LRT開業初年度決算 最終利益は見込みの3倍に 栃木

去年8月に宇都宮市などで開業したLRT=次世代型路面電車の運営会社が、開業初年度の決算を発表し、最終的な利益は、開業前の見込みの3倍となるおよそ5700万円となりました。

去年8月、全国で初めてすべての線路を新設し、栃木県の宇都宮市と、隣の芳賀町を結んで開業したLRTの運営会社は5日、開業初年度の決算を発表しました。
それによりますと、運賃収入などの営業収益は7億3900万円あまりとなり、宇都宮市などが開業前に見込んでいた5億円あまりを上回りました。
また最終的な利益はおよそ5700万円となって、事前に見込まれていた1900万円の3倍となりました。
LRTの利用者数は、去年8月の開業以降、事前の想定を上回るペースで推移していて、新年度を迎えたことし4月には新たな就職や入学などに伴い、1か月の利用者数が、42万人あまりとなって、過去最多を更新しました。
また4月に初めてのダイヤ改正も行い、朝の通勤通学の時間帯に、快速の運行も始まっています。
運営会社の「宇都宮ライトレール」は「広告事業やオリジナルグッズの販売なども積極的に展開し、安定した事業基盤の確保にも取り組んできました。安全・安心な運行を第一に、引き続き安定した経営を行っていきます」とコメントしています。

宇都宮市内にあるLRTの停留場で、利用者に話を聞きました。
ふだんからよく利用しているという60代の男性は「買い物に行くときによく乗っています。LRTが目当ての観光客も増えてきて、まちが活気づいてきたと感じています」と話していました。
埼玉県から訪れていた60代の女性は「初めてLRTに乗るのでワクワクしています。開業前の宇都宮にも来ましたが、駅前は以前よりもにぎわっていると感じました」と話していました。

LRTが通る栃木県芳賀町の道の駅では、グッズ売り場が設けられ、LRTの写真が印刷されたクリアファイルやキーホルダー、それに子ども用の靴下など、20点余りを販売しています。
グッズは、去年8月の開業直後に人気になったあと、順調に売れ続けているということで、休日にはLRTに乗りに来た観光客などが、グッズを求めて道の駅を訪れているということです。
3歳の子どもと訪れた母親は「息子が電車好きなので、家族でLRTに乗りました。乗り心地も良くてバスより便利だと思います」と話していました。
「道の駅はが」を運営する会社の阿久津俊夫社長は「LRTがプリントされた子ども用の靴下が人気で、お孫さんへのプレゼントなどで購入する人が多くいます。LRTのおかげで、多くの人を芳賀町に呼び込めていると感じます」と話していました。

宇都宮市内でLRTの線路沿いに店を構えている洋菓子店では、LRTの車両の形をしたサブレと絵柄が刻印されたマフィンを販売していて、人気を集めているということです。
この店にはふだん、店のSNSの写真を見て来店する人が多いということで、週末には一日100個近く売れる日もあるということです。
洋菓子店のオーナーシェフの菊池侑介さんは「LRTの開業以降、近くの停留場から歩いて来てくれる人が増えています。遠方から来る人や一日乗車券を持った人が、商品を手に取っていただくことも多いです」と話していました。