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特集 横綱 白鵬 8か月ぶりの本場所で土俵入り披露 大相撲春場所 白星発進!

相撲 2021年3月15日(月) 午後0:30

この横綱の姿を、ファンがどれほど待ち望んでいたことか。両手を大きく広げる不知火型の土俵入りに割れんばかりの拍手が送られた。

 

 

春場所で8か月ぶりに本場所の土俵に立った横綱・白鵬。先場所優勝した大栄翔を出足で完全に上まわり、復帰戦を白星で飾った。

 

 

取組後、ふっと息をついたその瞬間、張り詰めていた表情が緩み、どこかほっとしているように見えた。

 

 

「ふたを開けてみないと、土俵に上がってみないと分からない」場所前の白鵬のこの言葉からはかつてないほどの不安が伝わってくる。去年の7月場所を途中休場して右ひざを手術。

 

秋場所、11月場所と初日から休場し、横綱審議委員会から「注意」の決議を受けた。復活を期したことしの初場所、今度は新型コロナウイルスに感染し、4場所連続の休場に追い込まれた。

 

 

「やっぱりコロナになって体力も落ちたわけだし、前みたいに戻らないというのが正直な気持ちだ。焦りというのかな」

 

白鵬がこれほどはっきり不安を口にするのは珍しい。場所に向けて合同稽古で申し合いを繰り返したが「踏み込みの感覚が戻っていない」と明かすなど万全の状態には戻りきらなかった。

 

「やるしかない」と迎えた春場所。白鵬の言葉を借りるなら「ふたを開けてみれば」初日は圧勝だった。「やすやすと若手に譲るわけにはいかない」と言わんばかりの厳しい攻めは、さすがだった。

 

それでも、幕内後半の審判長を務めた錦戸親方は「ここから2、3日が山場だ」と序盤戦を乗り切るまでは油断できないと指摘する。白星を重ねていけば相撲勘も戻ってくるし、気持ちも楽になっていくが、星があがらなければそのままリズムを崩していくこともありうるからだ。

 

 

36歳になった白鵬はこれが幕内在位100場所目。若いころと体力は同じではないが、勝利への強い気持ちは変わらない。復活、そして45回目の賜杯をかけた場所が始まった。

 

 

この記事を書いた人

清水 瑶平 記者

清水 瑶平 記者

平成20年 NHK入局。熊本局、社会部などを経て、平成28年からスポーツニュース部で格闘技を担当。学生時代はボクシングに打ち込む。

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