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オリンピック 体操女子 バイルズが個人総合決勝を欠場
2021-07-28 午後 08:48
東京オリンピックの体操女子に出場している、アメリカのエース、シモーネ・バイルズ選手について、アメリカ体操連盟は、29日行われる個人総合の決勝を欠場すると発表しました。 バイルズ選手は前回のリオデジャネイロ大会で4つの金メダルを獲得し、個人総合には2連覇がかかっていました。
バイルズ選手は、驚異的な身体能力と演技の正確性を持ち味に、19歳で初めて出場したリオデジャネイロオリンピックで、団体と個人総合、種目別のゆかと跳馬で、合わせて4つの金メダルを獲得しました。
また世界選手権では、これまでに男女を通じて最多となる19個の金メダルを獲得しています。
バイルズ選手は今月25日に行われた女子予選では、複数の種目で着地が乱れるなどのミスがありましたが、個人総合トップの成績で決勝に進出していました。
しかしアメリカのオリンピック3連覇がかかった、27日の団体決勝で、最初の種目の跳馬で演技したあと、2種目め以降、残りの種目では演技を行わず、アメリカは銀メダルに終わっていました。
バイルズ選手は27日の競技のあとの記者会見で、演技を行わなかった理由について「今大会は1年間の延期や無観客での開催など、いろいろな要素が重なって、非常にストレスがたまっていた。このような精神状態ではチームの足を引っ張ると思い、あとはほかのメンバーに託すことにした。私はいつもなら試合を楽しめるタイプだが、今回のような状況ではそれが十分にできなかった」と話していました。
アメリカ体操連盟は28日、バイルズ選手が29日の個人総合決勝を欠場すると発表し、理由について「メンタルヘルスの問題に集中するため」としています。
海外メディアも大きく報道
アメリカのエース、シモーネ・バイルズ選手が、精神的な理由で団体決勝の2種目めから演技を行わず、個人総合の決勝も欠場すると発表したことについて、海外の主要メディアも大きく報じています。
このうち、アメリカのABCテレビは、体操の選手や関係者などからバイルズ選手を擁護する声が相次いでいると伝えています。
この中で、バイルズ選手の元チームメイトで、金メダリストのアリー・レイズマンさんのSNSへの投稿を紹介し、「オリンピック選手も人間で、ベストを尽くしている。本番にピークの状態を合わせるのはとても難しいことで、プレッシャーの中でいつもどおり演技するのは大変なことだ」と理解を示したと伝えています。
ロイター通信は「テニスの大坂なおみ選手やバイルズ選手などのアスリートが、メンタルヘルスについての十分な支援を得られているのかという問題を提起している」と伝えています。
そのうえで、IOC=国際オリンピック委員会のマーク・アダムス広報責任者が「アスリートのメンタルヘルスに対してもっとできることがあった」と述べたことを引用し、スポーツ界でメンタルヘルスが大きな問題となっていると報じています。
このほか、オバマ元大統領夫人のミシェル氏も「彼女をとても誇りに思うし、応援している」とツイッターに投稿したと伝えています。
AFP通信は、スポーツ心理学の専門家のコメントを引用し「これまでメンタルヘルスは極度のプレッシャーによるパフォーマンスの低下の理由としてうやむやにされてきたが、今、アスリートたちはプレッシャーについて公に話すようになってきている」という指摘を伝えています。
また、アメリカ体操連盟も声明を発表し、バイルズ選手が個人総合の決勝を欠場することについて「われわれは彼女の決断を心から支持し、彼女が心の健康を優先させた勇気をたたえたい。その勇気は彼女があらゆる面で模範的であることを改めて示した」と擁護しています。