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オリンピック レスリング女子76キロ級 皆川 3位決定戦で敗れる
2021-08-02 午後 10:08
東京オリンピック、レスリング女子76キロ級で皆川博恵選手が3位決定戦で敗れ、銅メダル獲得はなりませんでした。
33歳でオリンピック初出場の皆川選手は、1日の準決勝で敗れ、2日、銅メダルをかけた3位決定戦で中国の周倩選手と対戦しました。
皆川選手は試合開始早々から積極的に攻めますが、前半の残りおよそ1分で一瞬の隙を突かれてタックルで倒され、そのままフォール負けを喫しました。
皆川選手は、女子の最も重い階級では2008年、北京大会での浜口京子さん以来となるメダル獲得はなりませんでした。
金メダルはドイツのアリーネ・ロッター フォッケン選手、銀メダルはアメリカのアデライン マリア・グレイ選手、銅メダルは中国の周倩選手とトルコのヤセミン・アダル選手でした。
着実な成長もメダルまであと一歩
重量級では、ひときわ小さい体で世界を相手に戦い抜いてきた皆川博恵選手。
ベテランとなっても自分の可能性を信じ、成長を続けてきましたが、メダルにはあと一歩及びませんでした。
皆川選手にとって、オリンピックはかつて「すごく高いところにあるもの」でした。
国内では、スター選手だった浜口京子さんに勝てず、浜口さんが競技の一線を離れたあとの前回大会は、けがのために出場を逃しました。
その壁を破ったのが30歳で初めて銅メダルを獲得した2017年の世界選手権。
「そこまで差はないのかな」と自分の可能性に気付き、このときから本気で世界の頂点を目指し始めたのです。
もともと、組み手やタックルのうまさには定評があった皆川選手ですが、身長1メートル62センチとこの階級ではかなり小柄で、海外勢のパワーに圧倒されてしまうことがしばしばありました。
その差を埋めるため、国立スポーツ科学センターのトレーナーに相談し、徹底的にウェイトトレーニングで筋力強化を図りました。
その成果は次第に表れ、「圧倒されることはなくなった」と海外勢に対抗できる力強さを身につけ、持ち前の技術が生かされるようになってきました。
さらに強みであるスピードを生かし、動き回ってかく乱して正面からだけでなく、横から崩すタックルも磨いてきました。
世界選手権では2018年にも銅メダル、2019年には銀メダルと3年続けて表彰台に上がり、着実に結果を出し続けました。
オリンピックが延期になったことで去年6月には痛みのあった右ひざを手術し、「全く不安がない」という状態にまでコンディションを整えてきました。
「練習してきたものを出し惜しみすることなく全部出したい」と迎えた今大会。
初戦や2回戦は「ちょっとかたくなった」と言いつつも組み手で態勢を崩しすかさずタックルに入る練習どおりの戦いぶりで勝ち進みました。
ただ準決勝は、手足が長いドイツの選手の懐に入りきれずに敗れ、3位決定戦も中国の選手に敗れました。
ベテランとなっても着実な成長を続け、体格で勝る海外勢を相手に戦い続けてきた皆川選手。
メダルまであと一歩届きませんでしたが、自分の可能性を信じて努力を続ける大切さを教えてくれました。