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息切れはなぜ起こる?その仕組みと目からウロコの呼吸学!

2019-10-31 午後 0:00

階段を昇り降りするだけで息があがってしまったり、軽くランニングしてみただけで全然息が続かない……。
「うわあ、年取ったなぁ」なんて軽くやり過ごしていませんか?
でも、息切れは、どことなく気恥ずかしいし、苦しさを感じてしまうので、できることなら回避したいもの。
 
というわけで、今回は息切れが起きるメカニズムから、一般生活の中で役に立つ呼吸の改善法を専門家の黒澤一教授の監修をもとにご紹介します!

監修

東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座・産業医学分野
教授・黒澤一さん

そもそも“息切れ”はどうして起こるの?

 

息切れは肺や心臓が弱くなったから起こる……なんて考えていませんか? 

 

もちろんそれもまちがいではありませんが、実は脳の働きが深く関係しているんです。

 

そもそも呼吸とは、呼吸筋と呼ばれる横隔膜や肋骨の筋肉が働いていますが、これらの筋肉を動かしているのは、“呼吸中枢”という脳の一部。なんだか難しい響きですが、要するに呼吸の回数や深さを調節している指令室の役割を果たしています。

 

その仕組みについて、わかりやすく、イラストで説明します。

 

 

呼吸中枢は呼吸を通して体の中の環境を一定に整えています。そのため、時々刻々、いろいろなセンサーを通して体の状況をモニターし、呼吸筋に対して「これくらいの呼吸をしてほしい」と指示を出します(緑色の矢印)。この調節は眠っていても続けて行われるもので、意識しなくても自然に行われるものです。

 

一方、脳の中で呼吸中枢より上位の中枢があり、そこでも呼吸の状態をモニターしています。呼吸中枢から「これくらいの呼吸を指示した」という情報を受け取るとともに(オレンジ色の矢印)、呼吸筋の働き具合に関する情報もモニターしています(青色の矢印)。

 

これが呼吸の一通りの流れ。

 

息切れは、脳の上位の中枢が感じる不快な感覚の一種です。呼吸中枢が出した呼吸筋への指示情報と、呼吸筋の実際の働き具合のモニター情報の両方を受け取り、それがアンバランスになっている場合に起こります。

 

たとえば、マラソンで限界まで走ってゴールしたあとの息切れ。体の環境を一定に保つために呼吸中枢から呼吸筋は目一杯の活動を要求されます。しかし、呼吸の個人の能力には限界もありますので、体の各部分の酸素不足をすぐには満たせません。また、限界まで活動した呼吸筋が疲れてしまい、要求されるパフォーマンスができなかったりします。要求される酸素量や呼吸筋の疲れ具合が落ち着いてくるまで、苦しい感覚が続きます。

 

呼吸中枢からの指示が強くなるほど、呼吸がせかされた感じになって、息切れが感じやすくなります。

こんな時に息切れしやすい!

息切れが起こるパターンは大きく分けて3つ。

① 階段や坂道を登ったり、スポーツなどで激しい運動をしたりするとき

1つは、誰もが経験したことのある運動が原因となる息切れ。ごくごく一般的な息切れで休憩時間を取れば自然と回復します。また、加齢による心肺機能の衰えや運動不足、喫煙などによっても息切れしやすくなることも。

② 強い不安や緊張にさらされたとき

たとえば人前に出るのが苦手な人がスピーチや発表をするようなとき、あまりに緊張しすぎて呼吸が荒くなることがあります。ひどくなると過呼吸状態になって、体に悪影響を及ぼすことも。

③ 心臓や肺の病気で酸素が全身に行き届かないとき

ぜんそくや肺炎といった疾患があると息切れしやすくなります。また、花粉症などで鼻がつまっていたりしても息切れが起こりやすくなります。

日常で使える!覚えておきたい呼吸法

 

上では息切れしやすいパターンをご紹介しましたが、実際に息切れになった時はどうすればいいのでしょうか?

 

日常的に起こりやすいケースで、どのように呼吸を整えるとよいか解説します。

① 「やばい!遅刻だ!」急いで階段をダッシュするとき

こんなシーンで「久々に全力で走ったらすぐに息が上がってしまった」という方、多いのではないでしょうか?普段の運動不足があると心肺能力が低下しがちで、運動時の息切れが起こりやすくなります。普段から身体活動の習慣をつけましょう。普段の生活で息切れを早く収めたいという時は、しっかり息を吐くことに意識をおきましょう。苦しいと息を吸い込む方ばかり意識するものです。呼吸が効率よく行われ、息切れを落ち着かせることに有効です。

② ジムなどで体を鍛えるとき

意図的に有酸素運動をするときは呼吸を意識して運動してみましょう。ランニングなどではステップに同期した呼吸、ゆっくりとしたストレッチや筋トレなどでは動きに合わせた呼吸が基本です。

 

たとえば、腹筋を使うような動作は息を吐きながら、逆に胸を広げたり、背筋を反らせたりする動作は息を吸いながら行います。息を止めて動作を行うと、せっかくの有酸素運動の効果が損なわれかねません。たまに短い休み時間を挟んで、呼吸と心拍数を落ち着かせることも忘れないでくださいね。

③ 緊張から息苦しさを感じる時

緊張すると呼吸は浅く早くなり、無意識に息を吸おうと力が入ります。こんな時は肩の力を抜いて息をゆっくり吐きましょう。コツは口を少しすぼめてフーッと長い時間をかけて息を吐くことです。人間の体は、吐き終わると自然に息を吸いこむようになっています。息を吸い込む方は自然に任せましょう。これだけでも体がリラックス状態に。実際に「フーッ」と声を出して吐くのもオススメですよ。

 

さて、この口を少しすぼめて息を吐く呼吸は「口すぼめ呼吸」と呼ばれ、こうしたさまざまな息切れのシーンで有効です。吸うときは鼻から、吐くときは口をすぼめて吐くというものです。ぜひ実践してみてください!

こんな呼吸はNG!?あなたは大丈夫?

 

息切れを起こりやすくする原因はいろいろありますが、日々の生活習慣を正すことで、息切れのリスクを軽減することができます。

 

たとえば現代人に多いのが姿勢の問題。とくに呼吸筋の動きを制限するような前傾姿勢はあまりよくありません。次のようなケースに当てはまらないかチェックしてみましょう。

・パソコン作業

パソコンに向かうときは、両手を前に伸ばすために自然と前傾姿勢になってしまいます。これは呼吸筋の動きを制限しやすい姿勢の代表格・猫背と同じ状態。肩こりの原因として有名ですが、呼吸にも悪影響を及ぼすのです。日ごろから時々胸を反らせてストレッチするなどして、背筋をまっすぐ伸ばすように意識しましょう。

・肩掛けバッグ

ショルダーバッグなど片方の肩に重みがかかるバッグは、どちらか一方に姿勢が傾きやすく、背中にかかる重みを支えるため自然と前傾姿勢になりがちです。一方、両肩に均一に重みがかかるリュックは普段と同じ手荷物でも楽に感じませんか?その理由も呼吸のしやすさがあるからなんです。

・口呼吸

生理的な呼吸は鼻を使って行われます。激しい運動をしたときには口呼吸が中心になります。ところが、日常的に口呼吸をしている人もいますので注意が必要です。鼻やのどあるいは歯並びやあごの形などに要因がある場合、専門的な治療が必要なこともあります。また、特別な要因がなくても、習慣的に口呼吸をしているときもあり、この場合には鼻呼吸を意識してみることをお勧めします。口呼吸は息切れに関係するばかりでなく、免疫機能の低下や口の中の衛生状態の悪化などの影響が知られています。

息切れしにくい体をつくる!オススメトレーニング

 

息切れは歩いているだけでも起こることがあるし、ストレスによっても起こります。つまり生きているかぎり、切っても切れない感覚なのです。

 

ただ、それでも「息切れしにくい体になりたい!」という方もいるでしょう。そんな人は、まず以下のような心肺機能を高める運動を実践してみましょう。

 

・1日1万歩(一般人の平均で約1時間20分~30分)のウォーキング
・週1、2度のジムやプール
・自宅や教室でできる、ヨガやストレッチといった柔軟体操

 

いずれも心肺機能や骨格筋の機能を向上させ、息切れしにくい体作りに有効です。

 

近年、トップアスリートも呼吸法トレーニングに注目しているように、息切れしにくい体を作ることは大切なことなのです。

呼吸を整える食生活で息切れしにくい体づくりを!

 

さらに、息切れしにくい体つくりは食生活からも改善できます!

 

普段からタンパク質をしっかり摂取することが肝心です。最近では炭水化物を制限するダイエットもありますが、過度にやってしまうと、筋肉のタンパク質がエネルギー成分として分解されて筋肉量が減少するリスクが高まるのです。

 

そうすると、呼吸筋も衰えていき、自然に心肺機能も弱まってしまいます。ダイエットも大切かもしれませんが、炭水化物は不足のないようにバランスよく栄養を摂取することが肝心です。

 

息切れは、誰もが日常的に感じるだけに、うまく付き合っていきたいもの。息切れしにくい体をつくることは、健康的な体づくりと同じこと。普段から呼吸を意識すれば、スポーツをする人も、そうでない人も、より快適で健康な生活を送れるようになるかもしれません。

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