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札幌市 冬の五輪・パラ招致へ新たな計画を公表 経費など見直し

2021-11-29 午後 08:38

  

2030年の冬のオリンピック・パラリンピック招致を目指す札幌市は、大会の開催に必要な経費などを見直した新たな開催概要計画を公表しました。


札幌市は29日午後開かれた市議会の特別委員会で、2030年の冬のオリンピック・パラリンピックの招致に向けた新たな開催概要計画を示しました。

おととし公表した計画で、最大で3700億円と試算していた開催経費について、可能なかぎり既存の施設を活用し、運営に携わる要員を削減するなど見直しを進め、大会運営費を2000億円から2200億円、施設整備費を800億円の合わせて2800億円から3000億円とし、これまでの試算から最大でおよそ900億円削減しています。

計画では大会ビジョンとして「札幌らしい持続可能なオリンピック・パラリンピック」の開催を掲げ、大会のためだけの施設の新設は行わず、競技会場は市外を含めた13の既存施設を活用するとしています。

市は感染拡大で中断していた市民との対話事業を来年1月再開し、招致への理解を促したうえで、年度内に実施する道民への意向調査などを踏まえ、招致の最終的な判断を行うことにしています。


おととしの試算から最大で900億円を削減


新たな計画では、開催に必要な経費について「大会運営費」が2000億円から2200億円、「施設整備費」が800億円の合わせて2800億円から3000億円と試算しています。

これは、札幌市がおととしまとめた試算から、最大で900億円の削減となっています。

これについて、市は市内の真駒内公園屋内競技場や長野市のボブスレー・リュージュパークといった既存施設の活用にめどが立ったことに加え、大会後に使用が見込めない仮設の施設はできるだけ建設しないことや、運営に携わる要員を削減することなどで経費を圧縮できたとしています。

経費のうち「大会運営費」は、観客席の一時的な増設など仮設にかかる費用として600億円、そのほかの運営費として1200億円から1400億円、予備費として200億円を計上しています。

このうち「予備費」は、おととしの試算では盛り込んでいませんでしたが、この夏の東京大会での新型コロナウイルスへの対応を踏まえ、不測の事態に備えるため、計上したとしています。

これら大会運営費は、IOC=国際オリンピック委員会の負担金や、スポンサー収入、チケットの売り上げによる収入などで賄い、原則として税金は投じないとしています。

一方、「施設整備費」はいずれも老朽化に伴う建て替えやバリアフリー化など施設・設備の改修にかかる費用で、このうち、豊平区の新月寒体育館の建て替え整備費用などとして365億円を計上しています。

また、月寒地区にある市営住宅の活用を見込んでいる選手村関連の整備費用として157億円、中央区の大倉山ジャンプ競技場の改修費用として78億円などを盛り込んでいます。

これら施設整備費について、市は現行制度に基づいた国の交付金などの活用を想定し、市の実質負担額は450億円と試算しています。


競技会場は市外を含めた13の既存施設を活用


新たな計画では、大会のためだけの施設の新設は行わず、競技会場は市外を含めた13の既存施設を活用することにしています。

このうち、市内では豊平区の西岡バイアスロン競技場でバイアスロンなどオリンピックとパラリンピック合わせて3種目を、南区の真駒内公園屋内競技場でオリンピックのアイスホッケーを行う計画です。

東区のスポーツ交流施設「つどーむ」でフィギュアスケートなどオリンピックの2種目、中央区の大倉山ジャンプ競技場でスキージャンプなどオリンピックの2種目、清田区の白旗山競技場でスキークロスカントリーなどオリンピックの2種目を行います。

このほか、サッポロテイネスキー場、札幌国際スキー場、さっぽろばんけいスキー場をいずれも、オリンピックとパラリンピックのスキーやスノーボードの種目に活用します。

一方、老朽化に伴い建て替えられる予定の豊平区の月寒体育館は新旧双方の施設を活用する計画で、月寒体育館でカーリングなどオリンピックとパラリンピックの2種目を、新月寒体育館でアイスホッケーなどオリンピックとパラリンピックの2種目を行う予定です。

市外では、長野市ボブスレー・リュージュパークで、ボブスレーやスケルトンなどオリンピックの3種目を行うほか、帯広の森屋内スピードスケート場でオリンピックのスピードスケート、ニセコ町にある既存のスキー場のゲレンデを活用して、スキーアルペンなどオリンピックとパラリンピックの2種目を行う計画です。

開会式と閉会式は札幌ドームで行います。

また、選手村は豊平区の月寒地区にある市営住宅や、市内のホテルなどを活用します。


大会を持続可能なまちを構築するための礎に


札幌市は1972年に札幌大会を開催したことでインフラ整備などが進み、国内有数の都市に成長するきっかけになったとしています。

そのうえで、市は招致を目指す2030年の大会を「100年後も輝き続ける持続可能なまちを構築するための礎」にしたいとしています。

「大会ビジョン」として「札幌らしい持続可能なオリンピック・パラリンピック」を掲げ「人と地球と未来にやさしい大会で新たなレガシー」をもたらすとしています。

市は、来年1月に再開する市民との対話事業などを通じて、広く意見を募り、開催の意義や大会のレガシーについてさらに具体的な検討を進めることにしています。


札幌市長「大会はさまざまな課題解決の絶好の機会」


2030年に冬のオリンピック・パラリンピックを招致する意義について、札幌市の秋元市長は会見で「札幌ではインフラの多くが更新時期を迎え、人口減少、少子高齢化への対応など解決すべきさまざまな課題があるが、解決には多くの人の力を結集する必要があり、大会はその絶好の機会だと考えている」と述べました。

そのうえで、具体的な招致のメリットについて「子どもたちに夢や希望を与え、将来の大会を目指すジュニアアスリートの発掘、育成につながる。また、都心部では街のリニューアルが進められているが、こうした時期にパラリンピックを開催すると、町全体をハードソフト両面で、バリアフリーの町に作り替えていく原動力となる」などと述べました。

さらに、これらの課題解決の取り組みについて「大会を開催しなくとも、20年、30年かければ進んでいくものだと思うが、それをスピードアップさせていくためのひとつのきっかけとして開催したい」と述べました。

また経費については「東京大会の取り組みを参考にしながら経費の見直しをさせていただいた。いろいろな対話の中で進めてきていて、IOCとの考え方に差はない」としたうえで「想定できるものは可能なかぎり見込んだ数字となっている。これ以上に上がることは避けていかなければならない」と述べました。


開催地決定へのプロセスは


2030年のオリンピック・パラリンピックの開催地として札幌市が選ばれるには、今後、IOC=国際オリンピック委員会と継続的に話し合いを重ね、開催に見合うと評価される計画に改善することが求められます。

オリンピック・パラリンピックの開催地についてIOCではおととし、大会の7年前に決めるとしていたこれまでの憲章の規定を削除し、新設した「将来開催地委員会」の検証や評価を踏まえて時期を問わずに決めることが可能になっています。

背景には、巨額な開催費用などを理由にオリンピック・パラリンピックの招致に消極的な都市が増えていることが挙げられます。

「将来開催地委員会」で招致に前向きな都市を把握し、安定した大会の開催につなげるのがねらいです。

今後、札幌市はこの委員会と話し合いを重ね、計画が開催に見合うと評価される必要があります。

そして、正式な候補地として理事会で承認されれば、IOCの総会で最終的な計画を発表したうえで採決で開催地に決まります。

2030年の冬のオリンピック・パラリンピックをめぐっては、札幌市のほか、アメリカのソルトレークシティや、スペインのバルセロナが他の都市との共催で興味を示すなど、複数の都市が招致を進めています。


「もう一度できるのはいいこと」「金銭的負担あるなら反対」


札幌市へのオリンピック・パラリンピック招致について、60代の男性は「しばらくやっていませんからもう一度できるのはいいことだと思います。経費は当初案よりも必ず増えると思うので少し多めに負担することになりそれは賛否があるでしょう。国の支援がないと問題はクリアできないのではないか」と話していました。

また20代の会社員の女性も「札幌で開催したら経済も活性化するので楽しみ。具体的にどれぐらい経費が使われるのか分からないのですが、できるだけ最小限にして行うのであればいいと思う」と話していました。

一方、40代の会社員の男性は「テレビで見ているぶんならいいのですが、金銭的な負担があるなら反対。賛成っていう人はあまりいないのではないか」と話していました。


JOC山下会長 東京の経験踏まえ 札幌市と連携の考え


2030年の冬のオリンピック・パラリンピック招致をめぐり、札幌市が大会の開催に必要な経費などを見直した新たな開催概要計画を公表したことを受けて、JOC=日本オリンピック委員会の山下会長がコメントを発表しました。

この中で、山下会長は札幌市の計画について「札幌市のビジョンに大変共感しています。スポーツを通じて持続可能なまちづくりを進める札幌において大会が実現すれば、スポーツの力で国際社会が抱える課題の解決に貢献する、日本のオリンピック・ムーブメントの姿を世界に示すことができます」としたうえで「東京2020大会がもたらしたさまざまなレガシーが、札幌大会を契機に、より一層社会の変革を推進することも期待できます」と述べて、JOCとしてこの夏の東京大会の経験を踏まえて札幌市と連携していく考えを示しました。


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