ストーリー野球

プロ野球DeNA三浦大輔監督 亡きファンの思いも胸に23年ぶりの優勝目指す

2021-04-12 午後 07:00

「あの笑顔がずっと残っている」

 

今は亡き男性の存在がファンの大切さを教えてくれた。ハマの番長、三浦大輔監督(47)は就任1年目から23年ぶりのリーグ優勝と日本一という高い目標を掲げ、シーズン開幕を迎えた。

遠かった初勝利

今季初勝利を挙げ喜ぶDeNAナイン

 

開幕から9試合目となった4月4日の本拠地・横浜スタジアムでの広島戦。三浦監督は3対1で勝ち、指揮官として初勝利をあげ、新たな記念日になった。それまで球団ワーストに並ぶ開幕から6連敗を喫していただけに、喜びもひとしおだった。

 

三浦 監督

長かったです。スタンドのファンの姿を見た時、うれしかったです。まだ1つ勝っただけですけど、1つ勝てたのがうれしかった。チームにとって大きな1勝だと思います。

23年ぶりの栄光をもう一度

1998年 日本一に輝きファンの声援にこたえる選手たち

 

前身の横浜時代からの生え抜き、三浦監督には忘れられない景色がある。それは入団7年目、1998年のリーグ優勝と日本一だ。歓喜に沸いたスタジアムをもう一度と、三浦監督がつけたチームスローガンは「横浜一心」。ファンも心を1つにして戦うという思いが込められている。

 

三浦 監督

もう一度優勝したいと思ってやってきて現役ではできなかった。監督として、もう一度優勝を目指したい。『ことしこそは』と思ってやっています。みんなが優勝という1つに向かって、本当にいろんな意見を言い合い、全員で戦えるようにしたい。ファンを含めた横浜DeNAベイスターズという大きな舟に乗って戦うのが目指すところです。

心の支えとなる“父”の存在

 

ファンをチームの一部と考えるようになったのは、現役時代に出会った1人の男性の存在があった。外野の応援団長を務めていた石川定さん(享年59)。横浜スタジアムが完成した1978年に私設応援団を作り、初代団長としてチームに声援を送ってきた。

 

 

そして三浦監督は石川さんが球場近くで営むスナックをチームの先輩から入団まもなく紹介され、シーズンが終わると、毎年打ち上げで訪れるようになった。その時は夜が明けるまで杯を交わすのが恒例で、年の差が28ある2人の関係はいつしか“父”と“息子”のようになっていた。

 

三浦 監督

あの笑顔がずっと残ってるんですよね。いつも笑顔で迎え入れてくれました。一見、強面なイメージですけど、本当に優しい。ずっと僕の中では応援団長なんです。

石川さんの思いを胸に

石川さんは優勝を見届けた直後の1998年秋に応援団長を退任。6年後に59歳で急死した。その日はシーズン最終戦の翌日で三浦監督を含む選手たちは石川さんの店で打ち上げを朝まで行っていた。「またな」と声をかけられて別れたおよそ10時間後に息を引き取った。

 

 

あれから17年。三浦監督は毎年欠かさず、墓前に手を合わせてきた。ことしもキャンプ前の1月、監督就任の報告とあわせて「シーズン中、力を貸してください」と心の中で声をかけた。

いい形で開幕を迎えるも

開幕戦の9回表に田中が同点打

 

沖縄県宜野湾市での春のキャンプ、続くオープン戦とけが人を出さず、一定の手応えをつかんで、3月26日のシーズン開幕戦を迎えた。この試合は9回の土壇場で追いつく粘りを見せたが、悔しいサヨナラ負け。

 

 

それ以降はピッチャーが抑えれば、打線が打てず、打線が点を取れば、ピッチャーが打ち込まれるという投打がかみ合わない試合が続いた。

 

気がつけば開幕から引き分け2つを挟んで6連敗で球団ワーストに並んでしまった。日に日に、明るく受け答えをしていた三浦監督からは笑顔が消え、ことば少なになっていった。

 

三浦 監督

(勝てない間は)まったく寝れなかったというよりも、寝たり起きたりという。熟睡できなかった。なかなか。

待ちに待った1勝

阪口皓亮投手

 

長いトンネルをようやく抜け出したのは開幕から9試合目。この日、三浦監督がマウンドを託したのはプロ4年目の阪口皓亮。2軍監督時代に指導した21歳は5回無失点で起用に応えた。そして抑えの三嶋一輝が最後の1人を打ち取り初勝利が決まると三浦監督の目には光るものがあった。

 

それでも試合後、ウイニングボールを受け取った三浦監督は記念のボールを迷わず、プロ初勝利をあげた阪口に手渡し「ナイスピッチング」と祝福した。

 

三浦 監督

プロ初勝利のボールなので、阪口に。去年もファームで本当にいいピッチングをして、日に日に成長していました。阪口にとって大きな1勝になったと思います。

石川さんとともに描く未来

中日との3連戦では勝ち越しを決めた

 

初勝利をあげた後の中日3連戦は、2勝1敗でカードを勝ち越した。スタートダッシュには失敗したが、石川さんをはじめ、多くのファンの期待を長丁場のペナントレースを胸に前を向いて戦う覚悟だ。

 

三浦 大輔 監督

(石川さんは)いつも応援してくれてると思いますし、旗を振ってくれてると思うんでね。一緒に戦っていきたいです。優勝して報告に行きたいですね。

この記事を書いた人

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寺迫 紗良 記者

平成28年NHK入局。高知局、津局を経て、スポーツニュース部ではプロ野球やカーリングを担当。学生時代はソフトボール、現在はゴルフに熱中。特技は暗算(十段)。

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