活火山とどう向き合う 火山性地震増加 北アルプス 焼岳では

長野と岐阜の県境にある北アルプスの焼岳では、火山性地震が多い状態が続き、気象庁が臨時の解説情報を発表する状況が続いています。
ふもとの長野県松本市は登山を控えるよう呼びかけていますが、休日には多くの登山者が訪れていて、専門家は、登山者が活火山のリスクを把握し安全への意識を高めることが重要だと指摘しています。

焼岳では、先月下旬以降、山頂付近を震源とする火山性地震の多い状態が続いていて気象庁は噴火警戒レベルを活火山であることに留意を求める「1」から火口周辺への立ち入りを規制する「2」に引き上げる可能性があるとして臨時の解説情報を発表しています。
臨時の解説情報は今月7日から18日まで発表が続いていてふもとの長野県松本市は、登山口など5か所に看板を設置して登山を控えるよう呼びかけています。
また、市が運営する、想定火口域から1キロの範囲にある山小屋についても、今シーズンの営業開始を予定していた18日から今月29日に延期することを決めました。
松本市危機管理課の伊東伸次課長は「焼岳は活火山であり、登山にはリスクを伴う。法的な規制ではないが、安全面から登山を控えてもらいたい」と話していました。
一方、今月15日の土曜日、焼岳の「新中の湯登山口」でNHKが取材したところ、午前8時ごろには30台以上の車が止まっていて、多くの人が登山に訪れていました。
東京・世田谷区の30代の男性は「レベル1の概要は把握しているので、一応大丈夫だという認識で、自己責任のもとで行こうかなという感じです」と話していました。
愛知県の40代の男性は「データも確認して火山性地震の回数も少なくなっていたので、大丈夫だと思っています」と話していました。
大阪・吹田市の30代の男性は「看板は見ましたが、ここまで来たので登ろうと思います」と話していました。
松本市の対応について災害時の情報伝達に詳しい日本大学の秦康範教授は、戦後最悪の火山災害となった10年前の御嶽山の噴火が影響している可能性があると指摘しています。
秦教授は「10年前は、活火山であることを知らずに御嶽山に登っていた人もいて、自治体によるリスクの周知は重要だ」と述べたうえで「臨時の解説情報というあいまいな情報について、自治体ができるのはリスクの周知までで登山を控えるかどうかは自己判断だ。活火山のリスクを念頭に置いたうえでみずから情報収集してほしい」と指摘しています。