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オリンピック 柔道 素根輝「人の3倍努力」を胸に金メダル

2021-07-31 午前 11:43

  

東京オリンピック、30日に行われた柔道の女子78キロを超えるクラスで、初出場の素根輝選手が金メダルを獲得しました。 「人の3倍努力」 このことばを胸に、ひたすら努力を重ねて金メダルを手にした素根輝選手。女子の最重量級、78キロを超えるクラスで日本勢としては4大会ぶりに頂点に立ちました。

「3倍努力」を胸に


素根選手が幼いころから、稽古と同じくらい大切にしてきたのが「人の3倍努力」ということば。

熊本県出身の柔道家、木村政彦さんが常々口にしていました。昭和の時代に活躍し、15年間一度も負けなかったとされ、「伝説の史上最強の柔道家」とも呼ばれています。



父から教わったというこのことばが、人一倍、負けず嫌いな素根選手を日々の練習に向かわせました。1回4分の乱取りを30本以上も繰り返すなど、人の3倍とも言える圧倒的な稽古量につながりました。


小柄ならではの戦略


身長1メートル60センチ余りで、この階級では小柄な素根選手。東京オリンピックで金メダルを獲得するためには、上背で勝る海外勢に対して勝ちきることが必要でした。



特に重点を置いてきたのが「釣り手」の位置。上から圧力をかけられると、動きを封じられ、技を出すことができなくなります。
そうした海外勢への対抗策が相手の襟を持つ「釣り手」の位置を上げ続けること。釣り手の左手を突き上げて距離と取り、隙をついて懐に入って技をかけるためです。

しかし、自分よりも背の高い相手に対して「釣り手」を高く保ち続けるのは、つらく苦しい体勢になります。
この形を作り上げるため、体の大きな男子選手を相手に稽古を重ねてきました。


大舞台でもスタイル貫く


大舞台でも「釣り手を大事にした」とみずからのスタイルを貫き続けました。
体格に勝る海外勢に対して次々に技を決め、準決勝までの3試合ですべて1本勝ち。決勝はキューバのイダリス・オルティス選手との対戦でした。前回まで3大会続けてメダルを獲得してきた、この階級で屈指の実力者です。



試合は延長戦にもつれ込みました。
素根選手は疲れの色を見せず、ひじを伸ばして「釣り手」を高く保ち、相手に自由にさせませんでした。しつこい釣り手にオルティス選手も根負けしたのか、最後は疲れた様子で3つ目の指導が与えられ、勝負は決まりました。

地元、福岡県にある母校、南筑高校時代では柔道部の松尾浩一監督も「人より3倍努力したことが、オリンピックの金メダルという大きな花を咲かせてくれたと思います」と、まず日々の努力をたたえました。



素根選手は「きついことや苦しいことがたくさんあったが、このことばを大切にして貫いてきた。結果が出てよかった」と笑顔を見せました。
小さなころから惜しまず続けてきた「人の3倍努力」が金メダルというこれ以上ない形につながりました。


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