暑さをしのぐ「クーリングシェルター」 都内の観光スポットも

5日も各地で猛烈な暑さとなりました。
こうした暑さをしのぐための「クーリングシェルター」に今月、都内の観光スポットも指定されました。

「クーリングシェルター」は、自治体があらかじめ指定した公共や民間の冷房が効いた施設で、ことし4月から運用が始まった「熱中症特別警戒アラート」が発表されると、開放することが求められます。
このうち、東京・港区の東京タワーが今月1日、「クーリングシェルター」に区から指定されました。
区内ではこれまでに32か所の公共施設が指定されていますが、民間の施設は初めてです。
東京タワーでは、クーリングシェルターとして1階から3階におよそ100席を用意していて、営業時間中は「熱中症特別警戒アラート」が出ていないときでも自由に利用できます。
70代の男性は、「気温もちょうどよく、今後も使わせてもらいたいです」と話していました。
東京タワーの澤田健執行役員は、「これを機に多くの人に訪れてもらえたらありがたいです。涼しいスペースに気軽に立ち寄ってもらえたら」と話していました。
港区環境課の佐藤博史課長は、「ほかの民間企業からも自分のところのスペースも使ってほしいというありがたい話もあり、官民一体となって今後も一緒に進めていきたい」と話していました。

【「クーリングシェルター」とは】
「クーリングシェルター」は熱中症対策として冷房が効いた空間を誰でも利用できる休憩場所として開放する施設です。
▽公民館や図書館などの公共施設や、
▽ショッピングセンターといった商業施設など、
冷房設備があり、一定の人数を受け入れられるなどの要件を満たしている場所を「クーリングシェルター」として、自治体があらかじめ指定することができます。
施設の管理者は「熱中症特別警戒アラート」が発表された際、一般に開放することが義務づけられています。
一方、「クールシェアスポット」も熱中症対策として暑さをしのぐことができる場所を提供するものですが、こちらは開放の義務はありません。

【東京・大田区の取り組み】
暑さをしのぐ場所として、自治体のなかには「クーリングシェルター」の指定は行わず、別の取り組みを進めている自治体もあります。
東京・大田区では熱中症対策として区内の図書館や出張所などの公共施設80か所を「涼み処=クールシェアスポット」として提供しています。
開放している場所には「お気軽にご利用ください」などと書かれた水色ののぼりが立っていて、冷房が効いた室内で誰でも気軽に休むことができるスペースが用意されています。
このほか、「熱中症警戒アラート」が発表されているときには、入り口にアラートを知らせる案内や、区のアプリからスマートフォンに通知を送るなど熱中症対策を積極的に行っています。
大田区健康政策部の関香穂利健康医療政策課長は、「大田区の『涼み処』は、国のいう『クーリングシェルター』としての機能も整っていると考えている。今後も熱中症を防ぐための情報発信や、『涼み処』を増やしていき、熱中症対策を進めていきたい」と話していました。

【専門家 “快適に休める場所ができていくことが大切” 】
暑さ対策などを研究している環境情報科学センターの石丸泰さんは、クーリングシェルターの指定は自治体によってばらつきがあるとした上で、その背景として「一般開放の義務や、人手を確保する必要があるなどただ冷房が効いている空間があればいいという訳ではない。そういった負担を考慮して指定できない自治体もあるのではないか」と指摘しました。
その上で、「自治体の中に1、2か所では、利用できる人は限られてしまう。熱中症予防のために逃げ込める施設があるという認識を社会で共有しながら進めていく必要がある」と話していました。
また、自治体でクーリングシェルター以外にも涼める場所を提供する動きが広がっていることについては、「気候変動が進んでいる中で歓迎すべきことで、街中でもちょっとしたいすやテーブルが置かれているなど、さまざまなところで快適に休める場所ができていくことが大切だ」と話していました。