ストーリー野球

最新技術で選手育成が変わる!野球界で始まったデータ革命とは

2019-06-10 午後 0:00

データ技術が大きく進展する中、いま、野球の指導方法も大きく変わろうとしています。一般の選手でも詳細なデータを計測できるようになり、中高生の指導からけがの防止まで幅広く活用されています。野球界で始まっているデータ革命を取材しました。

"センサー内蔵のボール"

兵庫県西宮市の中学生チーム「兵庫夙川ボーイズ」です。ことし3月の全国大会で準優勝しました。

ピッチャーが使っているこのボール。一見、普通のボールに見えますが、特殊なセンサーが内蔵されています。

センサーがボールの動きを感知し、スマートフォンにデータが送られます。画面には球速のほか、ボールの伸びにつながる「回転数」など6項目の数字が表示されます。去年秋にスポーツ用品メーカーから相次いで発売され、瞬く間に普及しました。

中学3年の正重恒太投手はこの日、初めてデータを測りました。

球速は137キロと中学生ではトップレベル。

ところが、ボールの伸びにつながる回転数は平均程度にとどまっていました。

青:回転数が多い場合 緑:回転数が少ない場合

 

ボールは重力の影響で落ちながらキャッチャーに届きます。しかし、回転数が多ければ、揚力が発生してボールが落ちにくくなります。すると、バッターはボールが手元で伸びてくると錯覚すると言われます。

武田祥太郎 助監督

球速にしては回転数が少ないですね。もうちょっと2000以上あってくれてもいいかなと思ったんですけど。

いいピッチャーの場合、低めがギュンと伸びますけど、正重の場合は低めが垂れるんですね。

 

 

さらに回転軸が赤い線のように傾き、ボールが左に曲がっていることもわかりました。今後、ストレートの質を上げるため、ボールを強くまっすぐ押し出して回転数を上げることにしています。

 

正重恒太投手

自分が投げてデータとして出ているので。

絶対、これが自分の実力なのできょうわかった反省点は直していきたいです。

データをけがの予防に活用

一方、高校野球でピッチャーの負担が課題になる中、こうしたデータをけがの予防につなげる動きも出ています。レーダーでボールの動きを観測する装置です。

ピッチャーがボールを離す位置、リリースポイントも測定できるのが特徴です。

この施設の代表を務める加藤友樹さんは、リリースポイントを一定に保つことが、けがの予防につながると話します。

加藤友樹さん

リリースポイントばらばらで投げている子が100球投げるのと、リリースポイントがぴたっとまとまったまま100球投げるのは、負担も全然違うと思います。

毎回違う位置で投げていると、その筋肉自体がしっかり発達していないまま違う筋肉が付いていく。リリースポイントが決まってくるというのも、けが予防にもつながると思います。

 

この装置では地面からどれぐらいの高さでボールを離したしたかがわかります。加藤さんはデータを元に、緻密な指導をしています。一定のフォームで投げることで、肩やひじの筋肉を正しく鍛えられるといいます。

さらに、腕の違和感をかばって投げるとボールの回転数などの数値が変わるため、定期的に計測することで、けがの予兆をつかめる可能性もあります。

加藤友樹さん

ただがむしゃらに走り込みをする、がむしゃらに投げ込みをするというハイリスクだけのものではなくて、そういうリスクを減らしながら伸ばしていく。

あくまでも人間が経験したもの、目で見たものということと分析、機械から出てきたもの、その数字を融合することによって指導能力というのは、上がってくると思いますし、野球は変わってくると思います。

 

詳細なデータが、アスリートの育成に変革をもたらそうとしています。

 

今村 亜由美

平成21年入局 兵庫県出身 和歌山、福井、名古屋を経て去年7月から大阪局でフィギュアスケートなどを担当。高校時代は野球部マネージャー。愛読書は山際淳司著『スローカーブを、もう一球』

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