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オリンピック 卓球 伊藤美誠は3位決定戦へ 女子シングルス

2021-07-29 午後 05:44

  

東京オリンピック卓球女子シングルスの準決勝で、伊藤美誠選手が中国の孫穎莎選手と対戦し、ゲームカウント0対4で敗れました。 伊藤選手は29日夜行われる3位決定戦に出場します。


東京オリンピック大会7日目の29日、卓球の女子シングルスの準決勝が行われ、世界ランキング2位の伊藤選手が世界3位の中国の孫選手と対戦しました。

2人は同じ20歳で、これまでの国際大会でも接戦を展開してきました。

準決勝で、伊藤選手は第1ゲームを落としましたが、第2ゲームはサーブから返ってくる相手のレシーブをねらった攻撃や持ち前の多彩なショットで9対3とリードしました。

しかし、孫選手のフォアハンドやコースをついたショットで8ポイントを連続で取られ、このゲームも9対11で落としました。

その後も孫選手の多彩なサーブに対応しきれず、レシーブのミスが続き、続けて2ゲームを落として、ゲームカウント0対4で敗れました。

伊藤選手は29日夜行われる3位決定戦に回り、日本の女子シングルスで初めてのメダル獲得を目指します。


【試合経過】


第1ゲーム:伊藤選手は3対11でこのゲームを落としました。

第2ゲーム:伊藤選手は9対11でこのゲームを奪われました。ゲームカウントは0対2とリードされています。

第3ゲーム:伊藤選手は6対11でこのゲームを奪われました。ゲームカウントは0対3とリードされています。

第4ゲーム:伊藤選手は4対11で落とし、ゲームカウント0対4で敗れました。


伊藤美誠「2ゲーム目取れなかったことが大きな点」


伊藤選手は「2ゲーム目を取れなかったことが大きな点だと思う。2ゲーム目から3ゲーム目への入りがあまりよくなかった。そこを立て直せなかったのが敗因だと思う」と試合を振り返りました。

そのうえで「結果は0対4で、本当に惜しくもなく悔しいが、気持ちを切り替えて、次の試合に入りたい。調子はいいほうだと思うが、これが実力なので、しっかり気持ちを切り替えて準備したい」と目に涙を浮かべながら話していました。


中国 孫「伊藤選手のサーブの回転 うまく返すことできた」


孫穎莎選手は、9対3とリードされたところから8連続ポイントを奪って逆転した第2ゲームについて「あきらめないという気持ちで全力を尽くして追いかけた。きょうの試合の自分のパフォーマンスに満足している」と振り返りました。

伊藤選手の持ち味であるサーブに対応できたことについて「いちばん大きいのは自分の準備。伊藤選手のサーブの回転に対しても、自分がイメージしていたよりもうまく返すことができた」と手応えを口にしていました。

女子シングルスはこれまでのオリンピック8大会すべてで中国選手が金メダルを独占していて、今回の決勝も孫選手と世界ランキング1位の陳夢選手の中国選手どうしの対戦となりました。

孫選手は「中国チームにはとても優秀な卓球選手がいるので、自分のチームに感謝している。きょうの試合のためにコーチやチームメートがたくさんエネルギーを注いでくれた。この試合に勝てたことで恩返しができたと思う」と、サポートしてくれたチームメートたちに感謝を示していました。


伊藤 初出場のシングルスでは


伊藤選手は今大会、日本代表の6人の選手の中でただひとり、シングルスと団体、それに混合ダブルスの3種目に出場します。

最初の種目となった新種目の混合ダブルスでは水谷隼選手とペアを組み、準々決勝ではドイツのペアにマッチポイントを握られながらも大逆転で勝利し、決勝では強豪の中国ペアにフルゲームの末に競り勝って、日本卓球界初の金メダルを獲得しました。

その翌日からは睡眠時間3時間ほどで女子シングルスに臨みました。
伊藤選手は前回のリオデジャネイロオリンピックは団体のみの出場だったため、シングルスは初めての出場です。

巧みにラケットを使った独創的で多彩な技が持ち味で、誰にもまねのできない唯一無二のプレースタイルで、世界ランキングは2位。国際大会では2019年以降、中国以外の海外選手に一回も負けていません。

今大会もサーブで主導権を握る得意の攻撃の形で危なげなく勝利し、準決勝では中国の孫選手と対戦しました。世界2位の伊藤選手と世界3位の孫選手は同じ20歳で、誕生日も10日ほどしか離れていません。



伊藤選手は「孫選手がいたからこそ、自分もここまで来ることができている」、孫選手も「伊藤選手の成長が、私のさらなる成長を促してくれる」と話し、互いをライバルと認め合い、切磋琢磨(せっさたくま)してきました。

伊藤選手は28日の準々決勝のあと「気持ちで負けないようにして、しっかり力を出しきりたい」と意気込んでいましたが、準決勝でライバルの孫選手に敗れて、3位決定戦にまわることになりました。

オリンピックの女子シングルスで日本選手がメダルを獲得したことはなく、伊藤選手はこの種目初のメダルをかけて、29日夜の3位決定戦で、準々決勝で石川佳純選手に勝った、世界47位でシンガポールのユー・モンユー選手と対戦します。


中国の気迫 伊藤を飲み込み


もう絶対に負けられない。伊藤選手は卓球王国・中国の気迫に飲み込まれてしまいました。

3日前の混合ダブルスの決勝で伊藤選手と水谷隼選手のペアは中国ペアにフルゲームの末に競り勝ち、金メダルを獲得。2008年の北京大会から前回のリオデジャネイロ大会までの3大会、すべての種目で金メダルを独占してきた中国の牙城を崩しました。



日本ペアのこの勝利は、中国チームに大きな衝撃と危機感を与えました。
中国卓球協会の劉国梁会長は以前行ったNHKのインタビューで、「東京オリンピックでは全力を挙げて、5つの種目すべてで金メダルを目指す。自信はすごくあるし、中国代表は東京オリンピックで素晴らしい成績を収めると信じている」と強い自信を示していました。
しかし、最初の種目でいきなり金メダルを日本に奪われ、混合ダブルスの決勝後はしばらく観客席から立ち上がることができませんでした。

翌日から始まったシングルスでは、中国選手がゲームを落として劣勢になると、劉会長は中国選手がポイントを取るたびに観客席で声をあげてガッツポーズをしながら立ち上がり、誰よりも大きな声援をおくっていました。さらに試合直後には、選手やベンチに入ったコーチに熱心に指導する姿も見られました。

劉会長のそうした様子から、次の金メダルを逃すことは絶対にできないという気迫と焦りが感じられました。

その中国が最も警戒していたのが、女子シングルスで世界ランキング2位の伊藤選手。2018年以降、中国の強豪選手にたびたび勝利し、今大会も混合ダブルスの決勝で中国ペアを破った伊藤選手に再び、負けることはできないと、準決勝の試合前の練習では、劉会長が伊藤選手の対戦相手の孫穎莎選手につきっきりでアドバイスを送っていました。

そして迎えた準決勝。会場の観客席に陣取った劉会長が1ポイントごとに大きな声で声援を送っていました。

孫選手は「準備ができていた」と、第1ゲーム、伊藤選手の持ち味のサーブにしっかりと対応して大差で奪いました。
続く第2ゲームは3対9と大きくリードされましたが、「諦めない気持ちで全力を尽くす」と気迫あふれるプレーで連続ポイント。孫選手が7対9と追い上げたところで伊藤選手が流れを変えようとタイムアウトを奪いました。
ゲームの流れを左右する重要なタイムアウト明けのプレーで伊藤選手は、得意のスマッシュを孫選手が返しづらい体の近くに打ち込みました。

ふだんなら決まっていてもおかしくない厳しいボールでしたが、孫選手は「無意識だった」と体勢を崩しながらも必死に返して大きなポイントを奪いました。

これで流れをつかんだ孫選手はこのゲームを大逆転で奪ってそのままストレート勝ち。圧勝に近い形でしたが、ベンチに入っていた中国女子代表の監督が勝利が決まった瞬間、立ち上がって右手を大きく突き上げた姿からも中国チームのこの試合にかける強い思いを感じました。



試合後、孫選手は「劉会長が試合中に、集中して1球1球諦めるなと叫んでいたのが聞こえた。きょうの試合のためにコーチやチームメートがたくさんエネルギーを注いでくれた。この試合に勝てたことで恩返しができたと思う」とリラックスした様子で取材に応じ、20歳で国の重責を背負い、宿敵、伊藤選手を破る大役を果たした安ど感が伝わってきました。



敗れた伊藤選手は、「調子はそこまで悪くないし、結構、いいほうだと思うが、これが実力」と目に涙を浮かべながら悔しそうに話していました。

金メダルを目指す中国の気迫に立ち向かい、卓球王国に再び、衝撃を与えることができるのか。
伊藤選手と中国の次の戦いは女子団体です。


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