衆議院補欠選挙東京15区 立民 新人の酒井菜摘氏が初当選

野党や無所属など過去最多の9人の争いとなった衆議院東京15区の補欠選挙は、立憲民主党の新人の酒井菜摘氏が初めての当選を果たしました。

立憲民主党の新人の酒井氏が、自民党が候補者の擁立を見送り、過去最多の9人の争いとなる中、日本維新の会や無所属の新人などほかの候補者を抑えて、初めての当選を果たしました。
酒井氏は37歳。看護師や助産師として働いた後、江東区議会議員を務め、去年12月、2期目の途中で区長選挙に立候補しました。
今回の補欠選挙は、自民党の柿沢未途前法務副大臣が去年4月の江東区長選挙をめぐる選挙違反事件で議員を辞職したことにともなって行われました。
選挙戦で酒井氏は、区議会議員としての経験や助産師としての専門性を強調し、子育て支援の拡充やクリーンな政治の実現を訴えました。
立憲民主党は幹部が次々と応援に入ったほか、共産党はいったん擁立した候補者を取り下げて、酒井氏の支援にまわりました。
その結果、立憲民主党や共産党などの支持層を固めたほか、いわゆる無党派層の支持も集めました。

酒井菜摘さんは、「利権や金ではなく国民の声を受け止めて動く、信頼のできるまっとうな政治を訴えてきて、有権者に一定の理解をいただけたと受け止めています。政治資金規正法の改正などが重要なテーマになると思いますが、助産師の専門性を生かして、子育て支援や障害者政策、社会保障制度改革など人に優しい政治を進めていきたい」と述べました。
江東区選挙管理委員会によりますと、衆議院東京15区の補欠選挙の投票率は、40.70%で、前回・3年前の選挙を18.03ポイント下回りました。

【NHK出口調査の結果】
NHKは、28日、有権者の投票行動や政治意識を探るため、出口調査を行いました。
調査は14の投票所で投票を終えた有権者1793人を対象に行い、62.2%にあたる1115人から回答を得ました。
一方、27日までに有権者のおよそ13%が期日前投票を済ませていますが、これらの方々は調査結果に含まれていません。

NHKが28日行った衆議院東京15区の補欠選挙の出口調査では、立憲民主党の新人、酒井さんが優勢です。

ふだん支持している政党について尋ねたところ、自民党が24%、立憲民主党が11%、日本維新の会が8%、公明党が3%、共産党が3%、国民民主党が2%、れいわ新選組が1%、参政党が1%、地域政党の都民ファーストの会が1%、その他の政党・団体が2%、特に支持している政党はない、いわゆる無党派層が43%でした。
立憲民主党の新人、酒井さんは、立憲民主党の支持層の80%あまり、共産党の支持層の70%台半ば、自民党の支持層の10%あまり、日本維新の会の支持層のおよそ10%、無党派層の30%あまりから支持を得ました。
無所属の新人、須藤さんは、自民党の支持層のおよそ20%、公明党の支持層の20%台半ば、無党派層の20%あまりから支持を得ました。
日本維新の会の新人、金澤さんは、日本維新の会の支持層の70%あまり、自民党の支持層のおよそ20%、無党派層の10%あまりから支持を得ました。
無所属の新人、乙武さんは、自民党の支持層の10%あまり、公明党の支持層の50%台半ば、国民民主党の支持層の40%台半ば、都民ファーストの会の支持層の30%台半ば、無党派層の10%あまりから支持を得ました。
諸派の新人、飯山さんは、自民党の支持層の10%台半ば、無党派層の10%台半ばから支持を得ました。

年代別で見ると、10代と20代の30%あまりが立憲民主党の新人の酒井さん、およそ20%が日本維新の会の新人の金澤さんに投票しています。
30代は、およそ30%が酒井さんに投票しています。
40代は、20%台半ばが無所属の新人の須藤さん、20%あまりが酒井さんに投票しています。
50代では、20%台半ばが酒井さん、20%あまりが須藤さんに投票しています。
60代では、30%台半ばが酒井さん、およそ20%が諸派の新人の飯山さんに投票しています。
70歳以上は、40%あまりが酒井さんに投票しています。

男女別では、男性の20%台後半が立憲民主党の新人の酒井さん、20%あまりが日本維新の会の新人の金澤さんに投票しています。
女性は、30%あまりが酒井さん、およそ20%が須藤さんに投票しています。

投票する際に最も重視した政策について尋ねたところ、「経済政策」が35%、「子ども政策・少子化対策」が20%、「政治改革」が19%、「医療・福祉政策」が16%、「外交・安全保障政策」が6%、「エネルギー・環境政策」が3%でした。

投票する際に「政治とカネ」の問題を考慮したかどうか尋ねたところ、「考慮した」が76%、「考慮しなかった」が24%でした。
「考慮した」と答えた人の30%台半ばが酒井さんに投票したと答えました。

岸田内閣を支持するかどうか尋ねたところ、「支持する」が27%、「支持しない」が73%でした。
「支持する」と答えた人の20%あまりが金澤さんに、また、酒井さん、須藤さん、乙武さんにそれぞれ10%台後半の人が投票したと答えました。
一方、「支持しない」と答えた人の30%台半ばが酒井さんに、10%台後半が須藤さんに投票したと答えました。

東京都の小池知事の都政運営について尋ねたところ、「大いに評価する」が10%、「ある程度評価する」が51%、「あまり評価しない」が24%、「全く評価しない」が15%でした。
「大いに評価する」と「ある程度評価する」をあわせた人の20%台後半が酒井さんに、10%台後半がそれぞれ須藤さんと金澤さんに、10%台半ばが乙武さんに投票したと答えました。
一方、「あまり評価しない」と「全く評価しない」をあわせた人の30%あまりが酒井さんに、およそ20%が飯山さんに投票したと答えました。

前回・3年前の衆議院選挙で投票した候補者を尋ねたところ、前回、当選した柿沢未途さんに投票したと答えた人のおよそ20%が酒井さん、10%台後半がそれぞれ須藤さん、金澤さんに投票したと答えました。

【ほかの候補者の談話】
金澤結衣さんは、「自分の力不足で悔しい思いでいっぱいです。政治への不信感から、投票に行かないと話す有権者ともう少し対話を重ねる必要があったと思います。これからも地域のために活動していきます」と述べました。

乙武洋匡さんは、「私の力不足で深く責任を感じています。結果がすべてなので現時点ではそれを受け止めるしかありません。支援をもらった皆さんの期待に応えられず本当に申し訳ないと思っています」と述べました。

須藤元気さんは、「敗因はすべて自分の力不足です。自分のできることはすべて出し切り、ベストを尽くせたと思っているので、結果を受け入れて経験をいかして、この国を良くしていくために活動していきたい」と述べました。

【政党の談話】
乙武洋匡氏を推薦した地域政党の都民ファーストの会の尾島紘平幹事長は、記者団に対し、「政治とカネの問題にしっかり取り組んでいくと訴えてきたが、他の陣営との差を出し切れず、批判の受け皿になりきれなかった。反省して、今回の結果を次に生かしていきたい」と述べました。