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サッカーW杯アジア最終予選【詳細】日本 2-1 オーストラリア

2021-10-13 午後 04:40

  

サッカー日本代表は、2022年ワールドカップカタール大会のアジア最終予選の第4戦で、午後7時過ぎからオーストラリアと対戦。日本は1対1の同点で迎えた後半41分にオウンゴールで2対1で勝ちました。 日本は最終予選の通算成績が2勝2敗となり、勝ち点を「6」に伸ばしましたが、総得点の差でオマーンに抜かれ、グループBの3位から4位に後退しました。


アジア最終予選で、ここまで1勝2敗で3位の日本は12日夜、さいたま市の埼玉スタジアムで3連勝中で首位のオーストラリアと対戦しました。

日本は、サウジアラビア戦から先発メンバーを3人を入れ替え、いずれもミッドフィルダーで前の試合は警告の累積で出場停止だった伊東純也選手、守田英正選手、それに23歳の田中碧選手が入りました。

前半8分、日本は南野拓実選手の左サイドからのパスを、田中選手がペナルティーエリア内で受けると右足で冷静に蹴り込んで先制しました。

後半25分、日本はペナルティーエリアのわずかに外でオーストラリアにフリーキックを与えてしまい、これをフルスティッチ選手に直接決められ、同点とされました。

それでも41分、日本は吉田麻也選手からのロングボールに反応した途中出場の浅野拓磨選手が左足で打ったシュートが相手のオウンゴールとなり、勝ち越しました。

日本はこのリードを最後まで守り、2対1で勝ちました。
日本は通算成績を2勝2敗として勝ち点を「6」に伸ばし、3勝1敗となったオーストラリアとの差を「3」に縮めました。


日本は4位に後退


最終予選で日本と同じグループBでは、サウジアラビアが3対2で中国に勝ち、オマーンはベトナムに3対1で勝ちました。

この結果、サウジアラビアがここまで4戦全勝で勝ち点を「12」に伸ばし、単独で首位に立ちました。

3位は勝ち点が「6」で得失点差でも並んだ日本とオマーンのうち、総得点の多いオマーン。日本は3位から4位に後退しました。

アジア最終予選では、各グループ2位以内が無条件でワールドカップへの出場権を得るほか、3位はプレーオフに回ります。


浅野「自分が試合を決めるんだと言う気持ちで」


後半に途中出場し、相手のオウンゴールを誘うシュートを打った浅野選手は試合後、「この試合に向けては選手全員が崖っぷちであると認識していた。試合に出場した時には同点に追いつかれていたが、それでもチャンスはあると信じて、自分が試合を決めるんだという気持ちでピッチに入りました」と振り返りました。



キャプテンの吉田選手は試合終了後「本当にほっとしている。最低限の結果だが、同点に追いつかれてもまだ時間はあると思っていた」と振り返りました。ゲームプランについては「守備では相手の特長を消すことを意識し攻撃では時間をかけて攻める遅攻と速攻、両方やれるようにしていた」と話しました。

先制ゴールを決めた田中選手は、自身のゴールシーンについて「南野選手からボールが来て目の前の相手がクリアをしないなと感じたので、あとはゴールを決めることに集中した。勝利に貢献できてよかった」と振り返りました。そして、「きょう会場に入る時に小さい子どもが自分たちが乗ったバスが到着するのを写真に撮っているのを見て、小さい子どもたちにワールドカップで戦う姿を見せられるように必ず勝って次につなげたいと思った。ここから全試合勝てばワールドカップにいけると信じて、これからも精一杯やりたい」と話していました。


森保監督「大事な試合続く これからも頑張る」


森保監督は試合終了後「これまで難しい戦いだったが、選手たちが出場権をつかみ取るために気持ちを切らさず準備をして、持っているものを出してくれた。プレッシャーがかかって難しかったが、ハードワークすることを実戦した」と振り返りました。

試合前の国歌斉唱の際、涙ぐんでいたことについては「毎回、君が代を歌うときは喜び、誇りを感じる。ホームで試合することができ、たくさんの応援を受ける中で君が代を歌わせてもらい、いつものように目頭が熱くなった」と話しました。

選手の起用については「自分たちの力を出すために、ここまでの活動を踏まえて、調子のいい選手を使おうと思った」と明かしました。

そして最後に今後に向けては「出場権を得るために大きい勝利だったが、これから6試合、大事な試合が続く。これからも頑張る」と話していました。


フォーメーション変更と若手起用が奏功し勝利


日本はこれまでとフォーメーションを変えるとともに若手選手を先発起用したことなどが奏功し、オーストラリア戦の勝利をたぐり寄せました。

森保監督は「守りに入らないように、勝利をつかみ取りに行く前向きな采配をしたい」とディフェンダー4人、ボランチ2人を含む中盤5人、前線に1人というこれまでの「4-2-3-1」から、中盤を3人前線を3人に変更して「4-3-3」というフォーメーションに変えてこの試合に臨みました。

さらに、攻守のバランスを取ることに長けた守田英正選手、田中碧選手の中盤の2人を最終予選で初めて先発で起用しました。

オーストラリアは、後ろからつないで攻撃を組み立ててくるという分析から守田選手や田中選手が高い位置でプレスをかけてボールを奪い、ゴールまで迫る場面が多く見られました。

守田選手は「今までなかったシステムだが、自分たちがやりたいサッカーを表現できた」と手応えを感じていました。

とりわけ活躍が目立ったのは田中選手でした。前半8分にペナルティーエリア内に走り込んでパスを受け、右足で冷静に蹴り込んで貴重な先制ゴールを奪い、また守備でも何度も体を張って相手の攻撃を食い止めました。

東京オリンピックではボランチとして6試合すべてに先発出場した23歳は、最終予選では初めての出場でしたが、「緊張したけどやることは変わらず自分の力を出すことが大事。自信を持ってプレーした」と振り返りました。

そして、「先輩たちの経験もすごく大事だけど若い選手の勢いも大事だと思う。そういうものを出せればと思っていた。これから簡単な試合は1つもないが日本がワールドカップに行くことが何よりも重要なのでもっと成長して引っ張って行くくらいの立場になりたい」と頼もしく次を見据えました。

ホームの応援の後押しもあって苦しい試合をなんとか競り勝ち、森保監督はグラウンドを1周して「皆さんの応援のおかげで勝つことができました。1つ1つ勝って一緒にワールドカップに行きましょう」と駆けつけたサポーターに感謝の気持ちを伝えました。

危機的な状況を脱したとはいえ無条件で本大会に出場できるグループ2位以内とはまだ勝ち点の差が「3」あります。

この勝利で勢いに乗り、勝ち点を積み上げられるか。来月はアウェーでベトナムとオマーンとの2試合に臨みます。



アジア最終予選の日本の試合は、残り6試合です。
▽11月11日 対ベトナム(アウェー)
▽11月16日 対オマーン(アウェー)
▽来年1月27日 対中国(ホーム)
▽来年2月1日 対サウジアラビア(ホーム)
▽来年3月24日 対オーストラリア(アウェー)
▽来年3月29日 対ベトナム(ホーム)


【試合経過(前半)】


<試合開始>
午後7時15分、日本のキックオフで試合が始まりました。

<前半4分>
日本は伊東選手の右サイドからのクロスボールに南野選手がゴール前で触れましたが、シュートを打つことはできませんでした。

<前半6分>
日本はコーナーキックで田中選手の蹴ったボールに遠藤選手が頭で合わせましたが、枠の外でした。

<前半8分>【ゴール】日本1-0オーストラリア
日本は南野選手の左サイドからのパスを受けた田中選手が右足でシュートを決め、先制しました。



<前半14分>
オーストラリアのコーナーキック。ヘディングシュートを打たれましたが、ゴールキーパーの権田選手が防ぎました。

<前半23分>
日本は伊東選手が右サイドでボールを受け、相手のディフェンダーを1人かわして左足でシュートを打ちましたが、枠から外れました。

<前半24分>
日本は長友選手の左サイドからのクロスボールに大迫選手が飛び込みましたが、うまく合わせることができませんでした。

<前半28分>
日本は左サイドで長友選手がパスを南野選手につなぎ、南野選手が低い弾道のクロスボールをゴール前に送ってチャンスを作りました。

<前半35分>
日本は中盤でボールを奪って素早く攻撃に転じ、大迫選手がドリブルで切り込んでペナルティーエリアの中でシュートを打ちましたが、枠の外でした。

<前半38分>
日本は左サイドにいた長友選手が細かいパス回しから前線に抜け出し、ゴール前の大迫選手にクロスボールを送りましたが、大迫選手は、ボールに触れることができませんでした。

<前半41分>
オーストラリアの選手にペナルティーエリアの中で強烈なシュートを打たれましたが、ゴールキーパーの権田選手がさわって、ボールはゴールポストをはじきました。このあと、こぼれ球を拾われ、シュートを打たれましたが、得点は与えませんでした。

<前半44分>
日本はペナルティーエリアの外でパスを受けた南野選手が反転し、相手の選手をかわして左足で鋭いシュートを打ちましたが、ゴールキーパーに阻まれ追加点はなりませんでした。

<前半終了間際>
日本はペナルティーエリア内で細かくパスをつなぎチャンスを作りましたが、シュートには至りませんでした。

<前半終了>
日本は前半8分に田中選手が先制点を挙げ、このあともサイド攻撃やショートカウンターなどでたびたびチャンスを作りました。ピンチもありましたが、ゴールキーパーの権田選手を中心に守りました。


【試合経過(後半)】


<後半開始>
午後8時16分、後半が始まりました。両チームとも選手の交代はありません。

<後半6分>
オーストラリアの選手がペナルティーエリアの外から後半最初となる低い弾道の鋭いシュートを打ちましたが、シュートは枠を外れました。

<後半9分>
日本は左サイドからのフリーキックで、田中選手が蹴ったボールに酒井選手が頭で合わせましたが、枠を捉えきれませんでした。

<後半16分>
日本は、フォワードの大迫選手に代わって古橋選手が途中出場しました。

<後半16分すぎ>
オーストラリアは選手2人を交代しました。ミッドフィルダーのアーロン・ムーイ選手に代わってフォワードのアワー・マビル選手、フォワードのアダム・タガート選手に代わってミッチェル・デューク選手が入りました。

<後半18分>
日本は、伊東選手が右サイドを突破しようとしたところをアジズ・ベヒッチ選手に倒され、ベヒッチ選手にはイエローカードが出されました。

<後半20分>
日本は自陣で守田選手が相手選手を倒し、一度はペナルティーキックと判定されましたが、VARの結果、ペナルティーエリアの外での反則と判断され、フリーキックとなりました。

<後半25分>【ゴール】日本1-1オーストラリア
日本は、フリーキックをアイディン・フルスティッチ選手に決められ、1対1の同点に追いつかれました。



<後半30分>
日本はペナルティーエリアの中で伊東選手がシュートを打ち、こぼれ球を拾った遠藤選手が再びシュートしましたが、相手ゴールキーパーの好セーブに阻まれ、得点を奪えませんでした。

<後半33分>
日本は、ミッドフィルダーの南野選手に代えてフォワードの浅野選手を投入しました。

<後半34分>
日本は相手の背後をとった古橋選手がシュートを打ち、そのこぼれ球を浅野選手がダイレクトでシュートしましたが、ゴールキーパーに止められ、大きなチャンスで得点できませんでした。

<後半36分>
オーストラリアはフォワードのトーマス・ロギッチ選手に代わってミッドフィルダーのジェームズ・ジェゴ選手が途中出場しました。

<後半39分>
日本は守田選手に代わって柴崎選手が、長友選手に代わって中山選手が入りました。

<後半41分>【ゴール】日本2-1オーストラリア
日本が2対1と勝ち越しました。浅野選手のシュートをゴールキーパーがはじき、そのボールが相手選手に当たってオウンゴールとなりました。



<後半44分>
オーストラリアは選手2人を交代しました。ディフェンダーのカラチッチ選手とフォワードのボイル選手が退き、ディフェンダーのグラント選手とフォワードのイコノミディス選手が入りました。

<後半アディショナルタイム>
オーストラリアのディフェンダー、スーター選手にイエローカードが出されました。

<試合終了>日本2-1オーストラリア
日本は2対1でオーストラリアに勝ちました。日本は後半25分に1対1の同点に追いつかれましたが、後半41分に浅野選手のシュートから相手のオウンゴールで勝ち越し、2対1でグループ首位のオーストラリアを破りました。


【先発メンバー】


【日本】第3戦のサウジアラビア戦から3人を入れ替えました。
<GK>権田修一
<DF>長友佑都/冨安健洋/酒井宏樹/吉田麻也(cap)
<MF>遠藤航/南野拓実/守田英正/伊東純也/田中碧
<FW>大迫勇也



【オーストラリア】
<GK>マシュー・ライアン(cap)
<DF>フラン・カラチッチ/アジズ・ベヒッチ/ハリー・スーター/トレント・セインズブリー
<MF>アイディン・フルスティッチ/アーロン・ムーイ/ジャクソン・アーバイン
<フォワード>マーティン・ボイル/アダム・タガート/トーマス・ロギッチ


【試合の見どころ】


アジア最終予選で、ここまで1勝2敗の日本。敗れた2試合はいずれも“単純なミス”から相手に決勝点を奪われました。初戦のオマーン戦は、日本が自陣でクリアしたボールを相手に拾われて失点。第3戦のサウジアラビア戦では、自陣でのバックパスを奪われました。
日本代表のキャプテン 吉田麻也選手は「ボールを奪ったあとに、また奪い返されるのが多すぎてピンチを招いている。そこは確実に改善しないといけない」とプレーの精度を上げることが勝利の絶対条件と話しました。
また攻撃面では、ここまでの3試合で発揮できていない、本来の持ち味であるパスをつなぐ連係を取り戻せるかがカギになります。
一方のオーストラリアは最終予選はここまで3戦全勝で首位。2次予選を含めると11連勝と好調です。平均身長は1メートル81センチを超え日本を上回る高さがあるだけでなく、組織力を生かした攻撃も得意としていて、グループトップの7点をあげています。
日本の森保監督は「試合の流れの中で最適な判断をしながら、目標とするプレーの基準を忘れないように意思統一をして戦う必要がある」とオーストラリア戦のポイントを挙げました。
アジア最終予選では、各グループの上位2チームに入れば無条件でワールドカップ出場が決まります。現在3位の日本がホームで勝利し、上位との差を縮めることができるのか。日本にとっては正念場の試合となります。



<「ワクチン・検査パッケージ」の技術実証実施>
日本サッカー協会は、日本対オーストラリアの試合で政府が行う「ワクチン・検査パッケージ」の技術実証に協力し、1万人を上回る観客を入れて開催します。対象となるのは、2回目のワクチン接種から2週間以上経過した人と、試合の開催日の3日前から当日までに医療機関などでPCR検査を受けて陰性証明書を受け取った人で、一般販売の1万席とは離れたバックスタンドの上層部におよそ5000人分の座席が用意されました。
訪れた人たちは会場に設けられた専用のブースでワクチンの接種証明書などを提示したあと、スタジアムに入っていきました。日本サッカー協会によりますと、ワクチン接種を2回受けた人がおよそ4300人、PCR検査で陰性だった人がおよそ700人、それぞれ来場する見込みだということです。


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