ストーリー/バレーボール
"ママ"は最強ブロッカー!女子バレー日本代表・荒木絵里香
2019-06-07 午後 0:00

女子バレーボール日本代表の中心メンバーでもある荒木絵里香選手は、いつも笑顔でチームを鼓舞し、決めるべきところを決める大黒柱です。そんな荒木選手は、なんと5歳の子どもがいるママ!
世界と戦うママアスリートのすごいエピソードをたっぷりご紹介します!
北京五輪ベストブロッカーのテクニック
相手のアタックをブロックする荒木選手(中央)
荒木選手のポジションは、守備ではブロックを、攻撃ではクイックを主に専門とするミドルブロッカー。
身長186cmというその長身を活かして、どんな位置から打たれても、何度ブロックフォローに入られても、その都度手を伸ばしてブロック!!
その実績はVリーグで7回のブロック賞に輝くほど。
北京オリンピックではベストブロッカーに選ばれました!
ブロックの成功の秘訣は、その長身だけに頼らないこと。
相手セッターやアタッカーの動きを“読み”、そして”駆け引き”して動くからこそ決まるのです。
相手のスパイクを誘い込んでブロックすることも
荒木選手によれば、ポイントはブロックの手の位置。
打たれる瞬間までは両手を開いておき、打たれた瞬間にボールが通らない幅に締めているとか。これは、わざと相手に真ん中が空いていると見せかけ、スパイクを誘い込むというテクニック。それを瞬時に判断しているのですから驚きです。
ギリギリまでボールの動きを追い、トスを上げた瞬間に判断する
また荒木選手は、セッターがトスを上げる瞬間までは、じっくりボールの動きを追い、セッターがトスを上げた瞬間、流れるようなステップでコートの中を移動してブロックを決めます。
わずかな時間の中で考え、動かなければボールは止められません。
頭と体が強く結びついたスムーズな動きが、最強のブロッカーたるゆえんなのです!
チームでは満点ママ!家庭では減点ママ??
女子バレー日本代表チームは、次々と若手選手が加入し、平均年齢は25歳。
その中で荒木選手は唯一の30代としてチームをけん引しています。
荒木選手は後輩選手にとっても、声をかけてもらうだけで安心できるような、まさにお母さんキャラ!
「娘を思う」気持ちの連鎖が代表復帰につながった
2014年に長女を出産した荒木選手。その一か月後には産後復帰のためのトレーニングを再開しました。
出産後の体は、栄養も母乳として出てしまっているため非常にもろくなりますが、それでも荒木選手は、出産後5カ月でコートに復帰を果たしました。
復帰だけでもすごいことですが、荒木選手はその年に国内リーグのブロック賞までも獲得!
そんな中、日本代表への復帰要請がなされました。しかし、荒木選手は即答で断ったそうです。
なぜなら、日本代表チームでは合宿や海外遠征が続き、家を長い間空けなければならないからです。
しかし、アスリートである以上、いつまでも日本代表は夢であり憧れです。
母としての責任と、アスリートとしての誇りの間に、荒木選手は揺れていました。
そんなとき声をかけてくれたのは、荒木選手のお母さんでした。
日本代表でプレーしたいんでしょう?子どものことは気にせずやってきなさい。
荒木選手のお母さんは体育教師を辞め、荒木選手の家に住みこみで援助するようになります。こうして、最強のブロッカーは日本代表に返り咲きました。
チームの大黒柱としてオリンピックや世界選手権を戦い抜く間、お母さんは一切の家事を引き受け、孫の面倒を見ました。
荒木選手が娘を思う気持ちと同じように、お母さんも荒木選手を大事に思っているのです。
その夢の先、2020年東京オリンピックでの活躍をぜひ見届けましょう!