特集 天空海 東日本大震災から10年 地元の茨城県大洗町への思いを胸に

3月14日に初日を迎えた大相撲春場所に挑んでいる十両の天空海(あくあ)は、震災の被害を受けた茨城県大洗町出身。あの日から10年、地元への思いを胸に土俵に臨んでいます。
春場所を控えた2月末、天空海は地元の海を訪れました。
天空海
もう10年たったんだなって。あっという間でしたけど、内容のある10年だった気がしますね。重みのある。
30歳の天空海は前に出る力強い相撲が持ち味です。珍しいしこ名は、大洗町の水族館からとりました。
天空海
地元をイメージしているので。自分が頑張れば大洗が注目されるっていうのはやっぱりうれしいですね。
大好きなふるさとは10年前、津波に襲われ、町は多くの被害を受けました。
天空海
ここを通ったときに車が家の上とかに乗っかっていたり。
当時20歳だった天空海は、角界入りしたばかりで、相撲部屋への引っ越しを控えていました。地元を離れていいのか。葛藤したと言います。
天空海
このまま行っていいのかなとか。不安になって。相撲をしている場合なのかとか自分の中で考えたりして。
こうした中、背中を押してくれたのが、父・弘行さんです。力士としての活躍が郷土の力になると、息子を説得しました。
父・弘行さん
こっちは俺がどうにかするから、お前は決めた道を行けという感じで出した。お前が大きくなればその分、周りも活性化してくれるだろう。
迷いを断ち切った天空海。地道に稽古を重ねて関取に出世し、去年11月場所で新入幕を果たしました。
3場所ぶりに十両となった春場所を前に、この日、訪れたのは茨城県内の神社。被災した人たちを元気づけたい。春場所での活躍を願いました。
天空海
みんなに力を与えられるように健康でいさせてくださいと祈ってきました。まだまだこれから何十年と被災された方が元に戻れるように自分も頑張っていきたいです。
幕内復帰を目指す天空海。場所前は安定した相撲が取れるよう、下半身の動きを意識し稽古に取り組みました。地元への思いを胸に春場所へ気持ちを高めています。
天空海
3月場所は毎年気合が入ります。ふた桁以上目指してやっていきたいです。
この記事を書いた人

坂梨 宏和 記者
平成21年NHK入局 福岡県出身
長崎局、広島局などを経てスポーツニュース部。プロ野球を担当した後、現在はサッカー担当。