特集 明瀬山 遅咲きの35歳 大相撲春場所へ! 「けがをしないよう、ほどほどに頑張りたい」

28場所ぶり、史上4位のスロー再入幕の明瀬山が初場所で初日から6連勝と快進撃。千秋楽に初の敢闘賞が懸かる一番は取り直しの末に敗れましたが、35歳遅咲きのベテランの活躍は相撲ファンの心を見事につかみました。初場所を振り返り、春場所への思いを聞きました。
初場所は三賞取れたら最高だったが 9勝したので大満足
―― 初場所は大活躍でした。振り返って今どう思っていますか。
初場所6日目 突き落としで照強を破り6連勝の明瀬山
明瀬山
とてもうれしいですね。6連勝したときはよかったですが、途中で5連敗したときは嫌なイメージでした。でも、けがはしていなくて負けも先行しなかったので切り替えました。新入幕のときは4勝でした。初場所の目標は5勝だったのですが、新入幕の倍以上は勝てたのですごくうれしかったです。
―― 14日目、元大関の栃ノ心関に勝った相撲はすばらしかったですね。
明瀬山
次元が違う相手だと思ったので、変化がないので胸を借りるつもりで思い切り当たりましたね。勝ったときは、とてもうれしかったです。力を出して勝ったので、自分の力がどのくらい通じるかという思いで当たりました。
―― 千秋楽、「勝てば敢闘賞」は取組前に知っていましたか。
初場所千秋楽 明瀬山 (写真手前) が輝に押し出しで敗れる
明瀬山
そうです。場所入りのときに世話人さんから「きょう勝ったら三賞だね」と言われました。あまり聞きたくなかったなと思いましたね(笑)。しかし硬くなることはなかったです。取れたら最高の終わり方ができましたが、勝ち越せましたし、9勝したので大満足の場所でした。
―― 千秋楽の最初の取組は土俵際で網打ちを出したように見えて、関取の勝利への執念を感じました。物言いがついて協議の結果を待っている間どんな思いでしたか。
明瀬山
もう「頼む」という感じです。軍配は私に上がっていましたので。「お願いします。お願いします」という感じです。
――「同体、取り直し」と説明されたときは?
明瀬山
がっくりしました。けがなく終わりたいという気持ちが正直ありました。千秋楽ですし、体も結構疲れていました。最初の一番では背中から落ちたので、痛みもありました。もう少し体力があったらどうなったか分からないです。
―― 初場所の土俵で得たものは何でしょうか。
勝ち名乗りを受ける明瀬山
明瀬山
コロナ禍で休場力士が多い中で、ファンの方が見てくださって応援をしていただけたのなら、こんなにうれしいことはないです。私は派手な力士ではないのでそう思います。これからは右のまわしを取る自分の相撲を磨きたいです。研究してくる力士の上をいけるようにしたいです。
―― NHKの大相撲中継で関取の相撲を「攻めてくるアリ地獄」と表現した解説の親方がいましたが、どう思いましたか。
初場所5日目 明瀬山 (写真奥) が豊昇龍を寄り切りで破る
明瀬山
そういうふうに見えるんだなと思いました。懐の深さという感じですね。長い相撲が多いのですが、長く取りたいのではなく、前に出る力がないから自分の形にならないと出られないのです。中途半端に出たら、突き落とされたり投げられたりします。自分の形になるまで出られないのです。
春場所は「けがをしないよう、ほどほどに頑張ります」
―― 春場所は東前頭12枚目。どんな相撲を取っていきたいと思っていますか。
初場所12日目 母校の日本大学の化粧まわしで土俵入り
明瀬山
家賃が高い(実力以上の地位を意味する相撲言葉)と言いますが、そういうふうにならないように自分の相撲を取っていきたいです。
―― また白星を並べて春場所の土俵を盛り上げていってください。
明瀬山
はい。けがをしないよう、ほどほどに頑張ります。
この記事を書いた人

北出 幸一
相撲雑誌「NHK G-Media大相撲中継」編集長。元NHK記者。昭和の時代に横綱千代の富士、北勝海、大乃国らを取材し、NHKを定年退職後に相撲雑誌編集長となる。