江戸川区 自転車の盗難対策 集合住宅に防犯カメラ取り付け

去年、自転車の盗難の認知件数が都内で最も多くなった東京・江戸川区で、盗難にあう場所として多かった集合住宅に区が防犯カメラを取り付け対策の効果を確かめる取り組みが始まりました。

警視庁の統計によりますと、去年1年間の東京・江戸川区の自転車の盗難の認知件数は、1771件に上り、都内の区市町村で最も多くなりました。
こうした状況を踏まえ区は、犯罪を抑止するため自転車が盗難される場所として多かった集合住宅の敷地内に防犯カメラを設置して効果を検証する取り組みを始めました。
14日は、区内の集合住宅で駐輪場の近くの建物の壁や柱などにおよそ20台のカメラを設置する作業が進められ、作業員らが映像を確認しながら駐輪場がよく映る角度などを調整していました。
区はこの事業におよそ4400万円を計上していて今月中に特に盗難件数が多かった集合住宅7か所であわせて80台のカメラを無償で貸し出す形で設置し、今後、実際に盗難の認知件数が減ったのかなど効果を検証していきたいとしています。
集合住宅の自治会長は「駐輪場は暗いところも多く、カメラが犯罪の抑止につながればいいと思います」と話していました。
江戸川区地域防災課の山田康友課長は「区内の自転車の盗難は半数近くが集合住宅の敷地内で起きています。鍵かけの呼びかけなどソフト対策とともにハードの対策も強化することで犯罪を防止していきたい」と話していました。

防犯対策の専門家は、コロナ禍以降の自転車利用の需要の高まりに伴って、鍵のかかっていない自転車を盗み少しの距離で乗り捨てるタイプの窃盗が増えているおそれがあると指摘したうえで、鍵を2つかける「ツーロック」など、対策の徹底を呼びかけています。
警視庁の統計によりますと、去年の都内全体の自転車の盗難件数は、2万7174件で、おととしと比べて5500件余り増えています。
防犯アドバイザーの京師美佳さんは、コロナ禍以降、公共交通機関を避けるため自転車利用の需要が高まったことに伴い、鍵がかかっていない自転車を盗んで少しの距離で乗り捨てる「ちょい乗り盗」が増えているのではないかと指摘しています。
江戸川区が防犯カメラを設置し、対策を強化することにした集合住宅の駐輪場については、死角になる場所が多いうえ、入り口に鍵がないところは外部からも入りやすく、さらに、近所づきあいが少ないと、見知らぬ人がいてもさほど気にならないなどとして特に注意が必要だとしています。
そのうえで、まずは基本的な対策として、鍵を2つかける「ツーロック」や、買い物など少しの時間でも自転車から離れる時は必ず鍵をかけることなど個人でできることを徹底するよう呼びかけています。
また、最近は販売目的とみられる電動アシスト自転車のバッテリーを狙った被害もあるため、バッテリーの鍵も忘れずにかけること、自宅などに戻った際は、できればバッテリーを自転車から外して室内に持ち込むといった対策を挙げています。
このほか、高価な自転車は、サドルなど一部の部品のみが被害の対象になることもあるとして、部品に個別に鍵をかけられるようにすることも有効な対策だとしています。
それでも鍵を壊されるなどして盗まれてしまう場合の対策としては、防犯登録をしておくこと、自転車に専用の機器を取り付け、スマートフォンで場所を確認できるアプリを導入することなどで、すぐに見つけられる場合もあるということです。
京師さんは「自転車は気軽に利用でき、駐輪も簡単で、人気の移動手段のため、盗難被害がすぐに減ることは考えにくく、むしろさらに増えていく可能性もある。まずは個人ができる対策をしっかりと進める必要がある」と話しています。