ストーリー野球

プロ野球・西武の “鉄腕” 平井克典が背水の陣で臨む先発への道

2021-04-02 午後 0:00

プロ野球・西武で鉄腕と呼ばれる平井克典(29)は、2年前に『神様・仏様・稲尾様』と称された西鉄のエース・稲尾和久さんの記録を上回る81試合に登板。パ・リーグ新記録を打ち立てた。

 

リリーフとして投手陣を支えてきた平井はことし「勝負をかける」と先発転向。なぜ先発なのか。その覚悟を聞いた。

ドラフト下位入団からのスタート

 

愛知県出身の平井は甲子園の経験はなく、愛知産業大から社会人野球のホンダ鈴鹿に進んだ。そして入社3年目のドラフト会議で5位指名された。

平井 投手

僕は変わり者なので、ドラ1だから何っていう感覚です。ドラフト順位は関係ない、必死こいてやったらいい。死にものぐるいでやったらいい。

 

 

平井はキレのあるスライダーを社会人時代に習得したサイドから投げ込む。1年目からリリーフで42試合に登板。2年目は64試合。そして3年目には81試合でパ・リーグ新記録を達成した。

 

 

“鉄腕”と呼ばれる活躍で、2018年と2019年のリーグ連覇に貢献した。

先発への野望


2020年は8月にチームの苦しい台所事情からプロ初先発して勝ち星をあげた。しかしシーズンを通してみると、先発で4試合、リリーフで37試合に登板して防御率は4.18とプロ入り後、ワーストの成績に終わった。

平井 投手

昨シーズン、納得いくボールを投げられず、思うような結果が出なかった。野球人生がこのまま終わってしまうことも一瞬、頭をよぎった。だから挑戦しないと何も変わらない。

覚悟を決めて挑む先発

 

シーズン終了後に行われた秋のキャンプで、平井は辻発彦監督や西口文也投手コーチに先発転向を直訴した。死にものぐるいで新たな役割に挑戦することで、生まれ変わろうとしたのだ。

平井 投手

やらせてくださいと言った以上は勝負をかけてやる。中途半端に、だめだったら中継ぎに戻すなんてことはしてほしくないと、はっきり言った。

キャンプでは必死の調整

2月1日、宮崎県日南市で行われた春のキャンプ。平井は初日から102球を投げた。多い日には210球の投げ込み。キャンプでの投球数はあわせて1000球以上に達した。また投球フォームは大学生の時以来、およそ10年ぶりにワインドアップに。投球の幅を広げるため、チェンジアップも取り入れた。

 

平井 投手

中継ぎは自分の一番得意な球種を全力で投げるということだと思うが、先発をするにあたって球種を増やしました。流れを考えて自分の得意なボール以外も使わないといけないので、まんべんなく投げられるように練習しました。ランニングメニューも若い選手と変わらず免除なしでやってくれとコーチに言ってやりました。とりあえず走る量は増やして徹底的にやりました。

 

最新機器を使っての研究も

 

これまで感覚を大事にしていたという平井だが、春のキャンプでは、チームが導入した動画解析ソフトを積極的に活用した。

 

投球時の体の動きをハイスピードカメラで確認したり、ボールの回転数などを調べたりして、自身の投球を見つめ直したのだ。

平井 投手

チェンジアップやカーブを数値化してもらって、自信もついた。いいときにどういうボールが放たれているのか、感覚だけではなく、目に見えるようになったのはよかった。

 

つかみ取った開幕からの先発ローテーション

キャンプで納得の調整を終えた平井はオープン戦でアピールに成功した。3月7日のロッテ戦は4回無失点。14日のオリックス戦も3回無失点。辻監督に「平井に投げてもらうしかない」と言わしめ、開幕からの先発ローテーションを入りを決めた。そして28日のオリックスとの開幕カード3戦目に先発。

 

 

「緊張していた」という1回から3回まで毎回ランナーを2人出す苦しい投球になった。それでも「(森)友哉のリードを信じるだけ」と粘り強いピッチングで切り抜けた。バッテリーを組んだその森のホームランでリードをもらい、プロ最長となった6回にも得点圏にランナーを背負ったが、ゼロで抑えてマウンドを降りた。このあとチームが5対1で勝って白星を挙げ、試合後のヒーローインタビューでは喜びをかみしめた。

平井 3月28日オリックス戦
6回97球  被安打6 三振5 四球2 失点0

平井 投手

めちゃめちゃ疲れてます。でも、めちゃめちゃうれしいです。まずきょういいスタートが切れたので、次のゲームがすごく大事になる。1週間準備してベストで臨めるように頑張ります。

目指すは、2桁勝利

今シーズンの目標を聞くと、去年160キロをマークした新人王の平良海馬投手の名前をあげながら、冷静に話した。

 

 

平井 投手

僕は平良のように、めちゃくちゃ速いボールを投げられるわけではないです。しっかりボールをコントロールして、守りのリズムを作ることを最優先に投げたい。そして、まずは、2桁勝利。そこを目指して頑張ります。

 

12月に30歳になる平井は1歳半になる息子がいる。家族のためにも「中途半端な姿は見せられない」と覚悟を示す平井の2021年の投球をしっかり見つめたい。

 

 

 

この記事を書いた人

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持井 俊哉 記者

平成26年NHK入局

北九州局を経て、スポーツニュース部。プロ野球の西武を担当。小1から剣道をはじめ、現在、5段。「打って反省、打たれて感謝」をモットーに何事にも謙虚に誠実にチャレンジすることを目指す。

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