ストーリー野球

巨人 阿部慎之助 2軍監督「悔しさ胸に」

2019-11-19 午後 0:00

 

今シーズンかぎりで19年間の現役生活に幕を下ろし、プロ野球、巨人の2軍監督に就任した阿部慎之助、40歳。

 

原辰徳監督が「巨人軍史上最高の捕手」と評した強打のキャッチャーは、11月の秋季練習で将来のスター選手育成を目指し、初めて若手と向き合った。

阿部2軍監督がレギュラーシーズンで引退を決意して以降最後の戦いの舞台となった日本シリーズ、そして秋季練習とどのような思いでグラウンドに立ち続けたのかその言葉からひもといていく。

涙なしの現役引退

巨人ーDeNA(9月27日)

 

引退を発表した阿部にとって本拠地・東京ドームでのレギュラーシーズンラストゲームとなった9月27日のDeNA戦。

阿部は4年ぶりにキャッチャーで先発出場。「もう一度、受けたい」と希望した先発・マシソン投手を1回無失点に導いた。

 

 

打っては1点を追う4回、通算406本目となる同点のソロホームラン。詰めかけた4万6000人のファンからは阿部自身が「身震いした」と表現した地鳴りのような大声援が送られた。

事実上の引退セレモニーと位置づけられた一戦にも関わらず、阿部はこれまでと変わらない表情でプレーを続けた。

 

阿部2軍監督

涙を流すと気持ちが切れてしまうので、日本一になって泣こうと思う

 

試合直後の取材ではファンやチームメートに感謝の気持ちを示したが、男泣きは封印。7年ぶりの日本一へなみなみならぬ覚悟を示したのだ。

 

 

しかし、ソフトバンクとの日本シリーズで巨人はなすすべなく4連敗。阿部は第1戦でホームランを打つなど中軸が軒並みふるわない中で奮闘したが、有終の美を飾ることはできなかった。

 

それでも現役最後となった試合後にはソフトバンクの選手からも胴上げをされた。

 

阿部2軍監督

この重い体を10回も上げてもらい、うれしいなと思うし、すごく幸せ者。

 

ジョークを交えて感謝の思いを口にした後、悔しさをあらわにした。

 

阿部2軍監督

気持ちも技術もすべて劣っていたので勝てなかった。そこが一番。

 

日本一を逃し阿部は涙を流すことはなくユニフォームを脱いだ。

指導者として伝えたいもの

 

日本シリーズが終わってわずか1週間後に始まった秋季練習。阿部の指導者としてのキャリアが始まった。控え選手の実力差が日本シリーズ敗因のひとつとされる中、阿部は師弟関係にある原監督から選手層を厚くするため若手の育成を直々に託された。

阿部2軍監督

日本シリーズで惨敗した悔しさを若い選手に共感してもらって、自分たちがそうなるんだと思ってやってもらいたいなという思いがある。

 

秋季練習では選手1人1人に熱血指導。その間、ボール拾いや防球ネットの片付けまでスタッフが行う裏方の仕事もみずから率先して行った。

 

阿部2軍監督

すべてを見るというのが仕事。僕がやればみんな動くだろうしそうしたらチーム全体にそれが行き渡る。

 

何事にも手を抜くことなく、全力で取り組む姿勢がなければ1軍で活躍し続けるスター選手にはなれない。
強制はせず、まずは自身の背中で若手にメッセージを送ったのだ。

名将の系譜を受け継ぐ

 

阿部が最終的に目指す指導者像は「選手に対して何も言わない監督」。その真意とは。

阿部2軍監督

選手と信頼関係があって監督はこういう野球をやるだろうなと選手も理解する。
だけど2軍の子って経験も少ないしそういうことを少しずつ言っていけたらいいと思っている。

 

 

阿部は原監督とは1年目からコーチと選手、さらに監督と選手の関係で通算14シーズンに渡ってともに戦った。

 

そして8回のリーグ優勝と3回の日本一を経験。

名将のもとで学び成長してきた阿部だからこそ自分の頭で考えプレーする選手を育てることの大切さを誰よりも理解している。

常勝チーム再建の礎を作るため今後、その手腕が問われる。

林田健太

林田健太 平成17年入局。横浜局、静岡局、大阪局を経て、スポーツニュース部。昨夏はサッカー担当としてワールドカップ日本代表を取材。今年は、巨人担当としてチーム5年ぶりのリーグ優勝を見届けた。

 

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