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特集 17歳の床山「ふるさとの力士の活躍願い 修行の日々」

相撲 2019年11月27日(水) 午後0:00

大相撲では、力士の取組をさばく「行司」や土俵の上で力士のしこ名を呼び上げる「呼出」など、裏で支える人たちが大勢います。そのうちのひとつが、力士の髪を整えてまげを結う、「床山」です。中学校を卒業後、すぐに床山の世界に身を投じた若者を取材しました。

宮城野部屋に所属する17歳の床山、玉井竣さん

 

大相撲、宮城野部屋。

 

 

稽古に励む力士のなかには、石浦や横綱・白鵬の姿もあります。

 

 

こうした力士の象徴ともいえるのが、立派に結われたまげ。場所中や稽古はもちろん、日常生活もこの髪型で送っています。

 

 

稽古では、激しいぶつかり合いでまげが乱れることもあります。

 

 

こうしたまげを直し、丁寧に整えているのが、宮城野部屋に所属する床山、玉井竣さん、17歳です。中学卒業後1年間、部屋で見習いとして経験を積み、ことし2月、日本相撲協会に正式に採用されました。

床山名は、名前から漢字を1字取り、「床竣」としました。床山として働き始めて半年あまり。くしの通し方や髪のまとめ方については、まだ修行中の身で、毎日、部屋の力士のまげを結って腕を磨いています。

 

炎鵬関

床山さんがいてのお相撲さんだし、お相撲さんがいての床山さんだし。

昔からそうですけど、切っても切り離せないお互いにとっての大事な存在。

横綱・白鵬の一言がきっかけで 相撲を"将来の仕事"として意識するように

 

床竣さんが相撲に興味を持ったのは小学2年生の頃。相撲好きの祖母の影響で、テレビで大相撲を見ているうちに、その魅力に引き込まれていったといいます。

そんな床竣さんが中学2年生のころ、相撲を将来の仕事として意識するようになった出来事がありました。地元、鳥取県出身の力士、石浦の新入幕パーティーに参加した際に、同部屋の横綱・白鵬に、床山にならないかと誘われたのです。

 

床竣さん

最初は呼出(よびだし)になりたいですって言って。そしたら、『うちの部屋は、床山さんがもうちょっとで定年でいなくなるから床山になってくれないか』みたいなことを言われて、そこからですね。

最初はあんまり床山って考えていなかったので、どうしようかなと思って。

師匠の元・床蜂の存在が 床山の道に進む決め手に

 

はじめは迷いのあった床竣さん。床山の道に進む決め手となったのは、師匠の元・床蜂(とこはち)こと加藤章さんの存在でした。

 

床竣さん

体験で部屋に来させてもらうことがあって、その時に章さんの仕事を見て、格好いいなと思って。

 

 

力士に幕下や十両、それに幕内といった階級があるように、床山にも階級があります。床竣さんのように新入りの床山は、五等床山と呼ばれる一番下の階級からスタート。その後、勤続年数や技術によって四等、三等と順に階級が上がっていきます。トップの特等床山に至っては、「勤続45年以上」や「成績優秀な人」といった厳しい条件があり、たどり着けるのはほんの一握りです。

加藤さんは現役時代、トップの特等床山「床蜂」として横綱・白鵬をはじめ、多くの力士のまげを結ってきました。

 

 

加藤さんは、床山の世界に飛び込んだ床竣さんに、道具の使い方や技術だけでなく、心構えも教えてくれました。

元・床蜂(加藤章さん)

床竣は、まじめだからね。あとは一生懸命、自分でやればいいよ。

やっぱり床山というのは関取衆とか、いろんなお相撲さんには好かれないと。いろんな人に好かれるといろんな関取衆の頭できるしちゃんと仕事ができるようになってまじめにやれば、関取衆も見てくれる。みんなに好かれる床山になってほしい。

自分が"大いちょう"を結い 石浦が活躍するのを夢見て

 

床竣さんの所属する宮城野部屋には、同郷の石浦もいます。

 

石浦関

同じ鳥取出身ってうれしいですよね。

特に相撲界に自分が鳥取から入ったのも何十年ぶりとかで。その中でどんどん後輩が入ってくれるっていうのはうれしいですね。

 

 

床竣さんには、床山として抱いている夢があるといいます。それは、自分が大いちょうを結った石浦が本場所で活躍する姿をみることです。

 

大いちょうの白鵬

 

大いちょうとは、まげの先を銀杏の葉のように大きく広げた結い方のことで、十両以上の力士が結うことを許されます。まげの先をきれいに広げるには高い技術が必要で、床竣さんはまだうまく出来ません。大いちょうを仕上げられるようになることは床山にとって大きなステップだといいます。

 

床竣さん

同じ鳥取県出身の石浦関には、どのお相撲さんよりも一番頑張ってほしいという気持ちはあります。

いまはちょんまげしかできないけど、これから大いちょうができるようになって、本場所で大いちょうができるようになってそれで活躍してもらえたら最高ですね。

 

床山として道を歩み始めた床竣さん。ふるさとの力士の活躍を願いながら、修行の日々が続きます。

渡邊貴大

鳥取放送局記者。平成25年入局。福島放送局をへて平成29年から鳥取放送局へ。スポーツや災害、県政などを担当。

 

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