幼児が食べ物をのどに詰まらせる事故 小児科医が注意呼びかけ

東京・国分寺市の認可外保育施設で、1歳の女の子が給食のりんごを食べたあと、亡くなった事故では、のどに詰まらせた可能性が指摘されています。
子どもの病気や事故についての情報を発信している小児科医は「気道が細い乳幼児は大人が思う以上にのどに詰まりやすい」と注意を呼びかけています。

佐久医療センターの坂本昌彦医師によりますと、乳幼児は気道の直径が1センチほどしかなく、飲み込む運動が未熟なうえ、せきの反射が弱いため、食べ物が詰まりやすいといいます。
特に注意が必要な食材はミニトマトや粒の大きなぶどうのようなつるっとして丸いものや、ピーナツのような豆類など硬くて丸いもので、今回のりんごの場合は加熱してやわらかくしたりすりおろしたりするほか、薄切りにするなど食材ごとのリスクを考えるよう呼びかけています。
また、床に足がついているとしっかりとそしゃくできるので、正しい姿勢で食べることも重要だと指摘しています。
今回の事故では女の子が食事中に眠そうな様子だったことが明らかになっています。
坂本医師は眠そうな様子が見られるときは、十分にかまないで飲み込んだり、口に入れたまま寝てしまうことがあるので、無理に食べさせずに切り上げることも選択肢に入れてほしいとしています。
食事中に顔色が悪くなったり、急に苦しみだして声が出なくなったような場合は窒息の可能性があり、すぐに対応が必要で、背中をたたいて食べ物を吐かせる手法が推奨されています。
坂本医師は「いつまでもやわらかいものばかり食べるわけにはいかないので、恐れすぎず、年齢にあわせていろんな食材を試してみることが大切です。例えば、ミニトマトなら4等分に切るなどリスクを下げる工夫をしてほしい」と話していました。

杉並区の認可保育所では子どもたちが安全に食事の時間を過ごせるよう給食やおやつの時間には保育士に加えて調理を担当する栄養士も子どもの様子を見守っています。
22日の1歳児クラスのおやつはふのラスクで、栄養士は子どもと目の高さがあうようにかがんで、「もぐもぐするよ」などと声をかけていました。
多くの保育者を配置することで食事中の子どもに目が届きやすくするほか、そしゃくしたり飲み込んだりする様子を調理を担当する栄養士も直接観察して、より適切な大きさや固さの食材を提供するのがねらいです。
子どもの発達は個人差が大きく、同じ月齢でも食べられる食材の大きさや固さは異なるため、この保育所では保育士や栄養士、保護者の間で情報をこまめに共有しながら安全な形で食事が提供できるよう努めているということです。
Picoナーサリ久我山駅前の栄養士、加賀原愛さんは「食事中の事故はひと事でなく、私たちも何か起こるかもしれないという緊張感を持って日々過ごしています。子どもの食事の様子をよく観察して、理解していくことがいちばん大事だと思います」と話していました。