オリンピック 災害に見舞われた祖国への思いを胸に

北京オリンピックには、冬のスポーツが盛んではないアフリカからも5か国、6人の選手が出場しています。中には、災害に見舞われた祖国への思いを胸に、奮闘する選手もいます。
マダガスカル代表 祖国への思い
アルペンスキー女子のミアリティアナ・クレール選手はアフリカ南東部の島国マダガスカルで生まれ、1歳のときにフランス人夫婦の養子になったのを機に、3歳からスキーを始めました。
その後、フランスに住みながらマダガスカルをたびたび訪れるなど祖国との交流を続けていて、4年前のピョンチャン大会では16歳の若さで、マダガスカル代表として冬のオリンピックに初めて出場した女性選手となりました。
しかし、今回の北京大会に向け準備を進めていた先月から今月にかけて、マダガスカルにサイクロンが相次いで上陸し、地元の防災当局などによりますと、合わせておよそ150人が死亡したほか大勢の人が家を失い、クレール選手は「マダガスカルの人たちはいま本当に大変な思いをしている。いい結果を出し、彼らのために戦っていることを示したい」と、祖国への思いを口にしていました。

そして今大会、7日の大回転と9日の回転に出場し、みずからデザインしたというマダガスカルに住むキツネザルや現地の人たちの日常風景をあしらったウエアを着て臨みました。

両種目とも30人以上がコースアウトする難しい設定の中、クレール選手は急斜面の旗門を懸命なターンで通過し、完走を果たしました。
結果は大回転が41位、回転が43位でしたが、フィニッシュしたあとに笑顔で観客に手を振る姿も見られました。
競技を終えたクレール選手はSNSに「支えてくれたすべての人たちに感謝している。マダガスカルを代表することができて誇りに思う」と祖国への思いをつづり、現地のメディアもその活躍を報じました。
今大会、アフリカからはマダガスカルのほか、エリトリア、ガーナ、ナイジェリア、それにモロッコの5か国が出場していて、冬のオリンピックの歴史に新たな1ページを刻もうと、強豪国を相手に奮闘しています。