小林製薬 紅麹原料供給先52社 卸売業者通じ別企業に販売も

「小林製薬」の「紅麹」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で、この健康食品に使っている紅麹原料の供給先は52社に上り、原料はこのうちの複数の卸売業者を通じてさらに別の企業に販売されていることがわかりました。
回収の規模はさらに広がるとみて会社は確認を急いでいます。

小林製薬は、「紅麹」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症したことから、「健康食品が原因となった可能性がある」として今月22日、この成分を含む健康食品の自主回収を発表しました。
小林製薬は、この健康食品に使っている原料を食品メーカーや飲料メーカーなど、国内外の52社に供給していることを明らかにしていますが、複数の卸売業者を通じてさらに別の企業に販売されていることが分かったということです。
このため、回収の規模がさらに広がるとみて販売先や回収状況について確認を急いでいます。
この問題をめぐっては製品の自主回収の動きが相次いでいて、これまでに「宝酒造」、福岡市の通信販売会社「ZEROPLUS」、名古屋市の豆菓子専門店「豆福」、「紀文食品」が回収を発表しています。
小林製薬は、これまでのところ供給先の企業の商品による健康被害の情報は把握していないとしています。

長野県に本社のあるみそメーカーの「竹屋」は、小林製薬が製造した紅麹を使用していたとして、対象の商品を自主回収すると25日発表しました。
「竹屋」によりますと、対象となるのは「タケヤみそ『塩ひかえめ紅麹仕立て』」で、小林製薬が製造した紅麹を原料として使用していることから、販売を一時中止とするとともに、商品の自主回収を決めました。
会社では商品の購入者に対し、指定する送り先に商品を着払いで送るよう呼びかけています。
会社によりますと、この商品が販売されていたのは、長野県諏訪市の本社に併設する直売所と、自社のホームページのオンラインショップのみで、スーパーなどに流通している商品はないいうことです。

「紅麹」とは米などの穀類に麹菌の一種である紅麹菌を繁殖させてつくられたもので、古くから食品の着色料などとして使われてきました。
紅麹の「ロバスタチン」という成分にはコレステロールを低下させる作用があるとされ、紅麹由来の健康食品などが多く販売されています。
一方、紅麹菌のなかには「シトリニン」という毒素をつくるものもあり、腎臓の病気を引き起こすおそれがあるとされています。
国の食品安全委員会によりますと、ヨーロッパでは紅麹由来の健康食品による健康被害が報告されていて、EUは健康食品に含まれる「シトリニン」の基準値を設定しているということです。
小林製薬によりますと今回の報告を受けて成分を分析したところ、「シトリニン」は検出されなかったということです。
一方で、「シトリニン」とは別の未知の成分の存在を示す分析結果が得られたということで、「意図しない成分が含まれている可能性が判明した」としています。