行政が火葬 昨年度2万件超 首都圏の人口10万以上の自治体

首都圏の人口10万以上の自治体では、身寄りがない人や身元がわからない人などを行政が火葬するケースが増え、昨年度はあわせて2万件を超えていたことがNHKのアンケート調査でわかりました。
これは、1年間に亡くなった人のおよそ15人に1人が行政によって火葬されていたことになります。

首都圏では、近年、亡くなったあと、火葬する家族や親族が見つからない人たちなどを、行政が代わりに火葬して、遺骨を保管するケースが増えています。
そこで、NHKは、ことし1月から先月にかけて東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の人口10万以上の93の区と市に、家族や親族に代わって、費用を負担した火葬の件数を尋ね89の区と市から回答を得ました。
その結果、昨年度は、あわせて2万1227件で、過去5年間で最も多くなりました。
これは、これらの区と市で昨年度、亡くなった人の6.7%、およそ15人に1人に上ります。
都県ごとに見ると、東京都が最も多く8.3%、次いで神奈川県が6.9%、千葉県が4.9%、埼玉県が4.1%となっています。
行政による火葬の現状に詳しい長野大学社会福祉学部の鈴木忠義教授は「家族間の関係の希薄化や経済的な負担の問題が背景にある。今後も増加が予想される」と話しています。

千葉県市川市では昨年度、市が火葬した件数は271件に上りました。
多くの場合、葬儀は行われず、市の職員が立ち会って市内の斎場で火葬しているということです。
身元が分かる場合は、戸籍を調査して子どもや兄弟などに遺骨の引き取りを依頼しますが、引き取り手が見つからないケースも多いといいます。
現在も、市が160体以上の遺骨を保管していて、中には数年間、置かれたままのものもあります。
市川市では遺骨の保管期限を5年とし、引き取り手が見つからなければ市内の霊園にある無縁者の墓に納めています。
市川市生活支援課の海宝睦主幹は「従来の日本の弔いの仕組みが崩壊しつつあるような印象を受けています。今のままではこうしたケースが増えていくのではないか」と話しています。