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日本シリーズ第3戦 ヤクルトがオリックスに勝利 2勝1敗に

2021-11-24 午後 02:58

  

プロ野球、日本シリーズの第3戦が23日夜、東京ドームで行われ、ヤクルトがオリックスに5対4で勝ちました。これで対戦成績はヤクルトの2勝1敗となりました。


ヤクルトは0対1で追う5回、2アウト満塁のチャンスで中村悠平選手の2点タイムリーヒットに相手のエラーが絡んで3点を奪い3対1と逆転しました。

その直後の6回、先発の小川泰弘投手がノーアウト二塁のピンチでオリックスの4番、杉本裕太郎選手にツーランホームランを打たれ同点に追いつかれました。

ヤクルトは続く7回にも、オリックスの吉田正尚選手にタイムリーツーベースヒットを打たれ3対4と勝ち越しを許しましたが、そのウラ、5番のサンタナ選手がツーランホームランを打ち、再び試合をひっくり返しました。

このあとヤクルトはリリーフ陣がオリックス打線に得点を許さず、5対4で勝ちました。

これでヤクルトが対戦成績を2勝1敗としました。


ヤクルト 2人の投手が期待に応える


接戦を制したヤクルト。2人のピッチャーが指揮官の期待に応え、逃げ切りに成功しました。

シーソーゲームとなった第3戦。ヤクルトは7回に1点を勝ち越され、なおも2アウト満塁のピンチの場面で4人目としてマウンドに上がったのが、9年目の石山泰稚投手でした。



去年リーグ3位20セーブを挙げた33歳は、今シーズン、抑えやリリーフでの失敗が目立ち、8月までに5敗。1軍から外れる時期もあり、納得のいく結果を残せずにいました。

ピンチの場面での日本シリーズ初登板に「使ってもらえたことを意気に感じた。どう打ち取るかということだけを考えた」という石山投手は、オリックスの代打・ジョーンズ選手を150キロを超えるストレートとスライダーで追い込み、5球目のフォークボールで空振り三振に打ち取りピンチをしのぎました。

この投げっぷりに高津臣吾監督は「打ち取り方がすごくよかったので8回もいかせる」と味方が逆転した後の8回も石山投手をマウンドも送り出しました。

その期待に応えるように石山投手は力のあるボールを投げわずか5球でオリックス打線を抑えました。



そして1点リードの9回、起用されたのはマクガフ投手。今シーズン途中から抑えを任され31セーブを挙げましたが、第1戦は2点リードの9回に登板し、アウトを1つも取れずに3失点。チームは逆転サヨナラ負けを喫しました。

高津監督は第1戦のあとマクガフ投手に「僕は全く気にしていない。あなたに任せる」と声をかけ信頼は揺るがないことを伝えていました。

この試合、マクガフ投手は、先頭にヒットを打たれ、このあと1アウト二塁とされ、打席には2番の宗佑麿選手。第1戦で同点の2点タイムリーを打たれたバッターでしたが、この試合は2球で追い込み4球目の落ちるボールでファーストゴロに打ち取り、2アウト。

同じく第1戦でサヨナラヒットを打たれた3番の吉田正尚選手をベンチは申告敬遠し、この試合で日本シリーズ初ホームランを打っている4番の杉本裕太郎選手との勝負となりました。

ここでマクガフ投手はストレートをインコースに2球続けて投げファーストゴロに詰まらせ、ゲームセット。
第1戦の悪夢を振り払う好投に高津監督も「我々も元気になるし、チームメイトも『あすも頼むぞ』という雰囲気になる。すっきりと第4戦を迎えられる」と声を弾ませました。


ヤクルト 先発の小川 6回3失点で先発の役割果たす


ヤクルトは先発の小川泰弘投手が味方が逆転した直後に同点のツーランホームランを浴びましたが追加点は許さず、6回3失点と先発の役割を果たしました。



31歳の小川投手は今シーズンチーム最多に並ぶ9勝をマークしましたが、レギュラーシーズン終盤の先月は2試合の登板で7失点勝ちなし。クライマックスシリーズでも出番がなく、状態が気がかりな中での先発マウンドでした。

こうした中、小川投手は持ち味のストレートに変化球を交えた緩急を生かしたピッチングで1回はパ・リーグ首位打者の3番・吉田正尚選手を相手に5球連続で速球で攻めたあと、120キロ台のチェンジアップで空振り三振。

2回もホームラン王の4番 杉本裕太郎選手をチェンジアップで打ち取るなどして、1回、2回はランナーを出しませんでした。

3回には味方のエラーも絡んで1アウト満塁のピンチを招きましたが、1失点にしのぎ、伊藤智仁投手コーチも「状態は悪くない。味方の援護を期待してとにかく粘り強く投げてほしい」と評価する中でのピッチング。4回と5回は立ち直り、無失点に抑えました。

味方が逆転した直後の6回。先頭の吉田選手にツーベースヒットを打たれたあと杉本選手には高めのストレートを捉えられ、同点ホームラン。ここまで抑えていた2人に続けざまに打たれ、リードを守れませんでしたが追加点は許さず、6回3失点と先発の役割を果たしました。


ヤクルト サンタナ「1球でしとめた」


逆転のツーランホームランを打ったヤクルトのサンタナ選手は、「とにかく強く振れる球を待っていた。打った瞬間ホームランだとわかったし、1球でしとめられたのがよかった。勝ったので最高の気持ちです」と笑顔で話しました。


ヤクルト 高津監督「僕たちの野球をするだけだ」


ヤクルトの高津臣吾監督は、逆転のツーランホームランを打ったサンタナ選手について「期待どおりのバッティングをしてくれた。一進一退が続く試合だったが最後によく打ってくれた」とたたえました。

そして「ミスもあったが、野手も、投手も、次につないでいこうという意識を持っていたので結果につながった。あす以降も1戦1戦丁寧にしっかり戦っていきたい。今までどおり僕たちの野球をするだけだ」と話しました。


オリックス 杉本「追い込まれたら逆方向に」


試合中盤で逆転を許したオリックス。4番 杉本裕太郎選手が今シーズンの飛躍につながった「追い込まれてからは逆方向に打つ」意識で同点ホームランを打ち、主軸の存在感を示しました。



6年目の杉本選手は身長1メートル90センチ、体重104キロの体格から生み出される長打力が最大の持ち味。1軍に定着できなかった昨シーズンまでの5年間はホームランが9本でしたが、今シーズンは32本のホームランをマーク。初のホームラン王に輝きクライマックスシリーズでも決勝のツーランホームランを打って、チームの主軸に成長しました。

これまでは、長打か三振、一か八かのバッティングで1軍に定着できなかった杉本選手は、「今までは追い込まれてもホームランばかりを求めてフルスイングしていた。今シーズンは追い込まれてから粘って打てるよう、練習から逆方向を意識している」と飛躍につながった打席での意識の違いを話していました。

この試合は1対3と2点をリードされて迎えた6回、ノーアウト二塁の場面。ツーストライクと追い込まれてからの5球目でした。
アウトコースのストレートを逆らわずにライト方向にはじき返すと、このあたりがフェンスを越えて同点のツーランホームラン。

「すこし詰まっていて、まさか入ると思っていなかった」と杉本選手。



今シーズン常に意識してきた「追い込まれたら強振せずに逆方向」のバッティングを実践し、ひとふりで主軸の存在感を見せました。


オリックス 投手リレーに不安


競り負けたオリックスは、短期決戦で結果を出してきた投手リレーがこの試合でははまらず、第4戦以降に不安を残す形となりました。

オリックスはクライマックスシリーズでは早いイニングからの投手リレーがはまり、勝ち進んできました。

このうち、ファイナルステージの第3戦では3回途中から6人のピッチャーでつないで同点に持ち込み日本シリーズ進出を決めていました。

この日の第3戦では、1点リードの5回、先発の田嶋大樹投手がワンアウトからヒットを許すとすぐさま、2人目の比嘉幹貴投手にスイッチ。ヤクルトの山田哲人選手を内野ゴロに抑えました。

ところが、このあと登板した3人目のバルガス投手が誤算でした。2つのフォアボールで満塁とピンチを広げ、中村悠平選手に逆転のタイムリーヒットを許しました。

中嶋聡監督は、「フォアボール、フォアボールは、さすがにそこまでは思っていなかった」とこの場面を嘆きました。

さらに、オリックスが追いつき勝ち越したあとの7回でした。
4人目のマウンドは吉田凌投手。クライマックスシリーズからの短期決戦では、ここまで4試合に登板し、無失点と抜群の安定感を見せていました。

しかし、日本シリーズでここまでノーヒットだった、ヤクルトのサンタナ選手にツーランホームランを打たれ、これが決勝点となりました。

シーズン終盤からチームを支えてきたリリーフ陣が、この試合は失点を繰り返したオリックス。第4戦以降の起用法を含め、今後に不安を残しました。


オリックス 中嶋監督「気持ちは出ている」


オリックスの中嶋聡監督は5回に送球ミスもあって3点を奪われ逆転された場面について「エラーがあったが取り返すことはできない。みんなで状況判断ができるようにしたい」と振り返りました。

一方、競り合いに持ち込んだ打線については「チャンスで全員が打てるわけじゃないが、それでもなんとかヒットを打とうとか、なんとかつなごうという気持ちは出ている」と話していました。


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