ストーリー野球

広島・小園海斗「絶対に負けたくない」

2019-12-16 午後 0:00

2019年、リーグ4連覇だけでなく、クライマックスシリーズ進出も逃した広島。涙をのんだ広島ファンの希望の光となったのが、ドラフト1位ルーキーの小園海斗選手でした。積極的に初球から振る思い切りのいいバッティングに巧みなグラブさばき。そうそうたる先輩の前でもものおじしない独特の人なつこさ。

そのはつらつとした姿でファンの心をつかんだ小園選手。収穫と課題を得たルーキーイヤーを終え、さらなる成長を目指しています。

自らを追い込んだシーズンオフ

1年目のシーズンを終えた小園選手に休む時間はありませんでした。10月は宮崎県で行われた若手選手が参加する「フェニックスリーグ」に参加。そして11月からは同じく宮崎県で秋季キャンプ。

 

 

それでもキャンプ前日の小園選手は元気な表情を見せていました。報道陣からの体調を気遣う問いかけには「絶好調です!」と心強いひと言。

しかし、球界屈指のハードな練習が行われる広島の秋季キャンプ。朝から晩まで練習に明け暮れる毎日に、さすがの19歳にも疲労が・・・。

 

 

ある日の守備練習では、一歩目でいきなりコケてコーチから「コゾ、もう足にきとるじゃないか!」と指摘される場面も。それでもすぐさま笑顔で起き上がり、「大丈夫っす!」と応える辺りが小園選手の魅力です。

 

小園海斗選手

練習はきついっす。正直きついですけど、自分のこれからのためにって自分に言い聞かせてやっています。

充実した1日1日を過ごせているんじゃないかなと思います。

異例の抜てきも“自分のレベルは低い”

 

ドラフト会議で4球団競合の末、報徳学園から広島に入団した小園選手。注目を集めたルーキーイヤーで小園選手は7月のシーズン後半戦から1軍に定着し、不振の田中広輔選手にかわってショートに抜てきされました。

 

 

58試合に出場し、ホームランは4本をマーク。高校卒業1年目の選手をじっくり育成する広島で、異例とも言える活躍を見せました。

一方で、打率は2割1分3厘、エラーも9個。本人の中では、プロでプレーするための課題が多く見つかったシーズンだったと言います。

小園海斗選手

よかったことも、悪かったことも、悔しかったことも、いっぱいあったんですけど、全体的にまだまだ自分のレベルは低いなという風に思いました。

結果を残し続けることは、本当に難しいなと思った。

課題①シーズン戦う体力

 

小園選手が課題と感じた1つが、1年を通してシーズンを戦う体力。その影響はバッティングで顕著でした。7月は打率2割7分7厘の成績でしたが、8月は1割9分、9月は1割8分2厘と下降線をたどりました。

小園海斗選手

体力はまだまだだと思いました。疲れたときにどれだけ打てるか。

特に夏場は本当に暑くて、特にシーズン後半の方はばててしまったので、その中でスイング力を落とさずに、体がしんどくても振れる力をつけていきたい。

 

終盤の疲れで思うようなバッティングが出来なかったことを踏まえ、1年を通して強いスイングができるよう、秋はひたすらバットを振り込みました。

 

西川龍馬選手

 

ちなみに練習の合間に小園選手が食い入るように見つめていたのが、同じ左バッターで3割近い打率を残した西川龍馬選手。

ファンの間で「変態打ち」と言われるほど巧みなバットコントロールでどんなボール球もヒットにしてしまう西川選手って、ずいぶんタイプが違うようですが。

 

小園海斗選手

タイプはあまり似ていないですけど、下半身の使い方とか、バットの出し方とかスイングの軌道とかは、本当にすごいなという風に感じます。

いろいろ本人に聞いたりということもありますし、練習を見てコーチとも話しながら、参考にして技術は盗んでいきたい。

課題②違いを痛感したショート守備

もう1つ、プロで違いを痛感したのが「日本一を目指す」と自信を持っていたショートの守備でした。

 

6月22日のオリックス戦 吉田正尚選手の正面のゴロをトンネル

 

特に悔しかったというプレーがあります。6月22日、マツダスタジアムで行われた交流戦のオリックス戦です。6回にオリックスの吉田正尚選手の正面のゴロをトンネル。このエラーから失点につながり、チームも敗れました。

小園海斗選手

オリックス戦の僕のミスから失点というのは悔しかった。その1勝っていうのが本当に命取りで、クライマックスシリーズにいけなかったというのもあった。本当に1勝、1球という重みを感じた。

 

 

オフの練習で重視したのが、基本的な足の動かし方の確認。コーチによると、シーズン中は打球を大事に捕ろうという意識が足の動きを止めてしまってエラーにつながるケースも多かったということです。練習では動きが止まってしまいがちな正面や三遊間の打球を重点的に、足を細かく動かしながら打球に入る動作を繰り返し体に覚えさせました。

 

山田和利 内野守備・走塁コーチ 

シーズン中は足が動いていない場面もあり、一番の特徴を忘れていたような感じもあった。だから一歩目が大事だというのを思い出させて、それをもう1回意識させた。

動きはまだまだだけど、やはり高校生にしてはすごいですよ。

 

小園海斗選手

しっかり打球のバウンドに合わせてさばくということができていなかった。

マツダスタジアムは本当に内野守備が難しいグラウンドでもあるので、その中でミスを減らしていきたい。

絶対に負けたくない "悔しさバネにレギュラー定着へ"

田中広輔選手

 

広島のショートといえば、リーグ3連覇に大きく貢献した田中広輔選手。8月に痛みがあった右ひざを手術。巻き返しを目指して練習を続けて順調な回復ぶりを見せ、新たに選手会長にも就任しました。

小園選手は2年目に向け、セカンドの守備練習も行っていますが、勝負したいポジションについて聞くと、はっきりと「ショートです」と返答。そして田中選手について聞いた時でした。

小園海斗選手

絶対に負けたくないです。

 

思いがけない強気な発言に質問した私ははっとさせられました。しかし、続いて出たのは19歳らしい謙虚な言葉でした。

 

小園海斗選手

練習を積み重ねていかないと(田中選手には)追いつけない。1年間、悔しい気持ちがいっぱいあったし、本当にここが大事な時期だなと思う。

ことしの成績ではレギュラーとしては全然だめだと思いますけど、来シーズンはレギュラーを取れるように頑張っていきたいと思います。

 

ルーキーイヤーから活躍したものの「悔しかった」という言葉を何度も繰り返し、現状に甘んじない小園選手。みずからを徹底的に追い込んで、すべての面で成長しようという姿に、どこまで成長してくれるのかという期待を抱かずにはいられません。2020年も小園選手のプレーに注目です。

松山 翔平

平成22年入局 大分局・千葉局を経て今年7月から広島局 サッカーを中心にスポーツを担当。元高校球児 ストレス解消法はジム通いとカラオケ。

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