北朝鮮拉致被害者家族 国連シンポジウムで国際社会の協力訴え

北朝鮮拉致被害者家族 国連シンポジウムで国際社会の協力訴え

北朝鮮に拉致された被害者の家族が国連のシンポジウムにオンラインで参加し、「北朝鮮が拉致問題を解決しない限り、決して制裁の手を緩めることがないよう改めて結束してください」と述べて国際社会の協力を求めました。

シンポジウムは日本政府が、アメリカや韓国、それに、EU=ヨーロッパ連合などとともに27日夜開いたもので拉致被害者の家族や林官房長官などが出席しました。
この中で、中学1年生の時に拉致された横田めぐみさんの弟で、被害者の家族会代表の横田拓也さんは「被害者家族の親世代で健在なのは有本恵子さんの父、明弘さん95歳と、横田めぐみの母、早紀江、88歳の2人だけです。私たちは親世代が健在なうちに被害者と日本で再会することを強く求めています。時間的制約のある問題です」と訴えました。
そのうえで、「各国のみなさま、北朝鮮が拉致問題を解決しない限り、決して制裁の手を緩めることがないよう改めて結束してください」と述べて国際社会の協力を求めました。
また、1歳の時に母親の田口八重子さんを拉致された飯塚耕一郎さんは「拉致問題以外に、北朝鮮を取り巻く問題は核・ミサイル問題がありますが拉致問題は、命の問題であり、人の命には期限があるため切り離して進めるべきです。私と母、八重子が家族を始められるようにご協力をお願いします」と訴えました。
拉致問題をめぐっては去年、岸田総理大臣が日朝首脳会談を実現させるために自らが直轄するハイレベル協議を始めたいという考えを示しましたが、これまで目に見える成果は出ておらず帰国を待つ家族は高齢化が一段と進む中で、焦りを強めています。
シンポジウムのあと、被害者の家族会代表の横田拓也さんは「人権を大切にしている国が結束して、北朝鮮に対して解決を求める機会が得られたことはとても意味がある」と話しました。
そのうえで、キム・ジョンウン総書記に対して「あなたが自分自身の娘を愛するのと同じように、私の母、早紀江はめぐみのことを愛しています。その苦しみ、そのつらさを父親であるキム・ジョンウン総書記もわかってるはずなのでどうか、日朝の両国が明るい未来を描けるよう、あなたの代で解決させるという勇気をもって、大きく前進を図ってほしい」と求めました。
また、飯塚耕一郎さんは「被害者の救出に向けて世界でも日本でも多くの人に知っていただく必要があるので、1度だけではなくて何度も拉致問題について聞いてもらいたい」と話していました。