新入社員の”退職代行”に依頼相次ぐ その背景は?

新年度が始まって2週間余りですが、本人に代わって企業側に退職の意思を伝える「退職代行」のサービスを行う会社には、入社まもない新入社員からの依頼が相次いでいます。

東京・大田区で2年前から退職代行のサービスを行う会社では、弁護士の監修のもと、本人の代わりに企業に退職の意思を伝える業務を行っています。
この会社では今月1日から15日までに678件の依頼があり、このうち、16%余りにあたる110人が新入社員でした。
去年は、4月の1か月間で50人ほどだったということで、大幅に増えています。
依頼してきた人の退職理由で多いのは、入社前に聞いていた条件と違っていたというケースで、このほかにもストレスや疲れで、体調を崩したという人も少なくないということです。
このうち、今月1日に新卒で製造業の会社に入社したという20代の男性は、仕事の内容が当初の希望と違い、心身に不調をきたすようになったということです。
出勤前から吐き気がとまらず、勤務中も息が苦しくなるなどしてきのうから出社できなくなったということで、この会社に依頼してきました。
男性の依頼を受けて16日午前中に退職代行サービスの担当者が電話で男性の会社に退職の意思を伝え、退職届の郵送など必要な手続きについて確認していました。
谷本慎二社長は「いわゆるZ世代は自分の考えを言うのが苦手な人も増えているうえ、コロナ禍でコミュニケーション力が下がっている印象がある。自分で退職できるのならそのほうが良いし、時には我慢も大切だと思うが、それで体調を崩してしまう人もいるので、どうしても無理な場合には、退職代行が一つの手段にはなると思う」と話していました。

若者の就職事情に詳しいリクルートワークス研究所の古屋星斗主任研究員は「今は大手企業も含めて中途採用が多く、辞めてもすぐに仕事が見つかるので、決断が早い。企業にとっても若者にとっても納得感のあるマッチングをするためには採用前にインターンなどで仕事内容を知ってもらったり、育成の専門職を置いて社員一人ひとりにあった育成方法を検討したりしていく必要がある」と話していました。