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大相撲秋場所 玉鷲が優勝 年6場所制で最年長37歳10か月

相撲 2022年9月25日(日) 午後6:34

大相撲秋場所は千秋楽の25日、平幕の玉鷲が勝って13勝2敗とし、3年前の初場所以来、2回目の優勝を果たしました。
37歳10か月での幕内優勝は、年6場所制が定着した昭和33年以降、最年長です。


秋場所の優勝争いは24日の14日目を終えて、2敗でトップに立つ幕内最年長の玉鷲と3敗で追う高安の平幕2人に絞られました。

千秋楽の25日、玉鷲と高安が直接対戦し、玉鷲が立ち合いから激しい突きとのど輪で優位に立ち、高安を土俵際に押し込んで押し出しで勝ちました。

玉鷲は13勝2敗で3年前の初場所以来、2回目の優勝を果たしました。

今場所は、一横綱三大関がそろって敗れる日が2回あるなど、上位陣が相次いで星を落とす中、玉鷲は横綱 照ノ富士から金星を挙げたほか、三大関もすべて破って場所を引っ張りました。

37歳10か月での幕内優勝は、年6場所制が定着した昭和33年以降、旭天鵬の37歳8か月を抜いて最年長の記録となりました。


「 鉄人」玉鷲 連続出場は歴代3位 30代後半で成長続ける


モンゴル出身の玉鷲は幕内最年長の37歳。

片男波部屋に入門し、平成16年初場所で初土俵を踏みました。

入門前に相撲の経験はありませんでしたが、徹底して突き押し相撲を鍛え、平成20年の秋場所で新入幕を果たしました。

その後、数年間は幕内と十両を行き来しましたが、のど輪や突っ張り、はず押しといった多彩な技を用いた激しい突き押し相撲を磨いて、平成27年の春場所で新三役、小結に昇進しました。

初土俵から所要66場所での新三役は、外国出身力士として歴代1位のスロー昇進でした。

そして3年前の平成31年の初場所、関脇で初優勝しました。

34歳2か月での初優勝は年6場所制が定着した昭和33年以降2番目の年長記録でした。

その年の名古屋場所以降は三役に座っていませんが、幕内で安定した成績を残しています。

また、初土俵から18年にわたる連続出場は今場所9日目に元関脇 貴闘力を抜いて歴代3位となり、25日時点で1463回となっています。

「鉄人」と呼ばれる玉鷲は、けがの少ない丈夫な体で30代後半になっても成長を続けています。


21場所ぶりの「間隔が空いた優勝」


玉鷲は3年前の初場所以来21場所ぶりの優勝となり、平成14年名古屋場所の元大関 千代大海と並んで過去5番目に間隔が空いた優勝となりました。

平幕の力士が優勝するのは先場所の逸ノ城に続いて2場所連続で、平幕の2場所連続優勝は平成3年の名古屋場所で琴富士、続く秋場所で琴錦が優勝して以来31年ぶりです。

また、モンゴル出身力士の優勝は3場所連続となりました。


八角理事長「迷いがない」


年6場所制が定着した昭和33年以降、最年長となる37歳10か月で優勝した玉鷲。

連続出場の回数を伸ばし続ける鉄人が技術面でも成長を見せて、3年ぶりの賜杯を手にしました。

幕内最年長の玉鷲は今場所、鋭い出足からの強烈な突き押し相撲で序盤戦から白星を重ねました。

八角理事長も「迷いがない」と脱帽する思い切りのよさでした。

さらに右を差して相手をいなすうまさも見せました。


5日目 横綱照ノ富士との一番


横綱 照ノ富士との一番では、突き押しで追い込んだあと照ノ富士が前に出てくるところですかさず右を差して回り込み、そのまま一気に寄り切りました。


10日目 大関御嶽海と対戦


大関 御嶽海との対戦では立ち合いから押し込まれましたが、土俵際で右を差しながらかわし、すくい投げで白星をつかみました。

師匠で元関脇 玉春日の片男波親方は「右を差すのは今まで見たことがない。これで攻めることができるというのを今場所覚えたのだろう」と驚いていました。

一気の攻めに巧みな技術が加わった玉鷲は1横綱3大関すべてを破り、場所を引っ張り続けました。

横綱、大関が全員出場した場所で平幕力士がすべての横綱、大関を破るのは昭和60年名古屋場所の北尾以来、実に37年ぶりでした。

ベテランになっても成長を続ける玉鷲の原動力について、片男波親方は初土俵からの連続出場の回数を伸ばすことにあると見ています。



今場所9日目、玉鷲の通算の連続出場は歴代単独3位になりました。

本人は「意識していない」と言いますが、片男波親方は「目立ちたいほうなので『鉄人』とか『連続出場』と言われることで士気を高めている」と明かしました。

玉鷲は先場所新型コロナウイルスの影響で途中休場したものの、みずからの意思での休場ではないとして記録は継続となり、今場所に向けて意欲を高めて稽古に打ち込んできました。

出稽古ができないなどの制限がある中、部屋で同時に2人の力士を相手に相撲を取るなどみずからを追い込んできました。

連続出場の記録とともに成長を遂げてきた玉鷲。

「自分の相撲を見せたい」と臨んだ今場所で3年ぶりの賜杯という最高の結果を手にしました。


玉鷲「3日前から優勝を意識」


3年ぶり2回目の優勝を果たした玉鷲は、「うれしい。優勝は3日前から意識した。毎日、毎日、緊張感があったがみなさんが熱い応援をしてくれるので応えられるようにしっかりやった」と今場所を振り返りました。

そして、星の差1つの高安との千秋楽の一番について「自分の相撲を取ろうと思った」と話し、勝った瞬間については「やったぞ」と思ったと心境を明かしました。

また、これまで何度も対戦しほぼ互角の勝負をしてきた高安について「いつも熱い戦いをしてくれて感謝している」と述べました。

37歳10か月での幕内優勝は年6場所制が定着した昭和33年以降、最年長となり、「みなさんの熱い応援のおかげだ」とファンに感謝していました。

そして今後に向けては「いつもと変わらず、自分の相撲を取ってファンのみなさんを喜ばせたい。九州場所はすぐなので気持ちが熱いままでいきたい」と意気込みを語りました。


八角理事長「見事な優勝だった」


日本相撲協会の八角理事長は2回目の優勝を果たした玉鷲について、「馬力がある。先に動けていたし、見事な優勝だった。今回は肩の力が抜けていたようだった」とたたえました。

また、横綱が途中休場となり、大関陣も成績不振の中で今場所を盛り上げたことについて「努力をしているから運にも恵まれたのかな」と話していました。

千秋楽まで優勝を争った平幕の高安については「きょうは動きがなかった。立ち合いは当たっているように見えたが、上体がのけぞっていた。少し開き直っていければよかったのだろうが、それ以上に玉鷲がよかった」と話していました。


片男波親方「師匠として玉鷲と出会えたことに感謝」


37歳10か月と最年長で優勝した玉鷲の師匠で元関脇・玉春日の片男波親方は「本当にまさかという思いだ。すべてに驚いている」と話していました。

また、「本人が一日でも長く相撲を取りたいと言っている。目標を持ち続けてやってほしいが、あすからゆっくりさせたい気持ちもある。師匠として玉鷲と出会えたことに感謝したい」と弟子への感謝を口にしていました。


高安「玉鷲関が強かった」


前頭4枚目の高安は6回目の敢闘賞を受賞しましたが、星の差1つで追っていた玉鷲との直接対戦で敗れて初優勝はなりませんでした。

高安は「持てる力を精いっぱい使って相撲を取った。全力で当たったが、玉鷲関が強かった。今場所は負けた相撲もあったが、何とか切り替えて最後、悔いはない」と振り返りました。

そのうえで、「優勝できなかったが、何度でも挑戦したい。この気持ちを忘れないでもう1回鍛える」と前を向きました。


粂川親方「玉鷲 年齢を感じさせない」


日本相撲協会審判部の副部長を務める元小結・琴稲妻の粂川親方は優勝した玉鷲の25日の取組について「全く緊張している様子が見られなかった。自分の相撲を取りきろうという強い気持ちが出ていた。立ち合いからしっかりおっつけも効いていた。本当に年齢を感じさせない」と評価しました。

また、高安については「全部を封じ込まれた」と振り返りました。

そして序盤から崩れた大関2人について「問題はそこだ。御嶽海は来場所、落ちてしまうが、しっかり稽古してまた上がってほしい。正代も元気を出してやってほしい」と奮起を促しました。

一方、今場所11勝を挙げた関脇・若隆景について「序盤戦がもったいなかったがよく修正できた」と評価しました。

そして、今場所の成績が大関昇進の起点と考えていいかと問われて認めたうえで「来場所が大事だ」と話していました。


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