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陸上 “女子選手の下半身を執ように撮影” 会社員を書類送検

2021-09-16 午後 02:02

  

スポーツ大会に出場するアスリートの姿を性的な目的で撮影する行為や、その画像の拡散が深刻化する中、京都市で行われた高校生の陸上競技大会で、女子選手を執ように撮影したとして40代の会社員の男性が書類送検されました。


書類送検されたのは、京都市に住む47歳の会社員の男性です。

捜査関係者によりますと、この男性は8月22日、京都市のスタジアムで行われた高校生の陸上競技大会で、女子選手の下半身を複数回にわたって執ように撮影したとして、京都府の迷惑防止条例違反の疑いが持たれています。

男性は、会場の外からフェンス越しに選手を撮影していて、警戒していた警察官が見つけたということです。

持っていたカメラには、女子選手の下半身を強調した画像など、およそ150枚が保存されていたほか、スマートフォンなどからは、ほかの大会で撮影したとみられる選手の画像、およそ5000枚が見つかったということです。

警察の調べに対し、男性は「4年ほど前から近畿や北陸の競技場に行き、陸上選手のお尻をねらって撮影していた」と話しているということです。

警察によりますと、アスリートの盗撮は、ユニフォームの上からの撮影が罪にあたるかどうかの判断が難しいため、全国でも盗撮行為そのもので検挙したケースはほとんどないということですが、今回は、警察官が目撃していたうえ、カメラから多数の画像が見つかったことで、検挙につながりました。


NHK記者 取材中に男性への職務質問に遭遇


今回、書類送検された会社員の男性の撮影行為。

NHKの記者は先月22日、京都市のスタジアムでアスリートへの盗撮を防ぐために、対策強化に取り組む京都府警や大会の関係者を密着取材していて、警察が男性に職務質問する場面に遭遇しました。

競技が始まって1時間ほどたったころ、競技場の外から女子選手を撮影している男性に捜査員が気付きました。

捜査員が男性に声をかけた際のやり取りです。

(捜査員)「どういう、撮影目的とかなんかあったりとか?」。

(男性)「やっぱり女性のブルマ、この競技姿がちょっと」。

(捜査員)「そういった画像ね」。

(男性)「はい、すみません」。

(捜査員)「別に撮影行為がね、一概にだめだって訳ではないんです。ただ撮ってる写真の中身によってはね、やっぱり法に触れる場合もあるので、われわれも慎重に判断したいし、ちょっとご協力お願いできます?」。

このやり取りのあと、男性は、事情聴取のため、警察署に任意同行されました。

その後の警察の調べで、男性のカメラからは、ズーム機能を使って、女子選手のお尻の付近を強調して撮影した画像などおよそ150枚が保存されているのが見つかり、撮影を認めたことなどから、今回の検挙につながったということです。


競技場での盗撮対策は


選手への盗撮被害を防ごうと、京都府では警察と府の体育連盟が協力して先月、初めて対策会議を開き、競技場での不審な人物の目撃情報などを共有する取り組みを始めています。

会議では、高校の陸上部で顧問を務める教員から、多くの陸上競技大会で、選手への盗撮が疑われる行為が確認されているほか、撮影された選手の動画が、インターネットに投稿されていたケースもあったことなどが報告されました。

このため陸上競技大会では、会場内での無許可撮影や盗撮に悪用されやすい場所の立ち入りを禁止したほか、運営スタッフを巡回させるなどして、対策を強化しているということです。

京都府高校体育連盟、陸上競技専門部副委員長の江原吉信さんは「盗撮が原因で選手が自分の力を発揮できなかったり、集中できなくなったりしてしまうことは問題なので、思い切って競技に打ち込めるような状況にしていきたい」と話していました。

また、京都府警人身安全対策課の西田勝志課長は「選手や子どもたちが安心して競技を行える環境を守るため、これからも連携を深めて啓発と取締りに力をいれていきたい」と話していました。


盗撮被害の実態に詳しい弁護士「適切な法律作り被害撲滅を」


日本陸上競技連盟の法制委員会の委員を務め、アスリート盗撮の被害の実態に詳しい工藤洋治弁護士によりますと、盗撮は刑法に規定がなく、主に都道府県が定める条例で取締りが行われているということです。

しかし、ユニフォームの上からの撮影が条例違反の対象に当たるかどうかの判断は難しく、選手の画像をアダルトサイトに掲載したなどとして著作権法違反の疑いで逮捕されたケースはありますが、盗撮行為そのものでの検挙は、これまでに聞いたことがないとしています。

工藤弁護士は「ネット上での被害が立件対象になっていたが、今回は競技会の現場での被害、それ自体を立件対象にしたということで全国的にも極めて珍しい。条例を積極的に運用したもので、今後の犯罪の抑止にとって非常に大きな意義がある立件だ。選手はいつねらわれるか分からない不安な気持ちで競技をしてきたが、悪質な行為が立件されることで安心感を持って競技に取り組むことができるようになる」と述べました。

一方、憧れの選手の姿を写真に収めたり保護者が子どもを撮影したりすることは、スポーツを楽しむ在り方として尊重されるべきだとして「大切なのは、処罰すべき行為とそうでない行為をきちんと区別することだ。国でも撮影に関する罪を新たに法律で定めることが検討されているが、適切な法律を作り、被害を撲滅することが大切だ」と指摘しました。


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