ストーリー水泳

“池江復活”に“金メダル候補” 平井HC 競泳日本選手権 総括

2021-04-10 午後 11:22

東京オリンピックの代表内定をかけて争われた競泳の日本選手権は10日、8日間にわたる戦いが終わりました。大会を終えて代表内定を勝ち取ったのは合わせて29人。競泳日本代表の平井伯昌ヘッドコーチは「なかなか満足できる内容になったと思う」と大会を総括しました。

“復活”

今大会、最大の注目は池江璃花子選手の復活劇でした。白血病と闘い、去年8月にレースに復帰して7か月余り。3年ぶりの出場となった日本選手権で大会4冠、リレーの2種目でオリンピック代表内定を果たしました。

 

 

大会前には「私はまだオリンピックの代表を争うレベルではない」と話していた池江選手ですが、4種目11レースをこなすというハードスケジュールにもかかわらず、目標に掲げていた「王座奪還」を、出場した4種目すべてで成し遂げました。

特に最初の出場種目となった100メートルバタフライは体力的にもっとも負担がかかる種目で、池江選手が練習で本格的に泳ぎ始めたのはことし3月からでしたが、練習量も体力もまだ完全には戻りきっていない中で、闘病を経ても変わらない卓越した水中テクニックと、元来の負けず嫌いな性格で、優勝しました。

 

 

衰えることのなかった泳ぎのテクニックは数値にも表れていました。


100メートルバタフライの決勝で、池江選手がひとかきごとに進む距離を示す“ストローク長”という数値は、15メートルから85メートルまでの平均が「1メートル92センチ」でした。


これは、2018年の決勝のレースの数値「1メートル90センチ」とほぼ変わらず、体の状態が違っていても持ち前の伸びやかな泳ぎは失われていなかったことを示していました。

レース後のインタビューでは「頭の片隅にはちょっと優勝したい気持ちもあった」と話し、日本選手権という舞台に立ち勝ちたいという勝負師としての欲が芽生えていたことも明かしました。

 

 

競泳日本代表の平井伯昌ヘッドコーチも「彼女のレースには年がいもなく感動した。表情も体も見違えて、アスリートになってきたし、代表チームに彼女が入ってくれることでみんな勇気づけられる」と代表復帰を喜びました。


2024年のパリ大会を目標に掲げる池江選手にとって、東京大会はあくまでその途上ですが「決まったからには自分の使命を果たさないといけないと思っている。あと数か月あるので、さらに体力はつくと思うし、しっかりチームに貢献したい」と力強く話していました。

金メダルへの期待

今回の大会で初めてオリンピック代表内定を勝ち取った選手の中には金メダルの期待がかかる選手もいます。

1発勝負の代表選考会という大きな重圧がかかるなかで、世界トップクラスのタイムも生まれました。

 

 

男子200メートル自由形の松元克央選手は、日本選手として初の1分44秒台となる1分44秒65の日本新記録をマークしました。

これは、松元選手が銀メダルを獲得した、おととしの世界選手権で金メダルに相当するタイムです。

 

 

男子200メートル平泳ぎの佐藤翔馬選手の優勝タイムは2分6秒40。これは世界歴代2位、おととしの世界選手権の銀メダルに相当します。

平井ヘッドコーチも「レベルの高い記録で期待ができる内容だった。世界でも十分戦える」と評価しました。

“なかなか満足できる内容”

大会を終えて代表内定を勝ち取ったのは、合わせて29人。男子が16人、女子が13人となっています。このうち19人が初めてのオリンピックです。

最年長は4大会連続となる31歳の入江陵介選手、最年少は高校3年生の谷川亜華葉選手と柳本幸之介選手でした。

一方で、男子200メートル平泳ぎの前の世界記録保持者の渡辺一平選手や長年、日本の自由形を引っ張ってきた塩浦慎理選手などの実力者が代表を逃しました。

平井ヘッドコーチは「惜しくも代表に入れなかった選手もいるので、予定どおりとは言えないが、なかなか満足できる内容になったと思う」と8日間にわたる戦いを総括しました。

 

 

そのうえで本番を見据えて「大ベテランの入江選手や瀬戸選手や萩野選手の力も借りて、若い選手や初代表の選手がのびのびと力を発揮できるようなチーム作りをしたい」と話しました。


また、オリンピック本番に向けては、決勝が午前中に行われることをポイントの1つにあげ「朝に決勝レースが行われるのは2008年の北京オリンピックと同じだ。調整のしかたがふだんとは違うので対策が必要となる。北京大会に出場した入江選手などの力を借りながら経験を伝えていきたい」と話し、日本チームとして対応していく考えを示しました。


東京オリンピックの競技会場となる東京アクアティクスセンターで行われた代表選考会。次に代表選手を再びこの場所で目にするのは3か月後に迫った大会本番です。

その時、今回の厳しい選考をくぐり抜けた選手たちがこの経験を糧にさらに成長し、みずからの目標をつかむことを願ってやみません。

この記事を書いた人

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安留 秀幸 記者

平成22年 NHK入局 北九州局からスポーツニュース部。競泳担当。メダルラッシュが期待される選手たちを追いかけて取材に邁進中。

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池江 璃花子

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松元 克央

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入江 陵介

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