります。それは、滋賀県の彦根東高校。彦根東高校の応援のどこが優れていたのか?実際にアルプススタンドで応援をされていたという武田智光(としみつ)教頭先生に、応援団最優秀賞受賞の秘訣を聞いてみました!

 

柔和な笑顔が印象的な武田教頭先生は彦根東高校の卒業生。教頭就任前の教科担当は英語

甲子園の応援は“出場決定前”から始まっていた!

快晴の甲子園で奮闘する野球部へアルプススタンドから精一杯の応援を送ります

 

──ズバリ、応援団賞は狙って獲ったのですか?

いえいえ、決してそんなことはありません。応援団賞があることはもちろん存じていましたが、応援団賞を獲るという目標は掲げていませんし、練習時にも口に出していなかったと思います。本校の野球部が甲子園で活躍する姿を、ただただ誠実に応援した結果です。

──2回目の受賞となった昨年も狙っていないのですか?

そうですね、本当に狙っていないです。ただ初出場ではなかったので、早いうちから綿密に準備できたことは大きかったかもしれません。試合当日、万全の状態で応援に臨めるように、さまざまな取り組みをしましたから。

──その取り組みに、最優秀賞を受賞した秘密が隠されていそうですね。甲子園出場が決まって、何から取り組んだのですか?

実は、甲子園出場が決定してから動くのではなく、決定前から動いていたんです。センバツは、出場が決定してから試合までの期間が2ヵ月ほどしかありません。そこから準備をしていたのでは、とても時間が足りないんですよ。「出場の可能性がありそうだ」という時点で、実行委員会を組織する準備を始めていました。

──日本一の応援は、出場決定の前から始まっていたのですね!

目標は「アルプススタンドをすべて赤く染めること」

実際に応援で使ったジャケット、帽子、メガホン。ほかにもタオルやパーカー、夏に出場したときはTシャツも作ったそう

 

──その実行委員会とは、どんな組織なのですか?

正式名称は「滋賀県立彦根東高校野球部甲子園出場実行委員会」と言いまして、これは彦根東高校の同窓会、PTA、学校の後援会、野球部の後援会・OB会・保護者会、そして学校の職員らで結成されています。すべて、彦根東高校の関係者による組織ですね。

──なんだか、学校全体で応援しようという気概が感じられますね。どんな役割を担っていたのですか?

「甲子園のアルプススタンドを赤い応援団で染め上げること」を目標に、人集めから資金集め、応援パンフレットやグッズの制作、バスの手配に、当日の応援の流れ作りなど、役割は多岐にわたります。そして、さまざまな立場の方々が実行委員会にいるからこそ、それだけの役割をこなせました。皆さまの協力なしには、最優秀賞なんて絶対にいただけませんでしたね。

──甲子園での活躍を後押しする強力なサポーター陣だったわけですね。たしかに昨年の赤く染まったアルプススタンドは壮観でした!ちなみに“赤”にはどんな由来があるのですか?

彦根東高校には、建学の精神として「赤鬼魂」という考え方がありまして…。これは彦根藩の藩祖・井伊直政が率いた赤備えの軍勢が関ヶ原の戦いなどで活躍し、“井伊の赤鬼”と呼ばれ恐れられたことに端を発しています。「先駆者精神」「先頭に立って活躍する」「何ごとにも屈しないチャレンジ精神」といった意味があるのですが、この精神を甲子園で戦っている野球部にも届けたくて、応援団みんなが赤備えのグッズを身にまとって応援しよう、となりました。

──アルプススタンドが赤く染まったことで、きっと野球部の選手たちは戦国時代の合戦に臨むが如く、覇気も上がったのでしょうね。

チア&ブラスバンドは他校からの友情応援だった!

アルプススタンドの座席を想定し、声出し応援だけでなく隊形の練習もしています

 

──準備されたことは、ほかにもたくさんありそうですよね?

そうですね、まだまだあります(笑)。アルプススタンドを赤く染めるためには、何よりも試合当日に人が応援に来てくれないといけません。ですので、事前に彦根東高校を応援してくれる方々を実行委員会のツテから募り、在校生を含めて3,000人ほどに応援に参加してもらいました。

──3,000人…!集めるだけでも大変な人数ですね。

そうなんです。そして次に、その3,000人の応援団を甲子園まで運ぶバスも手配しなければなりません。昨年は約50台をチャーターしました。さらにはバスの車内で応援練習するための映像の制作や、応援歌が書かれたビラの作成などなど…細かくあげていくと、取り組んだ準備は本当にたくさんあります。そして、何より大切な準備といえば応援そのもの。彦根東高校の生徒だけではチアリーダーとブラスバンドの人数が足りなかったので、チアではチアリーディングが盛んな滋賀学園高校さんに、ブラスバンドでも強豪の河瀬高校さんに協力していただきました。それぞれ友情応援というカタチで、練習だけでなく本番も一緒に、応援に参加してくださったんです。

──日本一の応援には、そうした他校からのエールも欠かせなかったのですね。

誠実さやマナーを心がけた応援が信条

地元では「東高」と呼ばれる文武両道の彦根東高校。校舎はなんと彦根城内に位置している

 

──彦根東高校の応援が最優秀賞に輝いた理由は何だったと思いますか?

おそらくですが…まずは、アルプススタンドいっぱいに形成した応援団が一丸となって声援を贈ることで生まれた“一体感”だと思っています。そして、心ない言葉を投げかけないことや相手の攻撃中はブラスバンドの演奏を止めることなど、真摯で誠実な応援ができたから。最後に、スタジアムのゴミ拾い、スムーズな入退場など、応援以外のマナーを徹底できたことだと思います。

──声を出すだけが「応援」ではないのですね。

私はそう思っています。たとえば、慶應義塾高校の応援は本当にすばらしかったんです。洗練されたブラスバンドの楽曲と応援歌は、さすが関東の学校だなと思いましたね(笑)。私のまわりにいた生徒たちも「スゴイ」「オシャレ」なんて言って、ざわついていたほどでした。そのことからも、自分たちの応援が特別に良かったということではなかったと思います。そして、だからこそ「一体感」や「マナー」などの付随する部分もポイントになったのではないかと考えました。そもそも応援は、勝った負けたの勝負ごとではありませんので、想像どおりマナーが評価されていたのであれば、とてもうれしいことですね。

──ゴミ拾いや野次をしないなど、そうした応援のマナーは、どのように徹底させたのですか?

甲子園の応援だからといって特別に指導したということはありません。これは、ふだんの学校内でもよく見かける様子なんですよ。廊下や教室に落ちているゴミは拾うとか、来客や先生に対してあいさつをするとか…。私も卒業生ですが、彦根東高校は、そのへんをきちんとすることが伝統として引き継がれていると思います。

日本一の応援のためのヒントとは?

2018年に応援団最優秀賞を受賞したときの盾。2009年にも受賞した彦根東高校には、同じ盾がもう1枚ある

 

──最後にズバリ、どうしたら応援団賞を獲れますか?

一言では難しいですけど、強いてあげるなら、応援団みんなの想いをひとつにすることでしょうか。想いや夢をひとつにすることで、それが圧倒的な一体感となり、熱のこもった声援になると思います。ですが、数千人で応援しますので、それは簡単なことではありません。準備から本番まで、常に誠実な姿勢をもって臨めば、きっと良い応援ができると信じています。賞を確実に獲れるかどうかはわかりませんが…(笑)。

 

 

球児たちの熱戦の裏側で、彼らを“声”と“気持ち”でサポートする応援団。彼らを表彰する賞が設けられたセンバツは、そこも注目ポイントのひとつということですね。はたして、最高の応援を披露してくれるのはどの高校か?今大会は、各校の応援にも注目してみてください!

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