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DeNA 山崎康晃 復活の要因と逆転優勝への思い

野球 2022年9月5日(月) 午後7:51
DeNA 山崎康晃 復活の要因と逆転優勝への思い

プロ野球はシーズンも佳境に入ってきました。
セ・リーグで8月に18勝6敗と大きく勝ち越し、首位ヤクルトを追う2位、DeNA。逆転優勝へのカギを握るのが抑えを務める、山崎康晃投手です。
8月、史上最年少で通算200セーブを達成しました。復活の要因と優勝への思いを聞きました。(今季成績は9月5日時点)。

ここ2年は苦しいシーズン


山崎投手は今シーズン、47試合に登板して、リーグ2位の31セーブ、防御率は1.57。安定した投球を続け、チームの勝利に貢献しています。

2度のセーブ王を獲得している山崎投手でしたが、おととしは防御率5点台、去年は3点台もセーブ数はわずか「1」に終わり、長年務めていた抑えの座を三嶋一輝投手などに奪われる苦しいシーズンを過ごしました。


原点に立ち返る


悔しさを胸にオフシーズンには、さまざまな取り組みをしました。
ことしの1月に行われた自主トレーニングでは、下半身を中心に体を徹底的に鍛え上げました。さらに、標高の高いところと同じくらいの酸素量の中で行う低酸素トレーニングで心肺機能を高めたほか、好物のチョコレートなどのお菓子を絶って、体重をコントロールしました。
その結果、最も重かった時よりも8キロ減量することに成功しました。



そして、2月に沖縄県宜野湾市で行われた春季キャンプでは、みずからの原点という「右バッターへのアウトコースのストレート」を投げ込んで、感覚を体にしみこませました。



(山崎康晃投手)
「僕自身の生命線はアウトコースの原点だということは、入団当初から変わらずに自分の中で持ち続けていた。もう1回自信を持って投げられるように、キャンプで磨きをかける時間を割けたことが1つ自信になっている」


右打者への外角直球復活


右バッターへのアウトコースのストレートが復活した山崎投手は、オープン戦でも結果を残し、三嶋投手とのポジション争いを制して開幕から抑えを務めました。

減量して体のキレが増したことや、投げ込んだことでフォームが安定したことなどから、平均球速は去年の147キロから、ことしは149キロと2キロアップしたほか、プロ8年目にして自己最速を更新する155キロをマークしました。



また、去年に比べて投球フォームの重心が低くなり、ボールを離すリリースポイントがバッターにより近くなりました。これによって、威力のあるボールでファウルでカウントが取れるようになりました。その結果、ストレートの被打率は去年の2割6分から1割7分9厘と、およそ1割下がりました。

(山崎康晃投手)
「バッターの手元でグンと、もう一段伸びるようなボールが投げられている。非常にいい形になっている」


通算200セーブ達成


そして8月24日。京セラドーム大阪で行われた阪神との試合で史上最年少で通算200セーブを達成しました。
達成できたことについての率直な思いを聞いたところ、山崎投手は、多くの人への感謝のことばを口にしました。



(山崎康晃投手)
「ここまでプロ野球の世界で活躍できるとは思っていなかった。強い体に産んでくれた母だったり、支えてくれた家族だったり、ずっと苦しいときも支えてくれた仲間への感謝の気持ちでいっぱい」


三嶋投手への思いも乗せて


自信を取り戻し、復活を遂げた山崎投手は、ある選手への思いも込めてマウンドに上がっています。それは去年、抑えを務めていた三嶋投手です。



ライバルとして高め合ってきたチームメートは、じん帯が硬くなり神経を圧迫する国指定の難病、胸椎黄色靭帯骨化症を発症し、先月手術をしました。

(山崎康晃投手)
「去年、本当に苦しい時期にずっと声を掛けてくれていた。三嶋さんの立場で僕に声を掛けることは、非常に難しいと思う。プライドとかではなく、人としてリスペクトを持つことは野球選手であっても、人間としても難しいこと。なので、三嶋さんが帰ってくるまで、まずは自分の腕を振り抜く。いつでも帰ってきてもいいようにチームでそういう雰囲気を作って待ち続けていきたい」



チームの勝利のため。
そして、ともに腕を振ってきた仲間のため目指すものがあるといいます。

(山崎康晃投手)
「チームとして順位が争える位置にいるっていうのは、本当にプロ野球選手として幸せなことだと思っていますし、優勝するときには必ずマウンドに立っていたい」


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