“激辛チップス”食べた高校生病院搬送 専門家が注意呼びかけ

16日午後、東京・大田区の都立高校で、市販されている激辛のポテトチップスを食べた多数の生徒が体調不良を訴え、14人が病院に搬送されました。
生徒たちは口や胃の痛みを訴えましたが、いずれも軽症だということです。

16日午後1時前、東京・大田区にある都立六郷工科高校で、市販されている激辛のポテトチップスを食べたという多数の生徒が体調不良を訴え、高校1年の生徒14人が病院に搬送されました。
警視庁などによりますと、生徒たちは口や胃の痛みのほか吐き気を訴えましたが、いずれも軽症だということです。
このポテトチップスは男子生徒が持ち込んだもので、同級生などおよそ30人に配ったということです。
パッケージには「18禁」「成人向け」などと書かれていて、販売元のホームページでは、ハバネロよりも辛みが強いとされる成分が入っているため、高血圧や胃腸の弱い人、それに18歳未満は食べないよう注意を呼びかけていました。

ポテトチップスを製造・販売した会社は「お客様はじめ、関係各位に対し多大なるご迷惑をおかけいたし申し訳ございません。搬送された方、ならびに体調不良を訴えられた方の一日でも早い回復をお祈り申し上げます」とコメントしています。

辛さを感じる仕組みに詳しい名古屋市立大学なごや先端研究開発センターの富永真琴特任教授は「実は辛みという感覚は、味覚ではなく痛みに分類される。辛いものに含まれる『カプサイシン』という物質が作用して、汗をかいたり、心臓がバクバクしたりするほか消化器の血流が多くなって胃の運動が強くなりすぎ、胃が痛くなるなどの反応が起こる。少量、適量であれば、胃酸の分泌を抑えたり、胃の動きをよくしたりするといったよい面がある。ただ度を過ぎれば危険で、特に子どもでは少量でより強い反応が起こるので注意が必要だ」と指摘しました。
そのうえで「暑い夏は汗をかいて体温を下げるために辛いものが食べたくなるが、食べ過ぎには注意が必要だ。カプサイシンに反応する受容体は温度が下がると働きが抑えられ、またカプサイシンは脂に溶けやすいので、もし辛いものを食べ過ぎた場合は脂質が含まれた冷たいミルクを飲むのが一番よいのではないか」と話していました。

「南流山内視鏡おなかクリニック」の医師で消化器系の病気や症状に詳しい前田孝文院長は、辛いものを食べることで腸のはたらきに異常が生じ、腹痛や下痢などが起きやすくなる患者もいるとして、「辛いものは体にとって異物のため、吐き出そうとおう吐を繰り返すと食道が裂けて、裂けた部分から菌が体内に入り重篤な状況をもたらすということもあり得る」と指摘しています。
そのうえで、「辛いものを食べた時に冷たいお水を飲んで何とか辛いのをおさえようとするかもしれないが、水には辛みの成分を洗い流す効果はあまりない。牛乳など乳製品で胃腸の粘膜を保護しながら少量を食べるというのが一番安全な食べ方だと思う。また、ストレスがかかっていたり、生活のリズムが乱れて疲れていたりする時は腹痛などの症状が出やすいので、そうした場合にも大量に辛いものを食べるのは控えたほうがいい」と話しています。