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緊急事態宣言下の東京オリンピック 開会式は午後8時から

2021-07-23 午前 09:27

  

新型コロナウイルスの影響で1年延期された東京オリンピックは、23日開幕します。 東京都に緊急事態宣言が発出され、ほとんどの会場が無観客で行われるなど極めて異例な状況で行われるスポーツの祭典は、安全な大会運営を徹底することで選手や関係者への感染拡大を抑え多くの人たちの共感を得られる大会にすることができるか問われています。


57年ぶりに開催される東京オリンピックは、新型コロナウイルスの影響による史上初めての1年延期を経て、23日夜、国立競技場で行われる開会式で幕を開けます。

大会は史上最多の33競技、およそ200の国と地域から1万1000人余りが参加する予定で、来月8日まで17日間にわたって開催されます。日本の代表選手は史上最多の583人です。

新型コロナウイルスの感染の再拡大により、東京都に緊急事態宣言が発出されていることから開会式を含めほとんどの会場が無観客で行われます。

また選手や大会関係者に感染が相次ぐなど、世界最大のスポーツの祭典は国民から厳しい視線も向けられています。

さらに開会式をめぐっては、作曲担当の1人、小山田圭吾氏が学生時代のいじめの告白をめぐって批判が相次いで辞任したのに続いて、ショーディレクターを務める小林賢太郎氏も過去にナチス・ドイツによるユダヤ人の大量虐殺をやゆするセリフを使用していたとして開幕前日に解任されるなど異例の事態となっています。

組織委員会の橋本会長は「複雑な思いのある方が多くいることは理解しているが、世界が困難にある中で、スポーツの力を再認識できる舞台にしたい」と話していて、コロナ禍の東京オリンピックは、安全な大会運営を徹底することで選手や関係者への感染拡大を抑え、多くの人たちの共感を得られる大会にすることができるか問われています。


聖火リレーの最終走者は?


開会式は午後8時からメインスタジアムの国立競技場で無観客で行われ、これまでは1人だった日本選手団の旗手は、男女平等の観点から今大会から男女1人ずつとなり、バスケットボール男子の八村塁選手とレスリング女子の須崎優衣選手が務めます。

開会式のコンセプトは「United by Emotion」です。

世界中の人々が新型コロナの脅威の中で過ごし、これまでの大会とは違う環境で迎える中でも、スポーツには人々を感動でつなぐ力があり多種多様な違いをいかしながら助け合って生きていくことができるという思いが込められています。

また、オリンピックの開会式は、IOC=国際オリンピック委員会によって式典の内容が決められています。

主な要素としては国家元首の入場、選手の行進、大会組織委員会の会長とIOCの会長による式辞、国家元首による開会宣言、選手らの宣誓、近年は実物は使わずに疑似的に行われる放鳩、そして聖火の点灯などです。

オリンピック憲章には開会式をはじめとするすべての式典のプログラムはその内容をIOCに提出して事前に承認を得なければいけないと明記されています。

開会式では聖火リレーの最終走者を誰が務め、どのような形で聖火台に火がともされるのかも注目されます。


相次ぐ式典関係者の辞任や解任


東京オリンピック・パラリンピックの開会式と閉会式の制作体制は、狂言師の野村萬斎氏を統括責任者とする8人のチームで3年前にスタートしました。

しかし、大会が1年延期することが決まり、コロナ禍のもとで簡素な式典を目指して効率的に見直しを図る必要があるとして、去年末には日本のCM業界を代表するクリエーティブディレクターの佐々木宏氏を統括責任者とする新しい体制となりました。

その後、佐々木氏が女性タレントの容姿を侮辱するような演出案を提案していたことが明らかになり、ことし3月に辞任。統括責任者が不在のまま、式典の準備を進める事態となります。

今月14日の大会組織委員会の発表によりますと、式典の統括は大会組織委員会の日置貴之エグゼクティブプロデューサーが務め、開閉会式のショーディレクターは小林賢太郎氏、振り付け担当はダンサーの平原慎太郎氏となっています。

さらに音楽監督には音楽プロデューサーの田中知之氏、舞台美術には美術監督の種田陽平氏、開会式の作曲担当にはミュージシャンの小山田圭吾氏、聖火台のデザインはデザイナーの佐藤オオキ氏が名を連ねていました。

しかし、式典の制作チームを巡っては開幕まで1週間を切ってからも辞任や解任が相次ぎました。今月19日、開会式の作曲担当者の小山田氏が学生時代のいじめの告白を巡って辞任、そして22日は、式典のショーディレクターを務めていた小林氏がお笑い芸人として活動していた頃にナチス・ドイツによるユダヤ人の大量虐殺をやゆするセリフを使用していたとして解任されました。

東京オリンピックの開会式は、その前日まで式典関係者の辞任が続いた異例ずくめとなりました。


東京都 医療提供体制を維持できるか


開催都市の東京都では、感染の急拡大に歯止めがかからず入院患者が増加する事態に直面していて、大会関係者の感染も相次ぐなか医療提供体制を維持できるかなどが課題です。

東京都では、大会が延期されたこの1年、感染を抑え込むために、時短や休業の要請など繰り返し強い対策が取られてきました。しかし、先月中旬から感染確認が再び増加に転じ、22日は2000人に迫るなど、開幕を前に感染の急拡大に歯止めがかからない事態に直面しています。

都の幹部のなかには、「最悪の状況だ」といった厳しい受け止めがある一方、「感染拡大への懸念はあるが、大会が始まったら盛り上がるのではないか」といった声も聞かれます。



都内で入院している患者は22日、2500人を超えこの1か月で2倍になったほか、自宅で療養する人も急増していて、オリンピック期間中の医療のひっ迫も危惧されています。

医療機関は新型コロナと似た症状もある熱中症の患者への対応も必要で、大会関係者の感染も相次ぐなか医療提供体制を維持できるかなどが課題です。


都内 交通規制範囲が拡大


東京オリンピックの開会式にあわせ、都内では大会関係者の移動をスムーズに行うため、23日午後から24日の未明にかけて会場周辺などで交通規制の範囲が拡大されます。警察庁などは一般のドライバーや事業者に対し、車の利用を控えるよう呼びかけています。

競技会場が集中する都内やその周辺では、今月19日から首都高速道路の料金上乗せを含む大規模な交通規制が行われています。

23日夜の開会式では、各国の要人や大会関係者の移動をスムーズに行う必要があるため、会場となる東京 新宿区の国立競技場の周辺などで交通規制の範囲が拡大されるということです。

このうち、首都高速道路は▽都心環状線、▽2号目黒線、▽3号渋谷線、▽4号新宿線、▽10号晴海線、▽11号台場線で、23日午後5時半から24日の午前1時半にかけて合わせて17か所の入口が閉鎖され、都心方面への通行が規制されます。

また、一般道路でも、国立競技場周辺の青山通りや外苑東通りなどで23日午後4時から24日の午前1時半にかけて、中央区晴海にある選手村周辺の環状2号線などで23日午後4時から午後9時半にかけてそれぞれ通行止めとなります。

今回の大規模な交通規制にともない、都内の一般道路では渋滞も起きていて、警察庁などは一般のドライバーや事業者に対し、車の利用を控えるよう呼びかけています。


小池知事「安心・安全な大会を」


東京都の小池知事は23日朝、都庁で記者団に対し「オリンピック史上初めての1年延期を経てきょうを迎えた。ここに至るまで多くの職員が大会の準備に励んできた」と述べました。

そして「コロナ禍ではあるが安心・安全な大会を開き、持続可能な回復を理念として掲げている東京大会を仕上げていきたい。きょうはまさにその第一歩だ」と強調しました。

そのうえで小池知事は「大きなスポーツの力を皆さんのエネルギーにしてほしいし、東京のエネルギーにしていきたい」と述べました。


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