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亡命希望のベラルーシ選手 隣国ポーランドが受け入れ

2021-08-03 午前 09:48

  

東京オリンピックに出場するために来日し、第三国への亡命を希望したベラルーシの陸上選手について、ポーランドの外務次官は、選手にビザを発給して亡命を受け入れたことを明らかにしました。


陸上女子のベラルーシ代表クリスチナ・チマノウスカヤ選手(24)は1日、羽田空港で警察官などに対し「自分の国に帰りたくない」としてヨーロッパの別の国に亡命したいという希望を伝え、2日午後には東京のポーランド大使館に入りました。

このあとポーランドのプシダチ外務次官は2日、みずからのツイッターで「チマノウスカヤ選手はすでに人道的な配慮によるビザを取得した。彼女がスポーツ人生を続けられるよう必要な支援は何でもする」と書き込み、亡命を受け入れたことを明らかにしました。

チマノウスカヤ選手は近く日本を出国し、ベラルーシの西の隣国ポーランドに向かうとみられます。

チマノウスカヤ選手はこれまでのNHKの取材に対して「もともと予定していなかった種目にほかの選手に代わって出場するよう指示され、不満をSNSに書き込んだところ『政権批判だ』として強制送還されそうになった」などと話しています。

一方、チマノウスカヤ選手の夫は2日、NHKに対し、ベラルーシを出国して南の隣国ウクライナにいることを明らかにしました。

これに関連して地元メディアは、政権側の圧力から逃れるため安全な場所に避難する必要があったと伝えています。


政権批判への弾圧 スポーツ選手たちも抗議の声


ベラルーシでは政権に批判的な人たちへの弾圧に対して、スポーツ選手たちも抗議の声をあげてきました。

チマノウスカヤ選手もその1人で、大統領選挙での不正を訴える市民の抗議活動が広がっていた去年8月、自身のインスタグラムで、多くのアスリートたちの中央に立ち、「市民との戦いはやめるべきだ」とするメッセージを書いた紙を手にする写真を公開しました。

当時は抗議活動に対して治安部隊が排除に乗り出し、死傷者が出る事態になっていて、チマノウスカヤ選手はインスタグラムの中で「暴力は容認できず、治安部隊の行動は違法だ。言論の自由を支持している」などと投稿し、政権側を批判しています。

ベラルーシのアスリートを支援している団体「ベラルーシスポーツ連帯財団」は去年10月、1000人を超える選手たちの署名を集め、政権に対して暴力をやめるよう求める書簡を発表しました。

しかしベラルーシのルカシェンコ政権はこうしたスポーツ選手に対する弾圧も強めていて、団体のホームページでは、抗議活動への参加を理由に代表チームから外されたり公務員などの職を追われたりしたとする選手やコーチなどが紹介されています。


政権の弾圧とIOCの処分


ベラルーシでは去年8月に行われた大統領選挙で不正があったとして大規模なデモが行われ、これに参加したり政権による市民への暴力を非難したりしたスポーツ選手たちが拘束されたり、練習の場を奪われたりするなどの弾圧を受けてきました。

これについてIOC=国際オリンピック委員会は去年12月の理事会で、ルカシェンコ大統領らがスポーツ選手たちを政治的な差別から守っておらず「オリンピックムーブメントの評判に深刻な影響を与える」などと指摘しました。

その上で、ベラルーシのオリンピック委員会の会長を務めていたルカシェンコ大統領や2人の理事に対してオリンピックを含む全てのIOCの催しや活動から除外する暫定的な処分を決めていました。

さらにIOCは今年3月、ベラルーシのスポーツ選手たちが政治的な干渉から適切に保護されていないとしてベラルーシのオリンピック委員会の対応に「大きな失望」を示しました。

そして、ベラルーシのオリンピック委員会の会長を退いたルカシェンコ大統領の後任に、ルカシェンコ氏の長男が就任することを認めず、選手の支援を除く委員会への分配金を差し止める制裁措置を続けると発表していました。


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