小金井市保育園裁判 “専決処分は違法で条例は無効”東京地裁

東京・小金井市の前の市長が一部の市立保育園の園児募集を廃止する条例を専決処分で成立させたことについて、子どもを預けられなかった母親が処分の取り消しなどを求めた裁判で、東京地方裁判所は「専決処分は違法で、条例は無効だ」などとして処分を取り消し、市に10万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。

小金井市の西岡真一郎前市長は施設の老朽化などを理由に、2つの市立保育園の園児募集を段階的に減らす条例の改正案を議会に提出し、継続審査となっていた2年前に議会の議決なしで専決処分を行い、条例が成立しました。
これに伴い子どもの預かりを「不可」とされた母親が、「専決処分は違法だ」として市に対して処分の取り消しなどを求めました。
22日の判決で東京地方裁判所の岡田幸人裁判長は「特定の日時までに議決すべき緊急性が高いとはいえず、市議会の議決を得ることが難しかったともいえない。要件を満たさないことは明らかで、今回の専決処分は違法で、条例は無効だ」として子どもの預かりを「不可」とした処分を取り消しました。
そのうえで、「原告は、子どもをきょうだいと同じ保育園に通園させて職場に復職するという希望が絶たれた」として市に10万円の賠償を命じました。
小金井市の白井亨市長は取材に対し、「判決内容を精査し、今後の対応を検討したい」としています。

判決のあとの会見で、原告側の佐藤宙弁護士は「取り消しを認めたことに加え、精神的苦痛に慰謝料を出すこと自体がそうあることではなく、全面勝訴と言える。正当で画期的な判決だ」と評価しました。
また、支援者の男性が、原告の女性のメッセージを読みあげ、「しっかりとした判決が出たことにほっとしています。判決の内容を聞いた瞬間、今まで諦めずにいた気持ちが報われ、今後への安どで涙が出ました。どうかこの判決を受けて、市長には公約を果たす時が来たと努力していただき、議員の方々にはいま一度議会のやり方を考え直していただければと思います」と話していました。