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オリンピック陸上 帽子を放り投げ激走 廣中璃梨佳の覚悟

2021-08-03 午後 0:00

  

東京オリンピック、2日に行われた陸上女子5000メートル決勝で、日本新記録のタイムを出して9位に入った日本の廣中璃梨佳選手は、レースでいつもかぶり続けたトレードマークの帽子を3000メートル地点で放り投げました。大激走を見せてくれた20歳の「帽子」に隠された秘密とは?


廣中選手は試合でも練習でも、ほとんど帽子をかぶって走ります。その理由は中学から勝負に勝ってきた「願かけ」と話す廣中選手ですが、自分の走りに集中するためつばで視界を狭くしているという面もあり、彼女の強さの一因ともなっています。



迎えた2日の女子5000メートル決勝。居並ぶ世界のトップ選手を相手に序盤、まるで国内のレースのように先頭を走っていた廣中選手でしたが、1600メートルすぎから徐々に後退し、10人余りの第1集団の後方まで下がります。

その時が来たのは3000メートル地点。廣中選手が初めて帽子を外し、放り投げた場面でした。まるでシドニー大会のマラソンでサングラスを投げてスパートし、金メダルを獲得した高橋尚子さんをほうふつさせるシーンだと感じました。



トレードマークを放り投げてまで「ここから切り替えたい」と送った自分への覚悟の合図でした。それでも世界の壁は厚く、残り1000メートルから前を行く選手がスピードを上げていく中、徐々に差が広がっていきます。

しかし、ここで粘った廣中選手。1人を抜くと、残り1周でさらに1人かわし、9位でゴールへ飛び込みました。

タイムは、14分52秒84の日本新記録。
1か月ほど前、廣中選手を指導する日本郵政グループの高橋昌彦監督が「日本記録をねらわせますよ」と話していたのを思い出しましたが、オリンピックの決勝という大舞台で結果を出すところに、選手としてのスケールの大きさを改めて感じさせられました。



レース後のインタビュー。廣中選手に日本記録更新はねらっていたのかと聞くと「ねらっていました」と、はにかみながら認めました。

そんな彼女の手には例の帽子。帽子には何か書いてあったのでしょうか?と気になっていたことを尋ねました。

廣中選手
「同じチームの先輩でマラソン日本代表の鈴木亜由子さんがメッセージを書いてくれました。直前の合宿で調子に波があったんですけど、亜由子さんがアドバイスをしてくれて助けてもらいました」

最終盤の粘りはそのメッセージと関係があるのではと思い、その内容を聞こうとすると…。

「どんなことが書いてあるかは自分の中にとどめておきたい」

秘密を貫いた廣中選手。まだもう1試合、今月7日の女子10000メートルのレースがありますが、そのあとにでも帽子に何が書いてあるのか、明かしてはくれないでしょうか。


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