東京都知事選挙 ポスター掲示板 識者“信頼下げる可能性も”

今月20日に告示された東京都知事選挙では同一の選挙ポスターが複数掲示板に貼られたり、全裸に近い女性の画像などを載せたポスターが貼られ、警視庁が警告を行ったりしています。
選挙と投票行動に詳しい識者は「いまの制度は性善説に立っているがこうした前例が出てきてしまうと、政治や選挙に対する信頼感を引き下げてしまう可能性があり法改正などの対応が必要だ」と指摘しています。

今回の東京都知事選挙は過去最多の56人が立候補し、都の選挙管理委員会は都内1万4000か所余りに設けた選挙ポスターの掲示板の枠が足りなくなり、クリアファイルで外側に固定してもらうといった異例の対応をとっています。
こうしたなか、一部の掲示場では候補者とは別の人物の写真やSNSなどのアカウントに誘導する内容の同一の選挙ポスターが複数貼られてます。
さらに、それが何者かに破られる事案が出ています。
東京・歌舞伎町にある掲示場も25日の時点でおよそ20枚のポスターが破られていました。
被害に遭ったポスターはいずれも同じもので、一部が地面に落ちているものもあり、警視庁は器物損壊などの疑いで調べています。
一方、都内の掲示板には貼られているポスターが数枚にとどまっている所も見られます。
また今回の選挙ポスターをめぐっては警視庁が警告を行ったケースも相次いでいます。
これまでに確認された全裸に近い女性の画像や風俗店の店名などを載せたポスターについて、警視庁は都の迷惑防止条例違反や風営法違反にあたる疑いがあるとして候補者や政治団体の代表に警告を行っています。
こうした状況を受け、都の選挙管理委員会にはこれまでに1000件以上の苦情や疑問の声が寄せられ、政界からも公職選挙法が想定していない問題だとしてルールの見直しを求める声が出ています。
選挙と有権者の投票行動に詳しい武蔵野大学の山崎新講師は「いまの法律の規定は性善説に立っているがこうした前例が出てきてしまうと、政治や選挙に対する信頼感を引き下げてしまう可能性がある。政治に関心が薄い有権者がさらに政治から離れることも危惧される。今後はポスターの内容は候補者本人の主張に限るとか、同一のものを貼ることを許可しないといった、法改正などの対応が必要だ。一方では選挙や民主主義の重要性を説く主権者教育も重要になる」と話しています。