ストーリー野球

春のセンバツがいよいよ開幕!ところで21世紀枠って何?

2019-03-25 午後 0:00

来たる3月23日、第91回選抜高等学校野球大会(通称センバツ)が開催されます。出場枠はわずか32校。その狭き門のなかに「21世紀枠」として出場する高校が選出されます。でも、そもそも21世紀枠とは何なのでしょうか?

春のセンバツってどんな大会なの?

センバツは夏の甲子園とちがって、予選大会が行われません。選考委員が厳正、公平に会議を開き出場校を選びます。

 

全国を8つに分けた地区代表が29校、そして21世紀枠として3校の計32校が選ばれます。(※2019年)

 

21世紀枠とは困難な状況を克服した学校などが対象となる枠で、2001年から始まりました。

 

でも、いったいどうやって選考されているのか、ちょっと気になる!そこで、今回は過去に21世紀枠でセンバツ出場を果たした高校に取材を敢行しました!

 

都立小山台高校は東急目黒線の武蔵小山駅を降りてすぐ

都立初出場を果たした小山台高校のセンバツ

訪れたのは東京都品川区にある都立小山台高校。ほぼ100%の大学進学率を誇る都内屈指の進学校ですが、部活動も活発に行われています。

 

なかでも、野球班(都立小山台高校では“部”ではなく“班”と呼びます)は、2014年の第86回選抜高等学校野球大会で21世紀枠に選出され、都立高として初めての出場を果たしたことで大きな注目を集めました。

 

そんな小山台高校の野球班で助監督を務める才野秀樹先生に当時のことをくわしく聞いてみました。

秋季大会のときには出場のウワサがあがっていた!?

才野先生

 

――実は、関係者の間では「(2013年の)秋季大会でベスト4に入れば21世紀枠に選ばれる可能性が高いと言われていたんです。ところが結果はベスト8。あと一歩というところで負けてしまったので、「もうセンバツはない」と思っていました。

 

ところが、あれよあれよという間に東京都高野連から候補指名を受けまして、その後の関東高野連でも推薦を受けられたことで、「もしかしたら……」というムードが高まっていったんです。

 

才野秀樹先生は21世紀枠での出場当時から助監督を務めている

 

21世紀枠が決定するまでにはいくつかの過程があります。最初に各都道府県の高野連が一校ずつ推薦し47校を選出。そこから地方別に9校の最終候補に絞られ、最終的に1月の選考委員会で出場校となる3枠が発表されるのです。

 

1月の発表は、各校に電話連絡で校長先生に伝えられる決まりになっています。そのため、都立小山台高校が9校の最終候補に選ばれた際は、発表前に報道陣が学校に押し寄せていました。

 

才野先生

 

――報道対応のために、発表当日は朝から校長室の机や椅子を片付けました。校長室にカメラや取材記者が入れるようにスペースを確保しなくてはならないからです。あの日は朝からバタバタだったので、決定の報告を受けたときも喜びというよりは疲労感のほうが勝っていましたね(笑)。

 

選手たちも至って冷静でした。決定の電話を受けたときは練習中だったので、選手たちは練習に集中していましたね。ただ、校舎のほうでワッと歓声があがったので、気づいてはいたと思います。練習後に校長先生と監督と集まって、決定の報告を選手たちにしたんですが、そのときも「がんばります!」ぐらいでした。内心はうれしかったと思いますが、あくまで学校では平静を保っていましたね。

 

報道対応のため、校長室もスッキリ!

 

出場決定後、報道陣でごった返す校長室

 

センバツ出場時、ベンチ裏に貼り出された鶴文字

 

都立小山台高校野球班の選手たちは、監督を務める福嶋正信先生の厳格な教えを受けていて、文武両道の精神が行き届いています。そのため出場が決まった際も、喜びを表現するより真摯に受け止める姿勢を貫いたそうです。

小山台高校が選ばれた理由①「効率のいい練習方法」

では、いったいなぜ都立小山台高校が選ばれたのでしょうか?

 

都立小山台高校がセンバツ出場を決めた理由のひとつとして、画期的で効率のいい練習方法が挙げられます。小山台高校は武蔵小山駅すぐ近くに立地していて、校舎やグラウンドはあまり大きくありません。そのため、サッカー班やラグビー班といったその他の班活動と時間帯を分けてグラウンドでの練習を実施しています。

 

野球班が練習できるのは1日わずか1時間半だけ。みっちりと練習ができる私立の強豪校とは雲泥の差があります。そこで、福嶋監督は効率のいい練習方法を考案したそうです。

 

駐輪場で体力トレーニングを行う選手たち

 

福嶋先生

 

――選手ごとに班分けをして練習メニューを組んでいます。ポジション別だったり打率別に練習を分けることで、グラウンド練習を効率的に行うことができるんですよ。毎日メニューを入れ替えて、練習時間を1分も無駄にしないようにしています。センバツに出場する以前からずっとこの方法でやってきました。

 

また、選手たちの投球フォームや打撃フォームをすべて記録し、それを選手たちに見せていっしょに分析します。センバツ出場時のエースだった伊藤優輔もこの方法で伸びていきました。身体を動かして練習できない時間でも、こうして自己分析を進めることで成長を促しています。

 

パソコンを導入して効率的な練習を考案した福嶋先生

 

取材班が訪問した当日は、グラウンド練習の前にまずは駐輪場でウォームアップや基礎体力のトレーニングを実施していました。このように短い時間で集中力を保った練習を実現していて、これが21世紀枠に選ばれる理由のひとつとなったそうです。

小山台高校が選ばれた理由②「文武両道」

福嶋先生は選手たちに「1に勉強、2に生活、3に野球」と教え続けています。高校3年間を野球だけに費やすのではなく、勉強をしっかりとやってこそ野球の上達にもつながるという信念を貫いているのです。

 

 

福嶋先生

 

――わが校の生徒は、ほとんどが進学を選びますが、野球班は勉学も非常に優秀です。国立大学や有名私立に進学する子も少なくありません。その点では甲子園出場校のなかでは日本一だと思っています(笑)。

 

また、勉強や生活の充実は心を育てます。私は野球だけを教えるのではなく、選手たちには「毎日の生活、授業の中に野球はある」と教えています。心が育ち、精神力が強くなれば、試合で実力差を埋められるのです。センバツ出場時は、硬式野球の経験者はわずか6人ほど。ほとんど軟式野球しかやったことのない選手ばかりでした。正直、エースの伊藤以外はかなりレベルが低かったと思います。それでも秋季大会では堀越学園や早稲田実業といった強豪校を倒したのは、彼らの精神力が強かったからです。

 

私は、選手たちの心を育てるため、選手たちに毎日日誌を書かせています。最初はまったく書けないんですけど、日をおうごとに書くことが増えていくんですね。当時のメンバーも3年生当時の日誌は文字でビッシリでした。自分自身を見つめることで、自主的に成長していくんですよ。

 

小山台高校野球班甲子園出場応援員会が制作した記念誌より

 

福嶋先生

 

――センバツ出場後からは、甲子園というものが夢ではなく、具体的な目標になりました。私や選手だけでなく、すべての都立高が「自分たちもできるんだ!」という意識を抱いてくれたのではないでしょうか。これも21世紀枠の大きな意義でもあると思います。

 

今年は茨城県の石岡一、徳島県の富岡西、熊本県の熊本西の3校が21世紀枠として出場!それぞれがどんな活躍をするのかにも注目してセンバツをお楽しみください!

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