東京 葛飾区 新紙幣対応の券売機導入で補助 飲食店の対応は

ことし7月に発行される新たな紙幣に対応する券売機などを導入する中小店舗を支援しようと、東京・葛飾区は30万円を上限に費用の半額を補助することにしています。

紙幣のデザイン変更は20年ぶりで、「近代日本経済の父」と呼ばれる実業家・渋沢栄一の肖像がデザインされた一万円札などの新たな紙幣は7月3日に発行されます。
新紙幣への対応のため、現金を扱う飲食店などは券売機を買い替えたり改修したりする必要がありますが、葛飾区はこうした中小店舗を支援しようと、1台につき30万円を上限に費用の半額を補助することにしています。
区によりますと、ラーメン店などにある比較的小さい券売機の更新には60万円程度かかり補助の対象を200店ほどと見込んでいて、新年度の予算に6600万円を計上しています。
申請の期間はことし7月から10月の予定ですが、予算がなくなりしだい終了するということです。
区によりますと、全国でもあまり例がないとみられ各地の自治体から問い合わせがあるということで、「原材料やエネルギーの価格の高騰で、中小店舗は厳しい状況のなか、新紙幣対応のさらなる負担に対し、少しでも支援できればと考えている。また、地域の店で新紙幣が使えるようになることは、客である区民のサービス向上にもつながる」と話しています。

新しいデザインの紙幣の発行にともない券売機などを更新する必要がある飲食店は、新たな費用負担に頭を悩ませています。
このうち、東京・葛飾区の亀有駅前にあるラーメン店※「○菅」は、現在、千円札と10円玉以上の硬貨に対応した比較的、小型の券売機を設置しています。
北里柴三郎の肖像がデザインされる新たな千円札に対応するには、機械を買い替えるか、部品を交換して改修する必要がありますが、店によりますと、いずれの場合でも数十万円から100万円程度はかかるとみられるということです。
しかし、店では、このところの材料費や光熱費の高騰で、以前と比べて経費が1.5倍ほどになるなど、厳しい経営状況が続いているということです。
このため、券売機の更新は、7月以降、なるべく早く行いたいものの、すぐに行えない場合は、新紙幣しか持っていない客が来た時には、店が旧紙幣を用意して交換する対応を取る予定です。
一方、まだ導入していないキャッシュレス決済については手数料の負担なども考慮すると、いますぐには導入できる状況ではないとしています。
棚田史人店長は「今、原価が上がって割が合わないということで辞めてしまう飲食店も多いです。まだみんな苦しいという時に新紙幣への対応が必要になるのはきついです」と話しています。

※○の中に菅