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橋本会長“『東京モデル』生かして”ANOC総会で大会価値を強調

2021-10-25 午後 07:14

  

世界各国や地域のオリンピック委員会の会合がギリシャで開かれ、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の橋本会長が「延期を乗り越えて開催された経験を『東京モデル』として将来に生かしてほしい」と述べて、大会開催の意義を強調しました。 組織委員会は、コロナ禍で開催された大会の感染対策などの情報を提供し、開幕が3か月余りに迫った冬の北京オリンピックでも活用してもらう方針です。


世界各国と地域、合わせて200余りのオリンピック委員会による会合は日本時間の25日、オンラインを併用してギリシャで開かれました。

オンラインで参加した組織委員会の橋本会長は「新競技や新種目は東京大会に特別な価値を与え、10代のアスリートが青空に向かってスケートボードや自転車のBMXで飛び出す姿は、同世代の人たちのインスピレーションになったと確信している」と述べました。

そのうえで「延期を乗り越えて開催された経験を『東京モデル』として将来に生かしてほしい」などと述べ、大会の価値を強調しました。

また、武藤事務総長は、選手や関係者の行動ルールを定めた「プレーブック」による行動管理や、100万回を超える検査などの感染対策によって大会は安全に実施されたと報告し、こうした情報を提供し、開幕が3か月余りに迫る冬の北京オリンピックで活用してもらいたいという考えを示しました。

一方で、東京大会をめぐっては、経費の詳細について組織委員会が詰めの作業を進めていて、会合のあと取材に応じた武藤事務総長は、仮設の競技会場や選手村などで使われたものを有料で売却したり無償で譲渡することで廃棄にかかるコストを抑えたりして、経費削減につなげる考えを示しました。

武藤事務総長は「撤去においても経費削減は重要な課題だ。細かいことを積み上げていく」と話していました。


東京オリンピック・パラリンピックで使われた競技会場は


東京オリンピック・パラリンピックで使われた43の競技会場のほとんどで仮設の建物や観客席、それに装飾などの撤去が進められています。

東京大会では、国立競技場など33か所の恒久施設が使われたほか、仮設の競技会場も10か所設けられ、中でも臨海部の「トーキョーウォーターフロントシティ」には仮設会場が集中して整備され、東京大会の象徴的なエリアでした。

このうち、3人制バスケットボールの3x3とスポーツクライミングなどが行われた「青海アーバンスポーツパーク」では、クライミング用の壁や観客席など、大型の仮設施設がすでに撤去されました。

会場のあった場所は東京都が所有する土地で、これまで、臨時の駐車場やイベント会場などで使われていて、大会後の活用方法はまだ決まっていないということです。



一方で、大会後も会場を活用することが検討されているスケートボードと自転車のBMXが行われた「有明アーバンスポーツパーク」は、観客席などの一部が撤去されているものの、スケートボードの会場は大会当時に近い状態で維持されていて、自転車BMXの会場もコースの起伏が残されています。

また、仮設の競技会場として整備された「有明体操競技場」は、建物を東京都が引き取って、展示場として少なくとも10年ほど活用する計画だということです。

東京大会の組織委員会は、仮設の競技会場の撤去や現状復旧作業を来年3月までにすべて終わらせることにしています。


東京大会の競技結果と参加者


東京大会では、オリンピックが史上最多の33競技339種目、パラリンピックは22競技539種目が行われました。

ジェンダー平等の観点から、卓球の混合ダブルスや柔道の混合団体などが追加され、男女混合の種目は前回リオデジャネイロ大会の9種目から18種目へと倍増しました。

コロナ禍で、選手の練習環境の整備や調整が難しいのではないかという懸念もありましたが
▽オリンピックでは競泳やウエイトリフティングなど6競技20種目で
▽パラリンピックは自転車のトラック種目や競泳など6競技153種目で
世界新記録が生まれました。

オリンピックに参加した選手は205の国と地域のオリンピック委員会と難民選手団から合わせて1万1259人に上り、女子選手の割合はおよそ49%と、これまでで最も高い割合となりました。

また、パラリンピックには162の国、地域のパラリンピック委員会と難民選手団から史上最多となる4403人が参加しました。

海外から訪れた競技団体の関係者や報道関係者、それにスポンサー企業など選手以外の参加者は、大会のコスト削減や新型コロナの感染対策の観点から
▽オリンピックでは予定していた14万1000人から3万3000人に
▽パラリンピックでは3万6000人から1万人に
それぞれ大幅に削減されました。

新型コロナウイルスの感染対策として原則、無観客での開催となった東京大会ですが、オリンピックは宮城と静岡の会場では上限を設けて観客を入れ、茨城の会場は学校連携観戦チケットによる子どもたちの観戦が実現し、観客の数は3つの県で合わせて4万3300人に上ったということです。

パラリンピックでは、学校連携観戦チケットで東京、千葉、埼玉の会場で合わせて1万5700人の子どもたちが観戦しました。

東京大会の運営を担った「大会ボランティア」として活動した人の総数は、合わせて7万970人に上りました。

内訳は
▽オリンピックで5万1672人
▽パラリンピックで2万4514人に上り
このうち5216人はオリンピックとパラリンピックで、ともに活動したということです。

東京大会では国際オリンピック委員会や国際パラリンピック委員会と契約を結ぶ企業を含め
▽オリンピックで81社
▽パラリンピックで80社がスポンサー企業となり
過去最多に上りました。

このうち「国内パートナー」と呼ばれる日本国内で宣伝活動などを行うスポンサー企業からの収入は、去年12月の予算で組織委員会の収入の半分近くを占める3500億円に上り、スポンサー企業からの収入も過去最多だということです。


コロナと暑さ対策


コロナ禍で行われた東京大会では、ことし7月1日以降で選手41人を含む合わせて863人が新型コロナウイルスに感染しました。

入院した人の数は、海外からの関係者5人、国内の関係者20人の合わせて25人で、組織委員会が協定を結んだ指定病院などが受け入れたということです。

選手村や競技会場など、大会が管轄する中で101万4170件の検査が行われ、この検査による陽性率は0.03%でした。

一方、最大の課題となった新型コロナの感染対策を徹底するため選手や関係者に順守を求めた「プレーブック」と呼ばれるルールブックに違反したとして選手や関係者が処分されるケースも相次ぎました。

オリンピックでは、大会に参加するために必要なIDカードの剥奪が15人、IDカードの一時停止が9人、厳重注意が32人。

パラリンピックでは、IDカードの剥奪が3人、IDカードの一時停止が1人、厳重注意が29人でした。

真夏に開催された大会でもう1つの課題となったのが暑さ対策でした。

大会期間中に熱中症の疑いのある症状を訴えた人は
▽オリンピックで150人に上り、このうち選手は59人でした。
▽パラリンピックでは34人に上り、選手は16人でした。

大会中に選手や競技団体から暑さを考慮した競技スケジュールを求める声も上がり
▽オリンピックではテニス、サッカー、ゴルフ、陸上の4競技で、競技の時間が変更され、このうち、サッカーの女子決勝は競技会場も国立競技場から横浜国際総合競技場に変更されました。

また
▽パラリンピックでも、車いすテニスの競技時間が変更される対策が取られました。


大会運営と浮上した課題


競技会場や選手村、それに大会関連施設に配備された警備員は延べ51万7700人で、このうち民間の警備員が46万7300人を占めました。

また、選手や関係者の輸送のためのバスの運行台数は、いずれもピーク時で
▽オリンピックが2160台
▽パラリンピックが920台に上りました。

関係者を運ぶための乗用車も大会期間を通じて2654台が使われたということです。

東京 中央区晴海の選手村では
▽オリンピックで1万8000人分
▽パラリンピックで8000人分のベッドが用意されたほか
「メインダイニングホール」と呼ばれる最も大きな食堂では、およそ700種類のメニューでおよそ87万食の食事が提供されたということです。

大会組織委員会によりますと、大会期間中、公式ウェブサイトへの不正な通信など、大会のシステムやネットワークに合わせて4億5000万回のサイバー攻撃があったということです。

ただ、ブロックなどの対策を講じたため大会運営への影響はなかったとしています。

持続可能な大会という東京大会のコンセプトに反する運営上の課題も指摘されました。

オリンピックの開会式では、スタッフやボランティアなどに用意された、およそ4000食分の弁当などが余るいわゆる「食品ロス」の問題が起きました。

組織委員会によりますと、7月3日から8月3日までの1か月間に、およそ13万食の弁当などが廃棄されたということで、発注の量の適正化や消費期限の比較的長い食品をフードバンクに提供するなどの対応を取ったということです。

さらに、オリンピックが閉幕したあとの撤収作業の際に、組織委員会が新型コロナ対策として用意していた、マスク3万3000枚と、医療用のガウン3420枚、消毒薬380本を廃棄していたことも明らかになりました。

組織委員会は、譲渡先がすぐに見つからなかったことや、一時的な保管場所がなかったためだと説明し、パラリンピックでは東京都などに無償で提供したということですが、膨大な費用をかけて開催された大会での、運営側のずさんな対応に批判が集まる結果となりました。


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