「九都県市首脳会議」 都の高校授業料実質無償化が議論に

東京、神奈川、埼玉、千葉の知事と、5つの政令指定都市の市長でつくる「九都県市首脳会議」。
会議のなかで、東京都が高校の授業料を今年度から実質、無償化したことが議論となり神奈川や埼玉の知事から、国による対応を求める意見が出されました。

オンラインで開かれた会議で、話し合われた一つのテーマが東京都が今年度から始めた高校授業料の実質無償化についてです。
このなかで、埼玉県の大野知事は「行政サービスの不均衡が生じていることは強く懸念している」と述べ、不均衡の背景には、税収が、工場ではなく本社のある自治体に一層集中しやすい状況があると指摘しました。
また、神奈川県の黒岩知事は「福祉や教育など住んでいる場所で大きな差がつくべきではない性質の行政サービスで格差が生じているのは問題だ。東京都に隣接しているので県民から厳しい声を受けていつも苦しい思いをしている。国による何らかの対応が必要だ」と述べました。
こうした意見に対して、東京都の小池知事は「東京では子育て世帯は厳しい環境に置かれており、いかにして守っていくかは一刻の猶予もない。高校授業料の実質無償化は、本来は国が責任を持って行うべきであり、国の方策が講じられるまでの間、先行して取り組むことを判断した」と語りました。
会議では、子どもに関する施策について居住する地域によって、差が生じないようにするために、国の責任と財源で無償化するよう要望することになりました。

東京都が今年度から実施する高校授業料の実質無償化について、会議のなかで、埼玉県の大野知事は「本来無償化は国が全国一律で実施すべきだが、一部の自治体が単独で行い不均衡が生じていることは強く懸念している」と述べました。
そのうえで、東京都と差が生まれる背景には、企業の本社がある自治体に税収が集中しやすいため、国による是正措置が必要だと指摘しました。
会議の後、大野知事は「荒川を挟んで東京都と差があることは好ましくないと思う。財源の確保が難しく埼玉県では高校の授業料の無償化をできていないことが非常に歯がゆく思っている。税の偏在を是正することで、不公平を適切に是正していくことが大切だ」と話していました。

東京都が高校の授業料を今年度から実質無償化することについて、千葉県の熊谷知事は「財源に大きな差が生じていて、本来は住んでいる地域によって差がつくべきではないのに、そうした状況が生まれてるのも事実だ」と述べ住む地域にとらわれない子育て支援策の実現を財源を含めて考える必要性を指摘しました。
会議のあと熊谷知事は「県民からなぜ高校授業料の無償化をやらないんだと言われるが、『やらない』のではなく『やれない』状況だ。税収の偏りを是正するか、全国一律の子育て支援を行うか、国の責任で議論しなければならない」と述べました。

会議のなかで東京都の小池知事は「東京では子育て世帯は厳しい環境に置かれており、いかにして守っていくかは一刻の猶予もない。高校授業料の実質無償化は、本来は国が責任を持って行うべきであり、国の方策が講じられるまでの間、先行して取り組むことを判断した」と述べました。
そのうえで「そもそも人口1人当たりの一般財源で見ると、都は全国平均と同水準にある。こうした事実を踏まえ、地方交付税も含めた地方税財源の充実確保を、九都県市で足並みをそろえ、国に強く働きかけていくことこそが何よりも重要だ」と述べました。