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オリンピック “有観客” 自転車競技で見えた感染対策の難しさ

2021-07-27 午後 08:07

  

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、大会の組織委員会は、自転車やマラソンなどの公道で行われる競技について、沿道での観戦の自粛を呼びかけています。 このうちBMXを除いて静岡県を主な会場として行われる自転車競技。静岡県内の3つの会場ではいずれも有観客で競技が開催され、ロードレースは今大会初めて公道を使った競技となりました。 取材を進めると東京オリンピックの最重要課題とされる感染対策の難しさが見えてきました。

公道での規制の難しさ


大会2日目に行われた自転車の男子個人ロードレース。
東京 府中市の「武蔵野の森公園」をスタートし神奈川県、山梨県も通って静岡県の「富士スピードウェイ」でフィニッシュする244キロのコースで行われました。もちろんそのほとんどは公道です。



スタート前、コース上の多摩市の交差点を訪れると競技を一目見ようと、すでに多くの人が集まっていました。事前に大会の組織委員会は沿道での観戦自粛を呼びかけていましたが、ある人はスマートフォンを片手に、ある人は手を振りながら、観戦しました。

自粛するよう促すポスターを持ったスタッフの姿は見られましたが、感染防止の観点から声を上げての周知は難しく、公道であることから制止することもできず、集まった人どうしの距離がかなり近くなる状況となりました。


有観客会場 2つの“こんなはずでは…”


ロードレースがフィニッシュする2万2000人を収容できる富士スピードウェイはF1も開催されたことがあるモータースポーツの聖地です。本来であれば選手たちは満員の観客の大歓声に迎えられるはずでした。
しかし、新型コロナの感染拡大で観客の上限は半分以下の10000人に制限され、歓声をあげることも、鳴り物を使うことも、観客どうしが触れあうことも、すべて自粛するよう求められました。

男子では距離にして244キロ、東京 府中市から静岡県小山町までの長いコースを自転車で走りきった選手たち。その勇姿を見届けられるおよそ1万人の観客は、自由席の範囲内で密集しないように距離を保ったまま、拍手で選手たちの健闘をたたえるはずでした。



しかし当日、フィニッシュの瞬間を間近で見ようと競技を見ていて熱くなった観戦客が密集。屋外でマスクを着用しているとはいえ、観戦客の肩がぶつかるほど密集した状態で500メートルほどの長蛇の列になってしまいました。

これを受けて、大会組織委員会は翌日の女子のレースでは、会場内アナウンスで観戦客が密集しないように呼びかけたほか、フィニッシュエリア付近の人数制限を厳しくして対応しました。

その結果、前日よりも人の密集は緩和されたものの、それでもまだ一部では密集する場面も見られました。



また、静岡県伊豆市で行われたマウンテンバイクは、全長4100メートルの伊豆MTBコースを何周もします。

観戦客はコースの至るところに設けられた観戦スペースのどこでも応援することができます。

やはり人気が集まるのはフィニッシュ地点。オリンピック4大会連続出場で今大会限りで引退する山本幸平選手のフィニッシュの際にも多くの人が詰めかけて、自粛を求められたはずの歓声が沸き起こりました。



大会組織委員会
「観戦客には新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインを周知し、基本的には皆さん遵守いただけると想定していました。一方で、競技を見ると熱くなってしまう部分も考慮し、現場として楽しみを損なわない範囲での注意喚起を準備しました。競技の性質上、密集状態を避けるには難しい局面もある」


両立の難しさ


本来、自転車のロードレースは町から町へと駆け抜ける際に、沿道から多くの声援をもらう競技。そうした点にこそロードレースのだいご味があります。
マウンテンバイクはオフロードの厳しいコースを、転倒覚悟で想像以上のスピードで駆け抜ける“格闘技”のようなレースで、やはりコース沿いの声援や観客の存在は選手にとって力になるといいます。

実際に今回のレースでも、参加した選手は口々に「観戦客の応援が力になった。心から感謝している」と話しました。

いま真っ先に求められるのは感染症対策。
時代に則した大会運営と長く親しまれてきた競技の魅力。
観戦が認められた会場だからこそ、その両立の難しさを実感させられました。


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