東京 青梅 中学生いじめ 第三者委調査報告書 市教委が公表

5年前、当時中学1年生だった東京・青梅市の男子生徒が複数の生徒からいじめを受けたと訴えたことについて、市教育委員会は第三者委員会がまとめた調査報告書を18日公表しました。

市教育委員会がいじめの重大事態と認定するまでの、対応の遅さなどを厳しく指摘しています。
青梅市の中学校に通っていた男子生徒は2019年の春に入学したあと見た目をからかうあだ名で呼ばれたり、筆箱を何度も捨てられたりするいじめを受け続けたとして翌年、2年生の6月ごろからは不登校となり、さらに次の年の2月にはPTSD=心的外傷後ストレス障害と診断され、その4月に転校しました。
この間、保護者は転校の4か月ほど前から、学校や教育委員会に対していじめの重大事態として対応してほしいと申し入れ続け、実際に教育委員会が重大事態が発生したと認めたのは転校の1か月ほど前でした。
こうしたことについて18日公表された報告書は男子生徒の欠席日数が年間で通算30日を超えた、2年生の10月末ごろには重大事態として対応すべきだったと、その遅さを指摘しています。
また、調査の過程では男子生徒に対する教育委員会の記録の中に不登校になったことを「わがまま」だとする趣旨の記載があったとして、「1年生からのいじめ行為による傷つきが存在する可能性や生徒が心身の苦痛を感じている可能性について思い至っていないように思われる」と批判しています。
18日記者会見した青梅市教育委員会の橋本雅幸教育長は「重大事態の認定から報告書の公表まで3年という長い時間がかかったことをおわび申し上げます」と述べました。
そして、今回の報告書は去年2月にできていたものの公表が18日になったことについては公表のしかたの検討や加害生徒側への説明などのため遅れたと述べました。

報告書の公表にあわせ、当時、いじめの被害に遭い、いま高校3年生となった男子生徒が東京・青梅市で保護者とともに記者会見しました。
このなかで「中学生になってから校内や学校の外、SNSでもいじめを受け続け、加害生徒や先生にやめるよう伝えてもいじめは止まりませんでした。いじめを受けて心と体の健康を失い、好きなことができなくなりました。僕にとっていじめに終わりはありません」と述べました。
そして、いじめの調査から18日の報告書公表までおよそ3年間がかかったことについては「長く、遅かったと思います。いじめに長く向き合い、聞き取りや報告書の内容でも傷つきました」と振り返りました。
PTSD=心的外傷後ストレス障害と診断されて以降、通院中だとして「高校3年なので進路のことを考えないといけませんが、いまは毎日を生きるので精いっぱいです」と話していました。