奄美からSUPサーフィン世界1位 期待の16歳 福田カポノ選手

奄美大島の雄大な海に育まれた世界チャンピオンが、去年、誕生しました。
サーフボードの上に立ってパドルをこいで波に乗るSUPサーフィンの世界大会で、みごと優勝したのは、福田カポノ選手16歳です。
さらなる飛躍を目指す福田選手に、SUPサーフィンの魅力と、ことしにかける思いを聞きました。
奄美の海に囲まれ今がある

「奄美の海で、奄美の大自然に囲まれて今の僕があります。奄美の力強い波で小さい頃から波にもまれていたので、やっぱり鍛えられましたね」。
こう語るのは奄美市の高校1年生福田カポノ選手です。
パドルを手に海の上をさっそうと駆け抜ける「SUPサーフィン」は、今世界で人気を集めているマリンスポーツです。
福田選手は去年11月、スペインで行われた世界選手権の18歳以下の部で世界一に輝き、プロ選手としてのライセンスも手にしました。
福田選手は世界一の瞬間を、信じられなかったと振り返ります。
「すぐには実感がわかなかったのですが、インタビューを受けているうちに “あれ?18歳以下で世界一になれたのかな? なれたんだなうれしいな”って」。
SUPデビューは4歳

福田選手はアメリカハワイ州のオアフ島に生まれ、2歳のときに、サーフショップを営む両親と奄美大島に移住しました。
そこで4歳にして出会ったのが、SUPサーフィンでした。
SUPサーフィンの特徴は、普通のサーフィンよりも大きなボードを使うこと。
そしてパドルをこいで加速することで、ダイナミックな技を決められることです。
初めて海の上にたった日のことは、いまも忘れられないと言います。
「SUPサーフィンは、4歳の時にお父さんのボードの前に乗ってサーフィンしたのが楽しくて、それがきっかけです。初めて乗ったときが爽快感がすごくて味わったことがないスピード感、海の上を走り抜ける感じが気持ちよくて、それにはまりましたね」。
雄大な奄美の海に囲まれて育ち、自然とSUPサーフィンに夢中になった福田選手。
9歳にして全日本選手権に初出場して、結果は4位。
これをきっかけに趣味としてだけ無く、競技としての面白さも感じ始めました。
ただ中学時代には、結果が出ない苦しい時期があったと言います。
それでも乗り越えるために心がけたのは「楽しみながら続けること」でした。
「きついトレーニングが嫌いなので、SUPサーフィンをやったり、普通のサーフィンをやったり、楽しみながら、クロストレーニングをしながらうまくなっていきました」。
大舞台への準備

さらに力を付けるため福田選手が取り組んだのが、体の柔軟性の強化です。
ヨガの動きに着想を得て、股関節や足腰の柔らかさを高めようと自ら体操を考案しました。
そして迎えたスペインでの初めての国際大会。
雰囲気に圧倒されながらも、海に入ると不思議と懐かしさを覚えたといいます。
「人もすごく多くて気持ちも落ちていたのですが、波に乗ってみると、奄美大島と似ている部分があって、安心してサーフィンが出来ました」。
育まれた奄美を発信

世界の舞台で初めての栄冠を手にした福田選手。
ことしの世界大会では、さらなる飛躍を目指すと共に、育まれた奄美大島の魅力も発信したいと意気込んでいます。
「ことしにかける思いは、3戦くらい世界選手権があるので、連続優勝して快挙を成し遂げたいなと思います。そして奄美大島の環境の良さを全世界の人に知ってもらいたいので、“僕は奄美大島出身でここはすごい環境の所なんだよ”とか伝えたり、発信してもっと有名にしていきたい」。
海の上で堂々とした波乗りを披露する福田カポノ選手ですが、その素顔は高校1年生。
夜遅くまで学校の課題に取り組みながら、合間をぬっての撮影でした。
サーフィン愛好家の中には“ウォーターマン”という言葉があります。
幅広いマリンスポーツを極める人を表す言葉で、福田選手は将来はSUPサーフィンを極めながら、ほかの競技にも挑戦し続けたいと話していました。
“ウォーターマン”を目指し、奄美大島から世界の大波に乗る16歳。
ことしプロのライセンスも獲得し、より大きな大会にも挑戦できるようになった福田選手のこれからの活躍が楽しみです。