リュージュ 新型コロナと闘う医療従事者が出場 氷の上でも戦う

北京オリンピック5日目の8日、新型コロナウイルスと闘う医療従事者が、時速100キロを超えるそりに乗って氷の上を滑る競技に出場しました。
この医療従事者は、リュージュ女子1人乗りのアイルランド代表で、24歳のエルサ・デスモンド選手です。
8歳だった2006年、トリノ大会のリュージュを観戦してその魅力にとりつかれ、その後、家族でアイルランドリュージュ連盟を立ち上げて練習に取り組んできました。
同時に、麻酔科医を目指し、イギリスの病院で仕事を体験しながら学ぶインターンシップを受けていて、当初、北京大会前の2年間は出場権獲得に専念するため研修を中断する予定でしたが、新型コロナの感染拡大による医師不足のあおりを受け、競技のかたわら、患者への対応や勉強を続けてきたということです。
そうした中、リュージュで初めてのアイルランド代表として臨んだ今大会、デスモンド選手は7日の1回目と2回目で、時折、コースの壁に体を激しくぶつけながらもともに完走し、全体の34位につけました。
そして、8日夜行われた3回目では、これまでで最も速い最高時速115キロを超えるスピードを記録し、3回の合計タイムで33位と順位も1つ上げましたが、最終の4回目に進める20位以内には入れませんでした。
それでも、滑り終わったデスモンド選手は満面の笑みを浮かべて両手を何度も高く上げ、子どものころから目指してきた夢の舞台に立った喜びを体全体で表していました。
デスモンド選手は出迎えたチーム関係者に「滑りきることができた。最高の滑りではなかったかもしれないけれど、よかった」と、興奮冷めやらぬ様子で振り返っていました。
氷の上での戦いはひとまず終わりましたが、北京オリンピックの公式サイトによりますと、デスモンド選手は早くも今月11日には病院でのシフト勤務に入り、コロナとの闘いに戻る予定だということです。