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夏の全国高校野球 山口 下関国際が宮崎 富島に勝ち3回戦進出

野球 2022年8月12日(金) 午後4:38
夏の全国高校野球 山口 下関国際が宮崎 富島に勝ち3回戦進出

夏の全国高校野球、大会6日目の第4試合は山口の下関国際高校が宮崎の富島高校に5対0で勝って3回戦に進みました。


下関国際は1回、今大会注目の右ピッチャーの1人で富島のエース、日高暖己投手の立ち上がりを攻めて、2アウト満塁のチャンスをつくり、6番の赤瀬健心選手のタイムリー内野安打で1点を先制しました。

さらに6回には、赤瀬選手のこの試合2本目のタイムリーと森凜琥選手のタイムリー内野安打で2点を奪い、終盤にも小刻みに得点を重ねました。

先発の古賀康誠投手はコントロールを欠き、毎回ランナーを出しながらも要所を締めて6回途中まで得点を与えず、ショートの守りから2人目としてマウンドに上がった仲井慎選手も好リリーフを見せました。

投打がかみ合った下関国際は富島に5対0で勝ち、ベストエイトに入った4年前に続いて初戦を突破し3回戦に進みました。

富島はエースの日高投手が球数が増えた5回以降に相手の打線につかまり、打線もチャンスで1本が出ず、甲子園初勝利をつかめませんでした。


下関国際 赤瀬「練習通りにバッティングや走塁ができた」


下関国際高校で4安打2打点と活躍した赤瀬健心選手は「逆方向へのバッティングを心がけた結果、4本のヒットを打つことができてよかったです。きょうは練習通りにバッティングや走塁ができたので自信になりました」と試合を振り返りました。

今大会注目のピッチャーの1人、日高投手を相手に勝利したことについては「力のあるストレートを投げていたので、出塁して足を絡めた攻撃をしようと心がけていました。後半は球威が衰えてきた中でストレートを狙って打つことができました」と話していました。


下関国際 坂原監督「チーム本来の野球ができた」


下関国際高校の坂原秀尚監督は「チーム本来のロースコアで勝ち上がる野球ができたと思います」と話しました。

4安打2打点、全打席出塁と活躍した6番の赤瀬健心選手については「チームには少ない左バッターですが、鍵を握るのは左バッターだと試合前からミーティングをして話していました。しっかり打ってくれたと思います」とねぎらいました。

6回ツーアウト満塁の場面で登板し無失点で抑えた2人目の仲井慎投手には「7回、8回にむけて準備させていましたが、しっかり対応して落ち着いて投球してくれました。県大会の準々決勝以降、いちばん調子のよいピッチャーでしたので、自信を持って投げてくれたと思います」と感謝していました。


富島 日高投手「逆転を信じて最後まで投げきった」


今大会注目の右ピッチャーの1人で9回、162球を投げきった富島高校の日高暖己投手は「きょうの調子はそこまで悪くなかったと思います。ただ、6回に3人で終わりたかったところでフォアボールを出してしまって、それが失点につながり流れを渡してしまいました。最後まで仲間が逆転してくれると信じて投げきりました」と試合を振り返りました。

今後の進路について聞かれると「きょうの試合で追い込んでからの決め球がないことや、ランナーが出てからの間の取り方など複数の課題が見つかりました。こうした課題があるなかでドラフトにかかるか分かりませんが、プロ志望届は提出するつもりです」と話していました。


富島 浜田監督「点が取れず苦しかった」


富島高校の浜田登監督は、9回、162球を投げきった日高暖己投手について「宮崎大会は日高投手がほぼ1人で投げて勝ってきました。これまでは態度や表情に気持ちが出てしまっていましたが、きょうはそれがなくなり淡々と投げていて、甲子園のマウンドに立つ姿を成長したなと感じながら見ていました。緊張もあったのか立ち上がりで失点しましたが、2回以降は丁寧に投げてくれました」と力投したエースをねぎらいました。

一方、4安打、無得点に抑え込まれた打線については「甲子園に来てからバッティングの調子は上がっていたので、もっと打てるんじゃないかと期待していましたが、相手のピッチャーが2人ともよくて点が取れず苦しかったです。打たないと勝てないので、次のチームづくりでは練習メニューも工夫して、打てるチームにしていきたいです」と話していました。


富島 高橋主将「ミスで失点、チャンスで打てず、本当に悔しい」


敗れた富島高校のキャプテン、高橋正道選手は「ミスで失点してしまったり、チャンスで打てなかったりしたことが悔しいですし、それで負けたことも本当に悔しいです」と振り返りました。

チームの仲間については「全員が最後まで諦めないと言っていていいチームになったなと思いました。一人ひとりが自分の役割を果たそうとしてくれて、熱くて野球が好きで、良いチームメートだったなと思います」と話しました。

また、地元・宮崎から駆けつけた応援団に対しては、「自分たち選手は“諦めない姿を見せる、全力でやる”と試合前に話していました。自分たちの野球はあまりできませんでしたが、球場を巻き込むような応援をしてくれて、最高の舞台に立たせてもらいました」と感謝していました。


好投手への対策がズバリ!


下関国際高校は大会注目の好投手への対策を選手たちが貫いて勝利につなげました。

下関国際の初戦の相手、宮崎の富島高校のエース、日高暖己投手は1メートル84センチの長身から投げ下ろす最速150キロ近いストレートとキレのあるフォークボールなどが持ち味です。

坂原秀尚監督はこの難敵をどう攻略するかが勝負をわけるポイントと考え、選手たちに2つの対策を徹底するように指示しました。

その1つが球威におされないように高めとインコースを捨て、腰の高さより下のストレートを狙うこと。

もう1つが序盤はきわどいボールを見極めながら球数を投げさせ、後半一気に勝負をかけることです。

その指示どおり選手たちは、1回から追い込まれるまでは高めのボールに手を出さず、きわどい変化球はファウルにするなどしてこの回だけで32球を投げさせました。

そして日高投手の球数が100球に迫ってきた6回、ワンアウト一塁で打席に立った赤瀬健心選手はインコース高めへのボールを見送ったあと狙いどおりアウトコースのベルト付近の高さのストレートを逆らわずにレフトに打ち返しタイムリーツーベースで貴重な追加点をあげました。

さらに終盤にかけて下関国際打線がたたみかけ最終的には日高投手に162球を投げさせて、ヒット13本で5点を奪い攻略しました。

試合後、坂原監督は「予想どおり日高投手の球の力が衰えてきた。作戦がはまりました。きわどい球をしっかりと見極めたことが終盤の追加点につながったと思います」と対策を貫いた選手たちをたたえていました。

これでベストエイトに入った4年前に続く初戦突破となった下関国際。

好投手との対戦が続くことも予想される次の試合以降、どんな作戦をたててくるのか目が離せません。


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